おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

理不尽と数十年生きている

理不尽に受けた 暴力暴言の類は たとえ何十年経とうと覚えている 正確に言えば 離れようとしない これが喰らわせた側に分かろうか 錐で突かれたように残る とぼとぼ歩いた道の 乱れも整いも鳥のけたたましさも 恐ろしいくらいに残っている これが体験してい…

駆けた後の予感がする

最後は此方も気づかぬうちに ゲームアウトとなっていたようで それでも全力で走り切れと 習ったことを守ったまでです 声援は途切れた もう見捨てられた、なんて 極端な思いが すぐすぐ浮かぶけれど 思うほど意地悪じゃないみたい 息は切れてふらつくけれど …

伝えの真

嘘ついて上手く渡ってる人は見たことあるけど 嘘ついて慕われてる人は見たことない 馬鹿を見ると決まった相場 甘んじて受けましょか 正直者にはなれないまでも 故意に人を欺くな さすれば彼女の様には せめてならずに済むでしょう あと少しの辛抱 不思議なも…

草分ければ

離れない三拍子 泣いたら負けよ どうせ終わる世にも縋って 正せない姿勢 苛立っても損よ どうせ知らずや夜もすがら 髪先は整わずに 理想だけを並べた雑誌が 放られて 旅先は思い出を残さんと 躍起になって回れば 草臥れる 離れない三拍子 何処に行っても 生…

夏越

夏越には力がいるわ 一寸手を貸して頂戴 いいえ、何をするでもなくて 精神上の話です 気の移りは 少しの雨宿り 化かされぬように心して 気の滅入りは まるで嫁入り 目覚めれば連れていかれた後、 なんてことも 夏越には花もいるわ 植わったそばから捥ぐのも…

白昼に微睡む

記憶の中にだけある人が どうして目の前におる者に勝てましょか 汗水流さずに心の内で 戦う振りの者に世は冷たい 生き延びなければいけないけれど 遣り過さなければいけないからね 宙ぶらりんの虚しさと のらりくらりの狡さをもって なんとか生きていけるも…

愛を恋ううた

愛は遠いくせに やたらと輝くもの 誰の気を引くつもりもなく 煌々と在りつづける 責めてくる気がして 寄りつけなかったよ たまに望んで求めても 触れあえなかったよ 三つ子の魂の その所為にいつまでしよう? そんな愚かさや悩ましさまで 高く光り放ち 包も…

いちばんせわしいところ

頭の隅っこ それが割合忙しいものね 駅前の暗がりも 降り積もった寂しがりも 数字並べて疲れた今日も 葬ってあとは帰るだけだけど 痛くはないけど 頭の後ろ ずんずんと来る悩みの名前 例えば本に書いてあったとて 信じないでしょ 信じたくないでしょ ドアを…

能と世の在り様

頭がよく思慮深さがあり しかし社会や人には馴染まないとして それが能力なしを見るならば なんと嘆かわしい体裁 世の内に生きれば可視、不可視 あらゆる圧があり それをじっと受け止め切れる者 さらっと受け流せる者 受けること自体ない者 生き残ったが勝ち…

恋のまやかしに たしかに

首筋に触れたいと らしくないことを思ってしまって あぁこの手はやっぱり 恋するためにあったのね 認めたくはない情話 知らぬうち不意に消える命 色んなもの天秤にかけるうち 逃したくないものだけ、残る 声は澄んで耳をとらわれた 元をたどって貴方を目にし…

音楽室集合!

明るく歌えるかい? それが叶わなくても とりあえず話でも 16時、音楽室集合! 古びた楽器ねむる倉庫 昔あった部の名残だって ほんとに錆びついちゃう前に 取り出してきて 好きな音色 かっこつけでも 手拍子も なんなら泣いても ここは音符が蠢いて 苦しむ隙…

宵節

宵も宵 夢ばかり見ていたら 暮れるどころか寝静まる 地は地 届かぬ星月を眺める暇あれば もうお眠りなさい 宵きても 眠ってしまえば良い夢が 見られるとは限らないでしょう? だから必死の生き通し 果ては疲れて堕ちるけれど 宵よ来い さあ待ち望んで戦争だ …

瞬間に足るえにし

殊更、えにしを持て囃すのが嫌いです 捻た子の我儘と言われても 波打てば風吹けば やれ言伝だと絆だと 騒ぎ示すのが堪らんのです 例えば本当に美しいものであっても 手にできぬ者を疎外する その性質が容れぬのです 墓前に揺れ花火 夏の風物 感じ取らなくて…

愛に散る夢

それが祖国なら 構わなかったのです 石に躓くどころか 岩を砕き散らして 名も知らぬ者に跪く 幼い頃に暗唱した 詩歌が自然と過るのです 兵法はもう飛び消えて 残した子等は きっと達者で 誰縋るでもなく育つでしょう 散ることが美しいとだけは 教えたくなか…

香にあてられる朝の問答

何者でもないという劣等感だけで 生きながらえているのは なんたる皮肉か 夏の香をもたらす しとやかなメロディーが また抉りくる朝 大事なのは体裁を整えることじゃないけれど それ以外に遣り様のない体になり 誰にも気づかれぬまま死んでゆくことが いよい…

拗れた縁の帰りみち

拗れた縁もまたえにし 振り解くことはできないね 夕日の跳ねっかえりが 痛くてさ とぼとぼ歩く川沿いの 賑やかしもせせらぎも嫌う 世から外れた気になるね 箱としての家に帰っても 本当の意味の帰り着く 土台の故郷は無いみたい 拗れた縁の狭間にもう 引っ掛…

思案の宵

恨みつらみに酔わなければ やってられない夜があるの 小綺麗な歌を流すのはやめて もう1杯頂戴 得手不得手を云ってる場合じゃない 指先が柔くなるまで 忘れられずともぼやけるまで もう1杯頂戴 思案橋 渡り店先 誰にも云えぬことを吐く 世の宿りには反して…

海前の灯火

さやけき音 また夏のめぐりを思わす 溶けぬよう慌てて 持ち帰る子の氷菓 海前にささやかな家を建てた 甲斐もあったね だけれど この姿を見ることなく 口惜しいものね 柔き肌に赤い傷が 小さな額からは汗が もうねこんなにはしゃぎ回るのよ 私ひとりの手には…

底這う音

愛は遠ざかるために姿を現した 低き者の声はそう 届かぬようにできて 何かにつけ定めという癖 猛き者に限らぬだろう なまじ挫けた側の言い訳に使われる それでも云わせてくれるなら カミサマ 祠はそのためにあるのでしょう? 誰も知らぬ間に朽ちる命が大抵だ…

Nobody loves me.

Nobody loves me. 影法師 暮れには宿る商店街の軒 思いこみだけで十分 落ちこめるもの Nobody looks at me. 嫌通し そうやって焦れてゆく 今日も明日も着乱れ かさついてゆくだけ 夕凪こいしい 海町にかえりたい 贅沢は決して敵ではない 心の中なら 生まれた…

愛し子の夕朝

肌冷えのする夕 翳る日 1枚余計に持ってきて そっと掛けてあげましょう 愛し子は か弱くもある 思えば僕よりも しゃんと考えを持つものだから 過ぎて疲れ果てるのでしょう 愛し子の髪をなぞる 公園のかくれんぼは とても遠い出来事に見えて 隣を歩いて過ぎ…

媾う気たち

息継ぐだけで過ちに似ている 国道向こうは気が悪い 例えば栄えた人情街でも 馴染まぬ者には朧足 呼ぶな、呼ぶな まだ行かぬから けれど、けれど 此処にも居れぬ 媾うでしょう 気と気もまた そして相容れぬこともあるでしょう 流しのように歌いさすらうか 獣…

因果問答

因果は全て知れたほうがいい 何とも知れぬ頭痛は怖い 担ぎこまれるほどではないが 常に重くチクリと いちばんの厄介 世のことは知らぬほうが良い 何かの随筆で確かに読んだ けれど妄想と不確かが過ぎて 思い出せぬの 疑いだしもするの 罰当たりの命でしょう…

花占いに酔う子

花占いは 似合わぬからやめた 遠い排気がもうすぐ届く あなたが添えた手の ぎこちなさには 愛とは違うぬくもりを見た ただ永らえる命は 歯がゆいな どうにでもなれ、はまだ言えない 雨音すぐに気怠く変わる癖に 風靡をちらつかすな 花に揺らいだ 気持ちが恥…

日々綴り

掻き毟る癖は治らなくて 名の付く病だと聞いた そういうものがまだ他にも 溢れているんだろうな 太陽が昇るとともに起きて 沈むころに眠るがいい 昔ながらのことは概ね 科学に淘汰されても正しく残る 移りゆく中にいても 時代の呼び名が変わっても 例えばお…

まだ来るたとえば異邦人

愛に飢えた子だって笑う? 貴方の当たり前では推し量れないでしょう いつも勝手する神様 そして何より人 熱がなければそれで健康 だけど時たま熱持つときが わずか幸せを感じるような 気のせいだけれど 呪い子はそうなのよ 大人になれない子だって詰る? 世…

雨前に綻ぶ

綻ぶように いつでも消えるわ 命は偶々其処にいるだけ 雨の音はせず しとしとと 恥じらうように 漏れでるもの 養分と云うけれど 愛は遠く さらに遠く 求めた時には居らぬもの 雨上がりにやっと慕うもの 乞いがすぎれば そっぽ向かれて 枝葉に拘るほど 本筋は…

空模様 いのちの行方

連なってゆく雲が 行方知れずの命が また疼きだすだろうから その時に会おうね 毎日はむずかしい call 移り気は仕様がないもの 止まり木に日も差して shine 愛しいだけじゃない どうしたって付き纏う 終わり、別れ、苦悩をまだ 払うことも薄めることも 方向…

港と心臓

胸騒ぎは 何もない時ほど目立つ ドクドクと流れてゆくのが分かる血 港を臨み 愛と別れ 繋げる気などない生命は 汽笛にそう 搔き消されてくれ 身体の震え揺らぎなど気づかぬほどに まだ生まれる前 開けた港 泣かないよ それくらいで 旗はハタメキ 進路を変え …

遠く柔いさけび

何となし毎日が 呪いのように思える時 弱き身体か 柔き心か 何れにしても朽ちはせぬ つづくのよ つづくのよ 終わらせる自由もないよう 本能が さけぶのよ さけぶのよ 生きたい死にたいそれよりも 何となし毎日が 呪いのように思える時 生まれた性が 死にゆく…