おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ぐらついた日の下

ぐらついた気のした日の下だけど 気のせいとするのが一番早い 買いこんだお菓子は隠し隠し どうせ一気に食べ尽くす 誰の頼りも受けない代わり 誰に縋りもしないのよ これからきっと多くの人が ぶち当たるであろう親の死に ビクともしない自信があるわ とても…

似た駅の話

駅の北ひがしの端 くぐれば開ければ 博多に似ている気がしてね 都会の形式に在り乍ら 懐かしさを備えた不思議の駅 朝行く人の波に従順に 入りこんだのは10年ぶりか これが社会に生きるということ 一端だけでも知った気に 肌はまた赤く乾き始めるのに 容赦な…

月凪待ち

月並み 貴方は易くなく 触れたと思った手の腹に ひとつの熱もないんだもの 此方が咎められたかと思ったわ 生き死に自在の浮き世から 追い出されるかと思ったわ 星降り 貴方は見え隠れ 聞こえたはずだに魂は 彷徨う音すら消すんだもの 海鳴り 貴方は遠ざかる …

お暇前に一杯ね

格好をつけるために ここにいるわけじゃないから 早いこと成すべくを成して お暇乞いたいわ 着乱れるから 綺麗な着物はやめておいて 春先とはいえ寒いから 好きに膨れてゆくからね 桜散るを儚いと 愛でそやす前に ただただ咲き前咲き時を 阿呆のように綺麗だ…

祈るほかなかった

祈るほかなかった 坂下り燃え上がり 神話の時代まで遡って 慰めてくれる者がどこにあろう 己から自ら 手を差し出し指を組み 力強くならぬよう ささやかな振りをして 祈るほかなかった 御名を口にすれば 恨みぬいてしまいそうだ あぁ熱されて消えても良いから…

海待ち花待ち

泣いてしまうなら早いほうがいい あなたはどうせ 思い通りの時間に来ないし 待ち草臥れて 花時計ぜーんぶ枯れそうよ? それもどうでもいいって腐すんだろけど もういいかな 泣いてしまって それすら構ってもらえないなら 悪戯に笑う横顔が 好きだったのは嘘…

愛の通りみち

ほーらほら 行く手も定か 通りゃんせから外れて ひとりぼっちの魂さん 肩に止まった飛び虫の なかなか離れないこと 人間から離れているのかと また不安に駆られんね 行く手ぼっちの魂さん 幼い頃に苦に耐えたから この世の全てを負ってるような 気になって …

裏池

じっとしていて 体育館の裏で オタマジャクシの群れを見る 触るのも平気で 怖くもなかった生き物は あれが最後かもしれないな 雨落ちる池は 自分が濡れようと汚れようと 馴染む景色として 見てる分には心地いい だって一生懸命走っても 追いつけないグラウン…

問い質して宇宙

また至らん魂を 寄越しやがった 何度言ったら分かるのか 馴染まない馴染まない こちとら迷惑 そちらも投げやり いい事なしさ 星屑を見て哀れむ 輝くうちは愛でる そんな目出度いのは 人間くらいで 知らぬ存ぜぬの あんたを問い質して 突き返したいさ 諸々を …

追想の夜

思いだしていたの 口伝えにしか 物語を聞けなかったころ 布団を頭まで被って 想像したもの 想像したもの 悪い夢を幾つも見て それが現実かも分からなくなって 不安になったこと 誰にも言えなかった 息の苦しさや 皮膚の爛れを 今なら簡単に共有できるけれど …

連れ立って丑の刻

いよいよ恐ろしいという丑の刻も過ぎて 真夜も真夜 あとは明けるまでの儀式を この虚ろぼんやりを耐え抜けば じんわりと陽は来て 紛らわせること出来るでしょう 蒸す手前の憂鬱 皐月ににじむ葛藤 愛でそやされる娘の 憎たらし もう忘れてしまうなら 帳簿も捨…

いたいの飛んでけ

いたいのいたいの 飛んできな 少し乱暴にさする手が 何より薬になるんだもの 暮れ時までには 飛んでくさ 夕餉よそい 笑い合う絵が 物語や想像でしか 浮かばなんだ いたいのいたいの 飛んでけと 自分でまじないは恥ずかしさ ぐっと堪える癖もつく 死に時まで…

春蒸すおもいで

友は消え それもまた趣のひとつと 歌えよか 春は凪 その退屈に 耐えきれんかったか あの豪快が 酒煽り 沈むなど 粉々に散りゆくなど 肩を組み 放課後じゃれたころには 想像できなんだ 友は消え 地にまた図らずもひとりと 口尖らせて 歌っても 歌っても 返事…

夏入り宵入り

バス待ち 夏の入りはまた蒸して 茂みを踏んで 木柵越えて 海風を見下ろしてる もう9時まで鐘も鳴らない 真っ暗にはならない 海色はぼやけてる 鼻歌はお化けが来るって 今は気にならない 焼き場も近い 峠はそこよ 死が近いならそのぶん 生もすぐそこにあって…

愛と生命の怠惰

生きているのか分からないと 何年も何年も夜毎認めていたら 愈愈生きている気がしてきた 皮肉なものね もらった手紙も焼き捨てて たまの電話は聞かぬことにして 抱きしめてくれた人を突き放す そんな横着を働いてでも この不安感を書き留めたかった そうして…

解放の陰

皆が解放されてゆく中で まだ囚われた可哀想な子 いいのよいいの なんにもあなたを縛りつけていないけれど そうねすぐには 切り替えられない心が わかるわかるわ なにもあなたが悪いわけじゃないことも いつまでも捻たことを言うのは 子供っぽいなんて 僻み…

海に似た人

青ければ青いほど 憎らしく愛おしく いずれにしても心が離れないもので 生まれ育った町の景色と あなたを一緒に見ていたから ついつい混同してしまう たとえば私の思い違いでも 一瞬だけ心澄ませる チャイムの音と交じりながら 息のできる心持ちをくれる あ…

現実社会と時の鐘

夢想に昂じれば いよいよ現世は遠く 病なりなんなりの 良くて吟遊の者か 時の鐘は街の真中で 大きく知らせている 今何どきとそれではない 此処で生活を営めと 知らせている 時節に忠実 蒸す部屋と 歌にもならぬ小蠅まで来て 肌は赤く掻きむしる そうやって引…

pipe organ の気配

讃美は苦手だった それだけでは罪にならぬとしても さんはいと口にできる言葉ではなかった メロディに至っては 鳴り始める前 pipe organ の音の気配だけで 苦しくもなった 神に賭す覚悟など 本気で持ってしまったら 死んでしまうよ どうして皆わからないんだ…

夏待ち近し

雪を見たつもりが 夏待ちも近い そうやって誤りを正していくのか 記憶と想像を生きすぎて 現状は何にも見えないや 年端もいかぬ頃 聞きおぼえたメロディーが 離れなくて離れなくて 苦しくもなるくらいだ 果たしてこの地は 本当にあるだろうか あったとして …

ここで暮れてゆくならね

飲めもしないコーヒー啜って 何の苦にもならないわ あなたの隣に居ていいものか それだけ気になって仕方ない 洒落た店も気が引けるけれど もっと大きく考えすぎて 果たして今時分いていいものか この星この土地この時空 あなたの声は落ちつくけれど ずっとは…

今に思う

もうあとは どれだけ削ぎ落していくか 溢れるモノも情報も 要らないものを捨てるとか 要るものを拾うとか そういう話になってくる まだ人が歩く速さでしか 本当の景色は見られないのよ 息をするリズムでしか 話し合いもできないわ これからも膨大に広がるつ…

貴方が言うならそうなのね

やわらかなmusic 何も受け付けない身体に 染み入る珍しい存在 死にたくないなら生きろって 死にたくなっても生きろって また声高に叫ぶのは誰 いいのよ いいのよ 別に意気込んで 生命を全うしろと いいのよ いいのよ そんな人には構わないで ただなーんにも…

信じる狭き世界

信じるしかなかったのよ 神も仏もない国で 空の言う人の言う 正しいだとか伝えだとか 身体も頭も侵されたのよ 閉ざされた村で 歴史も碌に知らんから 自分の生きた時空間だけ 草を踏み 腰を落として 苗植えた 彩りは緑 そして溶ける青 信じるしかなかったのよ…

五月雨

潤んだまま 生きていてもいいんだよ ねぇもしかしたら 自分で決めた 思いこんだ何かに そのまま縛られていない? 雨は久しぶりの注ぎ 季の巡りに従順 あぁ愛おしこと 時に逆さ巡り 人の知らぬだけで 潤んだまま 決めこんだものを捨てたり 卑しくも従ったり …

夜伽噺

おいでませ おいでませ さすってくれてよい話 灯りは好きにして どうせ見もしないでしょ あとは見も知らぬ 異国の節を遠く聞きながら 落ちるとも 落ちるとも 耐えてみせましょ いずれのぼりゆくまで 堪忍ね 堪忍ね 黙っていても漏る話 身綺麗にしたとこで ど…

しがない暮れ

しがない1日は 面白いほど早く暮れ 夕日だ何だに構ってもらんないや 苦に苦を重ねて 嘆いたところでさ 使えるモン使って 生き延びていかなきゃ 飯も食えない思いを 1度でも したほうがいいなんて 嘘っぱちだ 駅前の静かも 部屋まで上る騒がしも 関係ないさ…

忘却のためなら

忘却のためならば 幾らでも積むよ 大して持ってないけどね 暦の数え 日々触れるNEWS 葉は擦れ ヘリもけたたましく 何かにつけて思い出し また思い起こし そうやって思ったことを また振り返る 幾つ目があっても足りない 視線は積み重なり 情報社会とやらも凌…

ははおもい

あの背に縋ったら 今は変わっていたろうか 五月、風も澄めば 考える 静かに家を出て 誰を惜しむこともなく ただターミナルへ 一直線 弱くて それでいて融通の利かない もう顔も思い出せないけれど そういえば私に似ている あの背に縋ったら 何か変わっていた…

こえ

地球の裏側まで 届いてくれ そうでもしなければ 説明のつかないことがある いのちの証は 諦めたけれど 科学は裏切らないのでしょう? いちばん苦手な いちばん確実な どうか地球の裏側まで 届いてくれ 宇宙の果てまで 届いてくれ 人類が描けることは すべて…