おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

街の雨よ風よと云って

梅雨のある国に生まれまして 野分も身近にあったもの 何を今さら狼狽えて よすがを探すようになる 降り込む雨が憎けりゃ 天まで憎いなんて 馬鹿げた話はない どうせ死ぬよと云いながら 生き長らえた世は 意外にながく 鉄砲雨の来るときは 此方の心も武器のご…

明け床

愛されていないことに気づくには十分の 煙草の煙り残していった 咽かえして涙目 切り刻むものも見当たらないし 幸せそうな人のいる 街に出るなんて御免だわ 項垂れそうな1日を 窓開け風通すのでも精一杯 甘い言葉をくれたって 半日経てば蛻の殻 台詞だって…

a lost child

大通りを1本入れば 急に異世界のようで 只の少しの坂道が 重い歩に思えて 最近じゃ出歩きもしないから 迷子にもならなかったけど そうか本来 異世界の子 生まれ変わったんじゃない 思い出しただけ 自分の涙の拭き方も 忘れてしまったというのに 傷を作れば…

宵に堕ちる

曜日も忘れた鳥が鳴く 草原は少し苦手 薄い肌に残る あなたの手が 気配までも 今夜このぬくもりを 持ってこのまま死ねたら 幸せ不幸せより先 あぁ生きていたと思えるわ 言葉たらず あおる不安 それさえ愛おしく思える人と 触れるだけで もうそこは いつの間…

散るまでの花火

キャラメルラテの冷たさが残った 帰りついても休まらない心と どうして渇きが残った こんなはずじゃ 繰り返して 倒れこんでも針が 耳にうるさいだけ あぁ夏は 駆けまわるためにあるはずだった 海よ木よ 夜空花火よ 恋しがれば夢にでも あぁ夏は 汗かきベソか…

取り持つ哀しいメロディー

昼寝覚めの間に雨は降り込み 見て見ぬ振りもできたもの 髪切る飯食む 雑多は幾らでも並べて 現実で現実を遠ざけよ 今生では叶わぬと云う楽もある 夕風吹き込み そぐわぬ高速道路の 明かりと車の音 いやに懐かしい人が夢に立つ 言葉聞き取れぬのに 追い詰めて…

ふーかの慣れない街歩き

地図を鵜呑みにして近道は 迷って疲れて遠回りになる もう何回だって学んだはずなのに まだ雨前だから歩いてみた 都会だって思った街も 一歩入れば木に虫に鳥に 五月蠅く涼しい 日は暑い せっせと知らぬ坂道を 上ることになろうとは だって名前からして海街…

2人の瞳で見ている景色

君の見た海は綺麗だった? 泣いてばかりも ほら 退屈な気がして 君の見る景色が綺麗なのは 目の前のそれより先 君の瞳が澄んでいるから そんな気がして 恨めしかったり恋しかったりだ 青はきらめく日に落ちて 揺れて人の一生を飲む 君は気づきもしないまま …

そっと歌う君のこと

紺と白の色違いで お気に入りなんだね 日替わりで着てる 風を含んで少し揺れるワンピース 憎らしいくらいお似合いだね そっと歌うその声が 消えればいいと思ったころ 今さら恋なんてしないし 伝える言葉も忘れたよ そのままの君でいいと よく聞くけれど 僕は…

3号線の夜道には

国道3号線ひた走る もう温かい場所にはいられない それなのにいつまでも幼な気分 チェーンの外れた自転車 捨ておくわけにもいかず 大声で歌ったら捕まる 溜めこんだらバランス崩す すぐに入れ替わり立ち替わり チェーン店の看板が煩い だけど入ってゆく 今…

愛ではない欲情とは

幸せな人には、わかりっこないから 向こう向いて 好きにしてて 不幸な人には、引きずられるから こっち見ないで 勝手に生きて そんな思い違いが後に 戦を生むか 平穏でいられるか 遠い遠い隣人の 光を受ける時は 恨めしくて とても近くに感じる 天空人を 求…

Dear. かなで

もう9時も過ぎて 晩ごはんも終わったのに 我慢できずに開けるクッキー またボロボロこぼしてまぁ 顔おおって しょげたってダメよ ちゃんといい子にしてなさい バラバラの世界軸の 隅と隅 偶然繋げて あなたのパパに出会ったのよ うんと抱きしめてもらいなさ…

酔い子の7月7日飾り

少し遅れたバスに 迷う間もなく乗った 1本逃したら大ごとよ ずっとガタゴト揺れる道 窓にもたれ掛かる酔い子 感傷は 都会の人のような 許されないみたいね 願っても 届かぬ7月7日が来る 真似事で作った 戯言を吊るした 心地よさなんて疾うに過ぎた 強い風…

大人になった迷い子

景色の悪いベランダと 電車の見える窓を開けて 一気に風が通ったから あぁこんな街に住んでいたんだなって 行く先行く先 幸せよりも 苦痛のないこと願うばかり 行く先行く先 旅先のようで たまに帰る故郷さえ 置いてけぼりのような気持ちは何だ 生まれてこの…

dark the radio

人の幸せなんて願ったこともないし これからも願う予定はない それに対して何てこと言うんだって 綺麗な信言がのさばるから 心やわらかな人が病んでゆくのよ 概して浅い人間ほど 声が大きいものだしね 春うららかに負けじと今日も 世の底からお届けします 澄…

眠り少女

淡い薄オレンジが 今日初めて見た空だった 昼日中 眠りこけていた甲斐もあるというもの 怠けているのを良いように言っているだけでもね 狭いベランダ ふわっと風を通して 今日はこれで 外界に出たってことにしていい? 人とは違う 疼く胸を 只々不安と呼ぶの…

終わりどきの文

心を落ち着かせるには だいぶ時間がかかるよう 名前のつかない苦しさが 腹から喉から込み上げて もう仕舞にしましょ 生きているのか分からなくなる時 風はただの煽る凶器 心地よければいいなんて そんな単純な造りじゃなくてよ 澄みわたりを見せられて 傷つ…

日和見の手紙

長いこと 手紙のひとつも書かずに 何の沙汰もなく よければ忘れてほしいのだけど そうもいかない田舎の四季 遠ざかり 波打つように また引き寄せる日が来るだろうか そんな日に 貴女がまだ この世にいる保証はない 不孝者だと詰っていいので 忘れてはくれま…

月の言葉

月の言葉を聞いてみる ねぇ 透明な壁を越えてゆくのよ 数年前の悲しみが 尾を引いているのだけど 貴方なら貴方なら 知っている気がする すがりつき 透明な壁を越えてゆくのよ そっと抱いてくれたのは 幻じゃない? 空の彼方は綺麗だと 決め込んだ歌の多いこ…

夏の子

コーヒーが苦手って言って 格好いいことのような気になった いつまでたっても垢抜けない 夏は体じゅう掻きむしってさ 愛だの何だの遠いなぁ じゃあなんで目で追ってるのかって 意地悪なこと聞かないでカミサマ あぁそうか自分で思ってるんだ 天はそんなにヒ…

不確かに昇華してあげる

2時間起きてまた眠れば いつが本当か分からなくなる ネガティブで結構 さがならいっそ 極めてみるのもいいものよ 確かなものを増やしてゆくより すべて不確かにしてやりましょう 強い意志を持った者が偉いなんて 誰が決めた ぼやかしてぼやかしてやりましょ…

そういう生まれの人なのよ

思いのほか強い風にあてられて ボサボサ髪でむくれてる 予報見ないのが悪いのよ でもね見たって一緒でしょ 天地栄え 愛を覚え どうして誰の死を目にしたわけでもない このごろ 終わりが見えて恐ろしいのは きっときっと 貴方が そういう生まれの人なのよ 土…

夏の香ほのか

ほんの少し夏の香残し また逆戻り このままじゃ得意の風邪っぴき 宙ぶらりんのワンピース 先回りして悲しまなくていいよ そういうふうに生まれついても 逆らうことも思いつめることさえ 自由でしょ 窓のわきに雨の香来ても ほら涼しげに このままで夢うつつ…

警告節ひとつ

息も絶え絶え 生きているだけなのに 後ろ指さされてるような 気分は何だ 狭い島に閉じ込められて 膨れほっぺのミナシゴ ねぇどうして 誰も気づかないの 海がきれい山がきれい 手放しで称えるけれど 原始的な自然が残っているということは 人の心も文明もまた…

明日酔うため

眠気覚まし 明日酔うための パラパラ捲り 時代遅れと言われても なお弾む 月に帰るならいいじゃない 度の弱くなってきた眼鏡にでも頼る 旧い物語ほど入り込んで 煙草の匂いは尚嫌い 三つ子覚えが効いたよう 伽は済んでも 割り切り宵は 過ごせないよう 熱燗運…

四角四面に雨を打つ

小銭を数えて舌を打つ そのくせ 皮算用も同時にどこかでやっている そりゃ狂っていくだろうよ やれ大雨に襲われるぞと煽るものだから 身構えていたのだが なんのことはない 雲の気 此方には向かなかったらしい 一時ざっと覆われたが すぐに冷めた 街は直に降…

歌に恋するのね

やわらかいピアノで始まる 愛なんて一言も言わないのに 生涯知ることもなかったであろう 感情をくれた あぁ心臓を掴んで離さないために この世に生まれたのね 優しく苦しい人の胸 どうにかこうにか出てきたのね しかと心に受け止めるわ やわらかいピアノの音…

小道に歌を

暮れに馴染まぬ褐色の 淡い小道が憎らしく 迎え来る者もないままに 1人帰った道思う あの時渡った島から島へ 賑やかしの街は要らないわ そうやって生きてゆこうと思ったのよ 強い決意じゃなかったけれど 人知れず歌っていようと思ったのよ 闇待ち時 泣かな…

unknown honor

王よりも右腕が 動かしている国があり 体じゅうに赤痣を残した少女があり 誰も見向きもしないことが 何よりの誇り 封じ込めの呪文を呼べ 猛き者しか知らぬ 絶対数は尚少なく 世を忌み去るには充分の それでも捨てずに居たことが 人知れぬ誇り また広がる傷に…

心はいつも波前に

凛としていたいと思ったものよ 夕凪夜凪は味方でも 傍にはいられぬものだから 私のこの足でしっかりと立って 前へ前へと進めなくても せめて 己くらい支えていたいと思ったものよ だって、だって 誰が救ってくれた? 今も今も 続く独りよがり 波音は記憶だけ…