おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

夏入り宵入り

バス待ち

夏の入りはまた蒸して

 

茂みを踏んで

木柵越えて

海風を見下ろしてる

 

もう9時まで鐘も鳴らない

 

真っ暗にはならない

海色はぼやけてる

鼻歌はお化けが来るって

今は気にならない

 

焼き場も近い

峠はそこよ

死が近いならそのぶん

生もすぐそこにあって

 

息吹より大きな

風が吹いている

 

バス待ち

ひとりだと逃しそう

そもそもが忘れてしまいそう

 

宵の入りはまた蒸して

海の気がそのまま上がってくる

気がしない?

 

なんで湿っているのか

上からと思いきや下から

夏は来ている

 

バス待ち

連れてかれないように

木柵越えて

大人しく戻ろ

愛と生命の怠惰

生きているのか分からないと

何年も何年も夜毎認めていたら

愈愈生きている気がしてきた

皮肉なものね

 

もらった手紙も焼き捨てて

たまの電話は聞かぬことにして

抱きしめてくれた人を突き放す

そんな横着を働いてでも

 

この不安感を書き留めたかった

そうして繰り返していくうちに

益益不安になり

重ねれば生きている証にも

 

あとは怠惰とどう付き合うか

それくらいでしょうね

 

解放の陰

皆が解放されてゆく中で

まだ囚われた可哀想な子

いいのよいいの

なんにもあなたを縛りつけていないけれど

 

そうねすぐには

切り替えられない心が

わかるわかるわ

なにもあなたが悪いわけじゃないことも

 

いつまでも捻たことを言うのは

子供っぽいなんて

僻みっぽいなんて

好きなように言ってくれるよね

 

傷の治りが遅いこと

元々縛りつけられたような心を持っていること

わからない人もいるからね

 

抜け殻のような毎日を送ったとて

それは無気力無意味と

切り捨てられるものではないわ

 

あなたがどれだけ物を深くとらえて

囚われているかだもの

 

皆が乗りこむ船の陰で

しゃがみこんで泣いていたとして

誰も声をかけてくれなくても

たとえばこの世にひとりでも

 

なんの罪でもないからね

海に似た人

青ければ青いほど

憎らしく愛おしく

いずれにしても心が離れないもので

 

生まれ育った町の景色と

あなたを一緒に見ていたから

ついつい混同してしまう

 

たとえば私の思い違いでも

一瞬だけ心澄ませる

チャイムの音と交じりながら

息のできる心持ちをくれる

 

あなたは間違いなく

海に似た人

 

青に寄り青すぎて

懐かしく恨めしい

いずれにしても不安定な時期を支えた

 

毎日通った道の先には

あなたも海もいたものだから

おんなじに思い出してしまう

 

抜け出せない苦しみの中に

一筋だけ風を吹かせる

チャイムが消えた放課後もまだ

僅かに残って心保たせる

 

あなたは私にとって

海に似た人

現実社会と時の鐘

夢想に昂じれば

いよいよ現世は遠く

病なりなんなりの

良くて吟遊の者か

 

時の鐘は街の真中で

大きく知らせている

今何どきとそれではない

此処で生活を営めと

知らせている

 

時節に忠実

蒸す部屋と

歌にもならぬ小蠅まで来て

肌は赤く掻きむしる

 

そうやって引き戻せ

格好悪い物に塗れながら

あぁ生活を営むのだと

 

物語の中に入りこみ

懐かしみの Irish Music など

漏れ来ようものなら

愈愈連れてゆかれるだろう

 

ふんじばって此処にいて

いずれ詰らないと笑う迄

まだあちらへ行く作業と

死の区別がつかないうちは

 

知らせてくれ時の鐘

有難くも現実は

此処にあるのだと

pipe organ の気配

讃美は苦手だった

それだけでは罪にならぬとしても

さんはいと口にできる言葉ではなかった

 

メロディに至っては

鳴り始める前

pipe organ の音の気配だけで

苦しくもなった

 

神に賭す覚悟など

本気で持ってしまったら

死んでしまうよ

 

どうして皆わからないんだ

平気な顔して歌うんだ

 

自分の生きていない世界を

伝え聞き思い描くだけで

気が狂ってしまうよ

 

讃美などその最たるもので

平然と神を前に

口にできるか

無理からぬ

 

美しければ美しいほど

胸は詰まってゆく

あぁそうして生きている気がするだけで

本当は此処に無いことを

 

知らなければいけない儀式が待っている

 

讃美なんて

おいそれとできるものか

pipe organ の音の気配だけで

背は震え走る

夏待ち近し

雪を見たつもりが

夏待ちも近い

そうやって誤りを正していくのか

 

記憶と想像を生きすぎて

現状は何にも見えないや

 

年端もいかぬ頃

聞きおぼえたメロディーが

離れなくて離れなくて

苦しくもなるくらいだ

 

果たしてこの地は

本当にあるだろうか

あったとして

私は居るだろうか

 

哲学の一言で済ませたくないや

 

雪を見たつもりが

夏待ちも近い

 

思い出の季節を外れて

打ちあがった花火の所為か

道すがらの草花を

ひとつも知らない所為か

 

感覚の過敏を

病の一言で済ませたくないや

 

手触りを残さずに

死んでいった人のようだ

あとは残像と声と香りに頼って

思い出し吐き出す作業だけ

 

雪を見たつもりが

幻だったみたいだ

本当だとしても遠い

夏待ちも近い

ここで暮れてゆくならね

飲めもしないコーヒー啜って

何の苦にもならないわ

あなたの隣に居ていいものか

それだけ気になって仕方ない

 

洒落た店も気が引けるけれど

もっと大きく考えすぎて

果たして今時分いていいものか

この星この土地この時空

 

あなたの声は落ちつくけれど

ずっとはいられないと決めこんだから

もうね離れる算段ばかり

可愛い女じゃないからね

 

カランコロンと行く人来る人

出会ってもいない時空間を

ともにある人

その中にただいるだけの2人でも

 

どうせ1人と数えるものよ

帰りつくなり倒れこむのよ

虚弱は黙って消えるから

またね愚かな算段ばかり

 

飲めもしないはずでも

cupは空になり

やればできるじゃない

心の中で落ちついて

 

あなたの声は耳心地よく

ずっとそばにはいられないけど

今から思い出す算段ばかり

可愛い女じゃないからね

今に思う

もうあとは

どれだけ削ぎ落していくか

溢れるモノも情報も

要らないものを捨てるとか

要るものを拾うとか

そういう話になってくる

 

まだ人が歩く速さでしか

本当の景色は見られないのよ

息をするリズムでしか

話し合いもできないわ

 

これからも膨大に広がるつもりで

宇宙は果てしなくても

私達は限られた心身

 

伝い歩きのように

ゆっくり物を見て

考えることが必要だと思うの

貴方が言うならそうなのね

やわらかなmusic

何も受け付けない身体に

染み入る珍しい存在

 

死にたくないなら生きろって

死にたくなっても生きろって

また声高に叫ぶのは誰

 

いいのよ

いいのよ

別に意気込んで

生命を全うしろと

 

いいのよ

いいのよ

そんな人には構わないで

 

ただなーんにもしないで

屑だろうと愚かだろうと

死なないでおいてくれれば

 

ねぇそうでしょ

やわらかなmusic

何も受け付けない身体に