おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

雨の一滴

予報なんて見ていないけれど 起きたら雨が来ていた なるだけ閉ざした窓の外からでも 分かる気配が来ていた 昏さに逃げることもできないから 身を上げて世間へ向かいます 明るく振り切ることできないから 脱力して帰ってきます 半端な命がここにいて 笑われて…

君は愛を信じない

愛を信じない 君は愛を信じない 言葉を尽くしても この腕に抱いても 愛は脆いと 古今東西の 言い分だけでは こうはならない 誰だ 君から愛を奪ったのは 誰だ 君に愛を教えなかったのは 今からでも行って 殴ってやりたい 幼い君を抱きしめるのは 僕の役目だっ…

なつやすみのおわり

6時の鐘に呼ばれてる それでも帰らん意地張りが たまにできるようになった つかまえたバッタ つかまえたはいいけど どうしよそんなに得意じゃない 見てる分にはよかった 触るとまた違った 砂ぼこりのグラウンド みんな帰ってゆくから 僕も手放して ついてゆ…

花火灯り

花火はもうこれで最後 バケツに水汲んで湿らせて終い 熱のじわっと残る 道路沿いの墓 もう煙に巻かれているのに ちらちら残る 目に残る 赤とも青ともつかない 灯りの中にいたかった 消えてほしくなかった 泣きべそ掻くほど子供じゃないけど まだすべては飲み…

凭れる窓に来る波が

人集りの駅は もうね通り過ぎて 海見るつもりなく 西へ揺られるだけ 熱い青春とは 距離を置いていても 窓に凭れる時 恨めしくもなるもの あぁ彼は 息を切らし 走っていた 仲間に囲まれて ひとり見る 惨めさに耐えられず 恋を閉じたこと 今になって来るのね …

秋の音

これだけ毎日暑ければ 終わる予感もしないでしょう 凌ぎの宵にも蒸すのなら この世の地獄とすら思えるでしょう だから秋は音を持たない 太古からの決まり事か そうね秋は声を出さない 知らぬ間にそろりが得意ね 仰ぐ手ももう疲れたから 不貞寝を決め込む頃合…

此方からは以上です

止まるはずのない列車 背負った業が 日を跨いで襲う 深すぎた 慌てふためくには 少しの余裕が必要 それさえないB号車 もう終いだと 思う暇もなかったさ 死にかけ生き残りの声は そうそう聞けないでしょう ほんとは届けたいけれど 如何ともし難い 現世の決め…

それは愛ではない

愛の殴りだ そんな言は 受け付けないな 暗がりより深い 思い場所を 知らないから言えるんだろ 時代が移り変わる狭間にいる 自覚はある 戦が終わってまだ数十年 本当の意味で終わっていないことも いつまで負っていこうかな 僕が決められることじゃないけれど…

K

12階で降りる人 目で追って見送る癖 ばったりの朝に何にも 言えないか言えないよ 隣り合わせはいつぶり 鎮まれ明日まで やりすごすひたすらを 恋と言えるのか 景色にやられる毎日を 電車に飛び乗るあたふたを どうにかこなしたご褒美だけは 素直に受け取りた…

秋祭りの予期

子ども等が秋祭り 見据えて公園に 夕に漏れる囃子 ばつの悪さは田舎暮らし あの家の あいつが何やった何言った あの子はどこの子 嫌味にしか使わぬ枕 ばらか奴ははぶれ 宵に破れかぶれ 遠岸に旅客の船 知らん奴の来たばい 内でも揉めて 外も受け付けんで ど…

抱えこむ秋

全部壊してしまうなら秋 有耶無耶にできること多数 ほんの少しの理性 掲げたってしょうがないでしょ 愛してもらえなかったのに 縋るみすぼらしさ 思えば正せる 若しくは投げ遣り どうしたって明日は雨 全部壊してしまうなら 道連れも擦り付けも いいのよ何だ…

宵のひめごと まつりごと

見まちがいの あなたの背を それでも追った 夏祭り 履き慣れない 下駄に泣いた 傷は見えないとこにつく しゃらりしゃらりの風鈴が 宵を待ってもまだ鳴って 連れていってよ 少しなら 肌まかせてもいいのだから 擦れちがいの あなたの顔 焼き付けてまだ追った …

赤いつき

日の変わる前に 横になりな うだうだと 眠れなくても 構わんから 明日の不安より 今日の不確かが 怖いね 月が まあるく赤く 明日を待っている 低くつないだ いのちみたいね

呼び応えの水

嵐を追いかけるように 西へ向かったのは 間違いではない 予報を外れるに懸ける その意気に乗る けれど 船はやめておけ 戻れぬ進めぬ 水上の人間など 藻屑と変わらぬ弱さで もうあっという間に 御陀仏よ 流れに逆らうように 念じ続けるのは 間違いではない 見…

歯止めの葉

床上げは 明日にでも叶えど 陽気は上がり 余計な熱にやられる 格好のつかないまま 年だけ取った いちばんなりたくなかった 手前勝手に暴れる輩に もうすぐ しずかに なろうとしている

すみだのひと流れ

拾ったどんぐりの 拭って秋 覚束ない足 明日の大丈夫 川沿い 昔の歌にはあり 流れはおどろおどろしく 期待はずれのプラネタリウム 歌はいらないの 美しさすら ただただ星を 見たかった うまく運ばない彼是を 煮詰めた頭が熱いあつい もう見られない景色があ…

夏気の下

陽気な銀座 景色も見えず停車駅は カンカン娘が弾む ようやっと分かって 夏気に打ち水 先週の祭り 熱の道の ちょうど下あたりにおるっか 洒落た店に 見るからにお上りの 行けたんも知らんから 知らんから行けたんよ 思い出も銀座 いちいち煌びやか 連れてこ…

泣きっ子だあれ

泣きっ子だあれ 連れちかるっばい 菓子ば残して 守の唄に引かれて 泣きっ子だあれ また呼ばるっばい 親ば残して もっと先のもんに 泣きっ子だあれ 引っ張らるっばい 雛ば残して 暦に逆らうごとなる 泣きっ子だあれ もうしばらくの我慢ばせんば 明日も暮るっ…

盆の満ち引き

頭の中は ごちゃついてるくらいのほうがいい 来んね行かんね 騒がしい盆時は 掻き消すくらいの花火がいい 引く手数多の盆過ぎは 海に近づかんほうがいい むかーしの人のいうことは 訳わからんならわからんほど 聞いたほうがいい 心の臓いたくなる そんな血に…

喧騒のために

夜も9時になれば 怖い鐘が鳴る ねんねんころりを 態々おどろおどろしくした 眠れない歌が鳴る 明日耐える 喧騒のために ねむれねむれ 無理にでも これから耐える 喧騒のために 無理にねむれ 子じゃなくとも

置手紙

生きながらに生まれかわる あなたは尊い人 横たわる振りをした あなたは賢い人 ねえ明日にでも 姿を見せてくれていいのよ 恥ずかしがらないで こちらに来てくれていいのよ 来てほしいの 生きながらに生まれかわること きっとできるのでしょう?

波がくる

波がくる ほら波がくる 身構えなさんな 悪いものじゃない 菓を少し持て 夏に感じる 波がくる 呼ばず波がくる 大きなうねりのひとつにね 過ぎないくせに大きなね 取りこぼせない歪み 忘れたころに灯 波がくる 呼ばれずとも波くる

月見る地

月はその心算でいる 地は狼狽えている 力なきくせに武器を持った 罪を被り続けている 月は偶に此方見ている 地は知らぬ振り決め込む 力欲しくて足掻いたのに どんどん醜くなるたけさ 街は 忘れられないように 陰気を孕み 不自然に鐘鳴らす 明日は 訪れるだろ…

はざまに思い

人生のどこかで交わることがあれば あなたのその気を感じることがあれば 私は生きていたと 胸を張って言えるのに 押しつけられず多様 それゆえに何も残せぬから 人生の暮れどき 思い出すことあれば あなたの一部になっていたいものね 私は何者かと 神にも己…

清への鬱憤

のびやかな朝が 年に何度かやってくる あぁ今までの長い時は なんと無駄にしていたことかと 愕然とする けれど たまの気分良しだから言えることだ もう体が重くて動けないよ そんな時分を幾つも耐えてきたでしょ さわやかな歌が 無神経に聞こえてくる 窓を閉…

苦手のに

はじめの一歩がむずかしい 踏み出し方を知らないからだ 明日には誰か 手を引いてくれるかな 勝手に歌いだした 身勝手と勇気の同居 怒られないかな 褒めてくれるかな 罪や痛みが 身近に この身に ありすぎて 腰が引けるいつも 落ちた目で 無理に笑うおかしさ…

年にいちどの花火の日

今日は 川沿いの花火に呼ばれて あの人も帰って来るでしょう 時期じゃないとか しるべないとか 細かいことはいいのよ そんな気にも留めない人だったでしょ 人混みを嫌うのに 連れ立って歩きたい 嫌よ厭よが 本当に嫌な時もある 掴めない 天邪鬼ね 素直でもあ…

はじめての海

電車は混み合いを過ぎ すっと開けた景色 家々の合間に 姿見せる青合い これが海か 知らなかった海か 誰も教えてくれなかった代わりに 僕は訪れる時を待ったのさ 目から気から 海を見ている 電車は古駅に止まり はじめての懐かしさ 地の人に混じり入り 改札を…

明日を歌う奴などは

叩かれた痛みが引いても 船酔いに思い出すこともある 飯を食むにも 息をのみ神経尖らせた 明日が来るなどと 歌わないでくれ 押し込められた記憶から いずれ溢れる喉奥の泥 それでいて吐けない苦しみが 付き纏ってゆく怖さがある 時代の所為に 世の所為に 幾…

弾きだされてとらわれる

弾きだされた者たちは どう生きていくのが正解だろうか 若しくは 生きるという選択肢から考え直すべきか 夏花火に酔い 感動に駆られる者たちを傍目に 足取り重く 考え込んでいた 駅に着いても 家に帰っても 落ち着けることはなかった はじめから この星に馴…