おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

夏の原

何万の人が 焼かれたことを覚えている? 知らないのなら 本を読みなさいな できることなら伝え聞いて 爛れた肌に 目を背けない力を 身につけなさいな 知らぬことを知り 避けることを避けるため あついあつーい夏には 水を汲み 当たり前に口に含みながら 思い…

わらしべの巡り

綺麗事は 花摘みのようで 憚られるのよ 分からない人には 一生理解できないこと 花摘みは いい子ぶるようで はしたないのよ 進んでやる人も いるのが驚くこと いい子ぶりは 神に背くようで 恥ずかしいのよ 考えぬなら 考えずともいけること 神に背けば その…

うみまちそだち

砂浜の跳ねっかえり 焼かれる身体の内から 息が上がってくるのが 分かるもので 海町の慣れ 感覚を失くした手を 握ってくれた人は 優しすぎて 眩しくって つらさに離れ 正午の鐘が鳴る時は 太陽高く照り下ろす もう耐えられぬ ふらつく境の あの息上がりが 懐…

人の振りしたからだ

欲のないように見せかける 三つ子の魂どこまでも 眠り起きも苦手する 百まで生きる保証なくてさ どうなってもいいと嘯いた 2つの背中に憧れて 色恋は卑しいと思いこんだ もたれ掛かるバスの隣に憧れて 欲のないように生きてゆこう 三つ子の前も憶えている 何…

やまいどこの盆

灯籠に照らされ 盆を知っても 街の盛りに繰り出せるわけなく しんとした病どこが冷えた夏 その女は姿勢が悪く 座っているのに倒れ込みそうな様だった 支えるには憚られる間柄で 何が見舞だと 己呪いながら どうにかこうにか繋ぎ止められんか 昔の人もそう唱…

月宵語りの歌

月を数えた人のいた 遠い昔の宵語り 誰に混じたか歌にして 終ぞ今日まで来たものさ あぁただ酒を酌み 好きに歌えよ きと彼は憂いていなかろう もう死んでいるのだから 月を数えた人のいた 実は間近の宵語り 口の伝えはいつの世も 不確か確か併せ持つ あぁた…

女の欠片

振り落したはずの 記憶も感覚も ついてきた銀河の果て 文明に任せ 戦も終わり 後は野となれ山となれ まして屑でも勝手でも 社会進化に託けて 己を生きれば許される そう信じていたものの ふと気づかされることが 女ならあるでしょう 悔しくて憎たらしくても …

宵明け

痛みは引いて 感覚のこす あなたがいた 確かにいた 声の伝えは 不器用になる 苦しみと高まりを 定められなくて 明日にはもう たとえば 何千キロ離れたとしても まだ残る 確かにいたと 女の涙は呼んでいるのよ 痛みさえも 恋しいなどと 言いはじめたら愈愈ね …

隠れたい衝動

自分を見てほしいという欲求なら 幾らでも 嫌でも目にする時代だけれど 隠れたい 知られたくない 人となりも 存在も そんな衝動にも似た感覚を 目にしないものね 私だけかと不安になるけれど そうか特性上 そういうものか 暴れ出したい 駆けてゆきたい そん…

月は君を見ていない

月は君を見ていない それさえ知れないから お気楽なもので 月を見る君 それを盗み見て あぁ世は往々にして めぐるとはこのことか 黄に見せて 暗がり 気づかないくらいに 明るさに釣られて 月を見る君 月は君を見ていない それさえ知らなければ 幸せの常

不機嫌の君

不機嫌に寄る 紫の影 叶え理想は 作り上げ そんな彼女の表情管理 能力劣りに裏打ちされた 振れ幅すぎる感情表現 能力優れに直結する 夜を苦手として 真昼の教会には 入りたがらなかった あちらとの距離がちと近い 不機嫌になるも 無理はない 果実ばかりに 釣…

あなたが名を呼ぶときは

夢に見た あなたに名を呼ばれて 指に触れた 夏夜 時計を見るのは 苦手なの 寝入りも目覚めも 知りたくない 心のうちを見せぬのが なくて七癖 そのうちの 幾つも占めた 幼い子 心のうちを見せるなら あなたがいいと 思ったの 探していたのね 幼いころから 夢…

ぐぜる子

石ころ蹴った それさえ透かした もうやんなって 転がろっかな 不精は本質 五月も鬱陶し 愈々捻くれすぎて 居場所失くした いいよ、いてもいいよという言葉を 金より愛より欲した それだけに飽きたらず あの子よりも僕を だれよりも僕を 見てほしいなんてさ …

どうせ日曜日

追いつけ追い越せ日曜日 せっせと働け こびと達のように 仕事は好きとはいかないが なるたけこの手を離れないように コンピューターが流行っていっても 隙見せ心を失くさぬように 急くこと偉いと謳われていても どっこいどっこい日曜日 誰が偉いか問答は 死…

月を見ていたのね

恋しいと呼ぶものと 人は思って 菓を拵え 茶を入れて 待つの 悲しいと云う暇も なかった夏の 残酷を忘れましょう 月を見ていたのね 其処にいたのなら 早くに 云ってくれたら 側に座れたわ 明夜には翳る きっと翳る だらしなく暮らした日々の付け 鐘に黙し ひ…

風は向かい風

気づいた夏が 虚しかったのを覚えている 差し迫る熱にやられて ひとり茹だっていた 駆けのぼった後に やっとひと息つけると思った 甘さを突かれた 風は向かい風 どうしても儘ならない 僕の思う緩急と 違う景色がながれてゆく 僕から見た景色は ただ切り取り…

残り香すがりの祭り

金魚ゆらり 捨てられると 知ってか知らずかの帰りみちに 横断歩道 駆けて駆けて 息をする祭り あぁ熱が 上がり冷めてゆくさまを 身に受けて もう何度も 喘ぎ落ちた 息切らす人混み 着慣れない 袖に乱れ 見ざる着飾るの滑稽に 横断歩道 待って待って 閉じきれ…

a child like

縋った景色に振り払われて また大地には1人 いつも少しだけ具合の悪い 老人のような子供 どこで聞いたか異国の歌が 耳から胸から離れない あぁそうか僕は この土地の 人間ではないと気づいたのさ 懐かしさだけではなく 確かに胸掴む 内から来るものは 僕をつ…

冒険とは違う橋

人が冒険と呼ぶものを 僕は好ましく思えなかった なのに目の前には橋 ただ渡ればいいだけの鉄のかたまり 波が誘う目下 やめてねまだ沈みたくないから 風強くてもふらついても しっかり歩こう 置いてけぼりは慣れているけれど 隣島ははじめてかな 1人でいるだ…

夏に臥せる

怒りに任せてしまわないように あいつのようにはならないように 抑えて飲みこんで 臥せるさ 季節高く 陽の所為にしよう 音楽にゆだねる 振りに徹して 理不尽を払うには 僕の体は小さくて もっと酷いもんに晒されていたことも 忘れてしまったから つらいね 酒…

月の情話

改まって 声を硬くした人が 身の上を話す 縁側に 食べかけの菓子が 放られているよう 明日には 朽ちてしまう身を 燃やすのはおんなじ 手紙など 届くとも知れず 送り放しになるのね 月の情話 もう抱かないでくれて結構 そう焦らないで死ぬまでは長い 正しさっ…

あの女

およそ受け入れられぬ 平たく言えば嫌う女がいた 落ち込む人間にケタケタと 無神経に笑いかける奴だった 明るさが正義なら 卑屈になるまでもなく 此方は邪魔者で 愛される者はいないのだと 堂々と講釈垂れてきた 愛されなかったこともない癖に 無神経と神経…

弔いかぶり

大切な人を失ったから何だっていうの 花数えに費やす時間も浮く どうしてもこの世の生に意味を見出したい奴の戯言 旅準えに綻ぶ皆の歩調 誰も神にとって 不可欠に成りえなかった ただそれだけのことを 泣いて喚いて葬って もう止しましょう 岬の火葬場でひと…

病慣れの道

病慣れの少女はもう 薬師に通わなくなり さすれば彼方からの便りも絶え 熱日が続いた 道連れるように 加護も弱まる 五差路で離ればなれ もう二度と寄り向かぬ 秋祭りの灯には早い 託す関所なくて 花おえる理由もつかない 夏に倒れ込んだ あぁ病慣れとは恐ろ…

願いはだれに

病のふりして表出するから だれも気づかずに終わる 生涯が幾つあったろう 呪文に聞こえた 弱声の女がぶつぶつと それは願いであったのに だれに弔いを 伝えたら 振り仰いだら 人々が 夢や希望を掲げた隙に 黒い思いも 形成さないだろうか 病としてしか説明つ…

青い鳥のマーチ

青い鳥のふりした 下衆が其処此処 負けるなマーチ 苦手重荷の小太鼓を 肩から下げて練り歩いたさ 優しい人は損をする 仕事のできる真面目なやつも だからって其れを最初から 教えようとは思わない 覚えたてのリズムを 必死で打ち込んでいるのは 打算ではない…

波筋を見ていた

白い波筋をまっすぐ残して 船は島を離れてゆく もう出会えないな あんな後ろ暗い感情には 見える範囲では消える気配のない 強い波筋を残してゆく もう帰れないな あんなに嫌っていたからには だんだん薄まってゆくことを 希望も込めて知っている 明るい人間…

落ちる花火

眠り起きに難があるから まともに暮らしている心地がしないのさ 明日上がる花火にもう興奮を覚えて そしてすぐさま忘れてしまった 眠り起きの意気地悪さが 暮らしにそのまま出てしまうのさ そのものとも言っていい 大袈裟でも僕を支配している 思いやりの振…

夕立酔い

付き纏ってくる劣情 そのへんの歌には聞かない 鹿威し からり 庭には一羽も残っていない あなたの文を 踏み破り 足袋の儘 駆け出すくらいの我が儘 持てたならよかった 決められた集いも いずれ軌道の愛恋も 重なる前に 確かめたかった 誰も教えてくれなかっ…

かなえてよberry

甘い果実が好きになる そんな頃合いがあるじゃない? うまく重なりあったなら 恋仲気分も夢じゃない けんけんぱの帰り道で 声が聞こえたら振り返る 素直に呼んでも澄ませても みたくなる君 道端には赤い実が 名前おぼろげなる意味が 幼いまんまでいたいじゃ…