おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

雨の憎し

また雨が裏切りやがった 此方としては万事尽くした 命落すまで堪えた者もある どう責任を取ってくれる 柔くなった天幕はもう用無しさ 捨ておけ 要らぬ者と一緒に 穢れの民は苦に苦労する 聞いてはいたが酷なものさね 翁が言っていたことは 数十年の後に意味…

夏酔いの恋

君の誕生日だと 勘違いしていた 夏の星を見上げてみて 無理やりつなげる夢想の夜に 恋とはこんなに無防備か 思い出して 放課後の走る横顔と 帰り際の 少し笑ったかもしれないな、が 嬉しかった 君と反対方向のバスに 揺られていた 酔いにも慣れてきた 夏の汗…

消える理由があると、すれば

誰に命じられたでもなく この身を隠したくなった 生まれたその時から 自分が恥ずかしかった 街にいて 果たして本当にいるのか 分からなくなるのは 自分の不確かに 付き合いすぎた所為だ 流行りの 承認云々よりもまず 生きていていいと 追い出されはしないと …

寄る辺なき身が病むときは

寂しいと思う? ホームシックのない身体 不憫に思う? ぬくもり云々以前の問題 何にも怯えず 顔色を窺わずに 飯を食えるなら もう万々歳だ 可哀そうに思う? 寄る辺なき身が病んでも 悲しいと思う? どうせ1人で立つのなら いいのよ だれにも見張られず 眠り…

曳き声

あの人の歌声は 悲鳴にも似ていた だから惹かれるというよりも 憑りつかれたような 気になったのさ 墓守は孫に任せな 云うこと聞いていたのに突然 繋がりが何だ 平気で切れると そう思うようになったのさ 引き返せない海の上で 吐いても泣いても 生まれは変…

宇宙はもう居ない

抱いてくれた筈の 星達が散った 勢い 弾き飛ばされた命が 懸命に燃えるころ 宇宙はもう居ない 重なり合いを 信じていた 幾ら科学を並べても まだ信じている 宇宙は何も言わない 幼い覚束ない 歌声が導だった それもどうせ 破裂の音に消されてさ 宇宙は何も残…

だれも教えてくれなかった

だれも教えてくれなかった 柔く寄せる白波の ずっと向こうに少しばかりは 楽な場所がある だれも教えてくれなかった 馬鹿の一つ覚えみたいに 自分を愛すと呪文ばかり 歌われても だれも教えてくれなかった だから呼びかける たとえば鎌倉の もしくは平安の …

呪いの先と、その先と

あなたが呪った人が 本当に苦しんでいるかどうか 見に行きましょうか 綺麗事じゃないわ 気が晴れるなら それがいちばんいい 理不尽は飲めばいいってものじゃない 不思議なものね ある程度じゃ納得できなくて もっと もっと苦しめと 念じてしまう いいえ 何に…

溺れて生き始めるころ

溺れかけたことがあるの 知っているのは1人2人だけれど あの時助けてもらったから 今息をしているのだと 忘れそうになるけれど たまに思い出すこともあるわ もう関わりたくない町と うらみ続けた人のことだとしても 生きているのか分からない日に 思い出すこ…

苦しがりの夜だ

久しぶりだな もう体に力が 入らないや ずっと長い間 こんなだったもんな がらくたの生活が 身につきすぎて 忘れていた彼是も 掘り起こしてきて 無理やり見せつけられてるような 海前にいた記憶ばかりを 塗りたくって埋め尽くしたくて 綺麗な青でぼかしたつ…

nako

年頃を どうして身を縮めていたのか 勿体ないことで 可哀そうなことで 命短しと 歌は教えても その前段の あなたの大切を 誰も教えんかったんか こんなに可憐で 素直な子が 自分に人生を生きられなかった これから取り戻したとしても どうしたって手に入らな…

渚の娘

わたあめの残り 人に付かんようにな ゆっくり持って帰ってき 暑さに茹だり その名残の夕に 履き慣れん下駄 引っ掛けんごと 誰に似たっか 足も速くなかとに すぐ走る癖 怖くて寝られん鐘の 鳴る前に帰ってき 早よ布団に入って それまでん祭り

有耶無耶の熱

便りも遅れて 旧暦に任せる 文字も忘れて 時世に託ける 咳もひどう もう末かと 嘆いても若い 言訳の利かね 恋花の文は 焼きつぶして それで終いにしたろうに やけに暑いね 蒸す身も保たず 息上がり そのまま天へゆく勢い 声も擦れて 旧暦に託ける 明日は我が…

在る歌と無い感情

だれひとり 心のうちを汲んでくれぬことわかったうえで どうやって 息をしよう 必要があるのならば 生きてゆこう 夕日きれいね 人のきずなや 愛なんて 幾らでも歌ってくれちゃって そこから外れた人には 道も 戻り道も ないような気分さ どうやって 息をしよ…

いちばん遠い夢

閉じ込めたのは誰だ 野分でもないのに 真暗にしたのは誰だ 罪びとでもないのに 古い家は軋み 風も恨みも受け 流すことできず受け 閉じ込められた後は もう息絶え絶えを 遣り過すだけだ 途中で倒れても 誰も気づかないさ もしくはそれを 望んでのことか 守る…

子等の水を

面倒を承知で 子等をうるおすため はるか歩き 水を汲みもどり 明日には晴れ上がる 肌も汚く焼けてゆく 目もくらんでくる 仕様のないことが 重なって命をも脅かす 恨みつらみの世には 産み落とすわけにいかないさ 生きているからには 辛うじて生きられる世に …

醜い者

恨めしいくらいにね か弱い子は 夕日に引きこまれて 人を惹きつけて あぁ醜い者は 泣こうが喚こうが 誰が知るかの 草原を抜けてゆけ もうどこにもない青春を 初めからなかった楽園を うらんでうらんで 朽ちてしまえばいい 文字通り 野となれ草となれも 叶わ…

夜半故に

甘い菓子に すぐ手を伸ばす 満たされぬと 中毒が にわとりたまご 人の不幸を聞いて 其れを快楽としないくらいには 理性は残っています故 またさらさらと時はゆき あぁ此方にはお構いなく どうせ近いうちに 私もゆきます故

ねむりおち

ひどい眠気に襲われて それは人間界でいう不調か もう夢落ちか 判別できなくなって 仕事を休んで あとは野となれ 誰にも迷惑はかけない 自分を現世に保たなくても いいんだ いいんだ いつ戻ろう それだけが悩みの種 眠っても 眠っても 虚ろうつろは 明日も来…

呼び声の来し方

またの不定愁訴 野分の予感と 慣れたもので遣り過しに 落ち込む様 呼び声は 律儀に宵を待ち 次第にやって来るという あぁ 神は十二分な 時間と肉体を与えたと云った あぁ それならば不完全と なげく私が罪なのか 問答は止まずとも 確実な音を立てて 野分の真…

あなたの隣のうたいびと

あなたの隣に立った時 生きているという感情が初めて はじめて来たの 声を出す時はふるえる それが歌になっているのかも 知れなかった あなたが肩にふれた時 もう死んでもいいと思った 折角生きているを 実感したというのに 音楽が終わった時 そのまま倒れこ…

月知らぬ猫たち

いくつも話をして 夜は更け 各々猫たちは 崩れるように 眠った 明日を思い耽る 人の愚かを 諭すのか そんな積りもないだろに また夜は来て 暗い空は遠く 明りを貰っても 其れとは知られぬようね 月はどこまでも遠い 猫たち

真夏思いのはじめ

日の少しばかりでも照れば 思わずにいられよか 夏の真中 熱に浮かされ 好いた人を追う 目の眩んだ 海町の暮れ 息詰まると 日々言いながら 心丈夫 実際詰まると ほんに苦しいものね 熱も上がる 夏の真中 其れが はじまったのだと 今日 今思いました あなたは…

月数え

また此方を見ているのが わかる わかるのがつらいね 明日には また形を変える そのさまを 見ているのね 人は 人は儚くも 月数え 此方の遣り様 思いやられる 人は 人はまた 月数え 明日にはまた 形を変える

引き摺る暮れ

白い橋は映えて 海渡り とっくの昔に 皆は迎えが来て 過呼吸になりかけの 慣れたものだけど 夕焼けに眩んだ 帰りの荷は どうして重くなった さして何にも楽しくなかったのに 足が縺れても 歩くしか 帰る術がなかった 保てたもて 誰も救っては それどころか …

澱み

くたばるなら生まれ故郷に ひとつくらいの染みを残してやればよかった 地獄のほうが美しい そう思わせる さながら監獄 誰だ この土地を手放しで褒めそやすのは 息ができないことにつけては 大都会よりも厳しいものがある 海が何だ 木が何だ どれだけ美しかろ…

苦と夏至

眠り起きに苦する 夏至も呼び あなた吹かす風の 憎らし 遥か思うことだけではもう 保てない吐き戻し 世の倣い 明日には 明日には 晴れてくれ この身体もう 云うことを聞かぬけれども 嫌ほど 嫌ほど 晴れる今日 焦りに酔う また重ねる苦に 眠り起きはつづく …

あめとむらい

つつがなく 終えました 例に漏れず雨の中 誰に似たか 血を争えぬだとか そんな言葉は好かんのですが 只々眠ることが こんなにも入り組んだ業だとは ほんにこの世は むずかしいものです つつがなく 終えました それでもう 勘弁してくれんでしょうか

君が望んだ海ならば

古い昔の歌にある 馬鹿者の住処と人の言う この地の名は判りよく 荒れを忘るなと伝わる 日に照らされた凪に うっとりと気を遣って 帰りついた者を迎える 太鼓もけたたましく 酸いも甘いも知る 君が望んだ海ならば どんな形になろうとも 居よう此処に 目の前…

ビー玉とピアノ

綺麗なビー玉転ばして 床に這って眺めていたころ だれと繋がることなくても 日をきらと見られたものね ピアノ聞こえる通りの家 入ること許されなくても 漏れた西洋のかなで 節間違いに覚えて帰ったわ 口ずさんで 怒られて また間違った節つくりつくり 口ずさ…