おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

拗ね子

騒がしい外国の映画を 片耳に収めながら 古い棚に手を伸ばし 頭にも入らずパラパラ捲る 拗ねた子 一度も海を渡ったことがないもの とても大きなことに思えるのは 自分への矮小が過ぎるから いつ癖づけてしまったの 身を捩れば 周り何メートルかのことは どう…

雨気と夏終わり

雨気をしのばせて近づいてくる 此方は逃げようか迷うのよね 好きと嫌いを隠しながら どうしたの? 空は気分屋に見えて 彼女の其れを生きているだけ 夏は去ることを告げないけれど 次の冷やかさに繋いでいるでしょ 此方から見えないところで 何か話もしている…

決意

可哀相な自分を癒すのは 幾らでも結構 ただそれだけでは物足りないと 虚しいと気づいた時 人生が終わっていないといいね 幸せに浮いていようが 残酷に喘いでいようが 年を取るのも消えていくのも 同じこと すっと青空が見えるバツの悪さ ずっと雨続きの心地…

毒と病

幼い頃から心身を蝕んできた 言いようのない劣情に 名がつくと知って 喜んだのも束の間 其れを名乗る人が増えてきて 正直面白くなくなったもの 苦しさや恥ずかしさ 捨てたいと思い続けた バツの悪い彼是にまで 執着を 分かり合いたいと言いながら 簡単に分か…

ベルのかなしみ擬き

ベルは2回鳴って しずまる まるでそれで十分と 軽んじられた気分になったのも 昔のことに思えるわ 誰もしらない夜伽の合図 見慣れない千鳥格子羽織って 泣き真似は通じない 戸が開けば戻れない ベルは耳に残って もう夢まで侵食する 初めこそ魘されたけれど…

忘れぬようにできている

忘れぬようにできている たとえば夏がゆこうと 冷やした氷溶け切っても 地は律儀にめぐるのに 思い出はぶり返す 回るまわる地球に 沿う振りしながら まるで逆行 弾き出された痛みも 初恋の切なさも 灼熱に溶けてしまえ そう言わんばかりの 照りつける様 ぼや…

病に依るところ

ナントカという病のチェックリストを見ていると 当てはまるというよりも 生まれてこのかた ずっとそうですけど?と 言いたくなることがある だからといって 病だけに私のアイデンティティを取られたくない もっと色んなものでできているだろうし そうであっ…

東街

暮れかけた東の街 夏なのにやけに早いものね 手を引くこともできない齢 そっと見ているだけ 清廉な貴女が大好きだけれど なんだか心配よ 少しのズルを覚えて 楽に生きていきなさいな 国道からひとつ外れれば 錆びた古い家々が並ぶのは どこも変わらないもの…

an imperfect world

Christmas songs 幾らか覚えて 拙い 追いつけないけれど 口ずさむのは楽しいものね どうしてこんなに弾むのかしら 生まれ国ではないけれど なつかしい気もして 幾つめぐっても 冷えた気に白い息も せめての街歩きも 変わらずいとしく 届かずくやしい ねぇ 最…

子夜の憂鬱

忘れてしまうよすぐに たとえば愛されても それを受けないようにできているから 覚えているよずっと 少しでも憎まれたら それを感じすぎる本物の身体だから 抗えない運かな なんにも学ばなかったツケかな 追い風の如く生命は 柔らかくなること望んでる 齧り…

鬼さん此方

生まれ変わるまで待てないから 花を添えておきましょう 鬼さん此方 愛想はどっちだ くしゃくしゃに笑ったはずの 色も淡い古い写真 愛した記憶だけでは 日々に重なる雑多彼是を こなしてゆけそうにないのです 明日ハレルヤ 鬼さん此方 合図に乗れる賢さも ま…

導線

狡猾なぶん臆病よ 写真で笑うのは得意でも どっちつかずで狼狽えている人を 見たことがあるけれど ひとつ体に併せ持て いよいよ何処にも行けないわ 明日は浜風を受けるなり 広がる堀周りに空気澄ませて すっとした振りしにゆこう 凭れ掛かる背もないけれど …

ゆけない

分厚い窓の向こうから ガタガタとざわついた夜 それが夜汽車か はたまた雨か 知れぬまま息詰まらせる 終わってゆく命が怖いのだと 時押し迫るのが苦しいと 嘆いた日を思い返せば まだまだ若かったろう 雑に積まれた昔の本 ひとつまさぐり手に取る 追えていな…

悪魔の正解

悪魔の行進はつづく 僕は身を潜めて待つ 一時の快楽が命取り 唯々己を殺して待つ そうして 家族はトンネルの先 ざっと流されていったろう 生き残った これで良かった しかしその術として 己を殺してしまった 何度も夢に見る 段々とそれが 此処にある真実のよ…

君は青空を知っている

俯くことも 少しは流行りだしたみたい 君は時代に溶けて 安心してるんじゃない? だけど、逃がさないよ 意地悪に聞こえるかもしれないけど 君は、どんなに嘆いても 青空を知っている 躓くことも 本当は許されるのに 君は先回りして 安心したいんじゃない? …

かえりみち

何も話さないままの帰り道 小雨も気にしないの夏日 下らないことでも挟んだがいいのかな 今日だけは無神経だと呆れられてもいいから 機嫌うかがってばかりだけれど 探り合いは得意じゃない 分からないと嫌な方にばかり 駅の大時計は 真昼を指すばかり アリス…

夏めぐれば

忘れることが才だというのなら 私はどれだけ落ちこぼれかしら 両の耳から入る音楽も そっちのけで思い起こせるわ 夏休みは日暮れもなお遅い 5時の鐘にもまだ照る太陽 めずらしいでしょ いちばん西の町 いつか思いたった時に 行ってみるといいわ 盆参りには …

風なき子

見捨てられ不安が かみさまにまで及んで どういう心持ちでいたらいいかしら 其れらしい本にも 答えは書いていなくて 風を食んで生きていくか 空に歌って憂さ晴らしか けれど与えられた生身が 社会の中に織り込まれなければ 生きてゆけぬようになっている 思…

昼日中の問答

病であると錯覚している時がある 病でないと思いこみたい時もある 何れにしても望み通りは遠い星 覚悟を決めなければ いつもならば働き詰め 昼日中の街に出て 知らぬ通り 穏やかではない港風 ひととおり受けるよに 耽るよに 金が欲しいと思った幼い日 愛が欲…

併せ持つ心

一度は到底許せなかったことが だんだんと諦めにも似て 許せるようになることもあると思うの 強制じゃなくてね そういう気分を併せて持ち合わせることも いいんじゃない 格好悪くもない どうしたって 過ぎる時に泣くのは いつも心のやわらかな優しい子 足掻…

行き来が止まない

つまずいた草むらはもう無い 傷ついただけなら治る 止まない雨の戯言より 今この呼吸を整えたいの 騙しだまし生きてきたから 幼ごころも処理できてないの 色んな思いが浮かびすぎて どれを拾えばいいかわからないの どちらにしても あの草むらはもう無い 帰…

真昼のワルツ

儘ならぬは誰の所為 いちど浮かんだ言葉を飲む 待ち合わせはいつも遅れ 待ちぼうけの昼に酔う そうやって振り回すのも 愛だ何だって言ってもくれる 勝手なのに好き好んで 一緒にいる昼下がり 儘ならぬは他人と過去 よく言われる言葉を飲み さぁ大好きな大通…

will

大きな川が見えたとさ あぁそんなに綺麗なものじゃないよ あんたが生まれるずっと前 痛い痛いと泣いたんよ あんたは知らんでいいことよ 怖がらせたらいかんけん 話さんでおくね それもまた 隣のあの子に優しくね 意地悪な人は見習わないように それは あんた…

愛の節

愛されているよなんて 瞞物に似た嘘よりも 愛されていなくても 生きていていいよと歌ってほしい 夕刻、寝覚めはまた虚ろ 神に縋るも無理ないか いつかわかるよなんて 綺麗な傘着た言葉より 今を乗りきるだけの 勇気でも心意気でも何でもいい 今宵、寝入りも…

海の見える駅1

湾を隔てて 向こう岸 町も見えた 無人の駅舎 駆けのぼり降りる歩道橋 ひとつ新しいこと覚えた気になって 景色が景色が 風が好きでそこにいたの 誰にも誰にも 言えなかったのは 昂ぶりが泣きそうな心が 私だけかと思ったから 青の前にいる時は それが全て海だ…

地下道

Love Song は似合わないけれど 捻たまま生きたいけれど 待ち合わせは慣れない地下鉄駅 ガタゴト不安は身に迫る どうせ遅れて来ること分かって 律儀に待つ哀れも 飲みこむよに大人になった 悔しいかな少しは 明日までに 別れ告げることもできる 縛られない世…

後悔の予感とだけ

どれだけ悔やんでも もう二度と 声も聞けぬことがあるだろう わかっていながら 疎ましく 己の日常を何より取って それでいい それでいいと 誰も言ってはくれぬから 自分で唱えよう 春は手を引かれた坂道思い 夏は連れ出された浜に馳せ 秋は生まれの月に浸っ…

引き寄せる海

海に寄るのは 散歩とは違うわ 引き寄せられていくだけよ 海が呼ぶのは 永遠ではなくて 揺り戻されていくだけよ 太古そこにいたのなら 今もそれでいい気がするけれど 何かしら理由をもって 此方に上がってきたというなら 難しいわけを見出すまで もしくは天命…

宵のradio

日暮れどころか 目覚めた宵も宵 久しぶりのラジオは遠鳴り ガサつく先 声の主 まるで教室の隅にいるみたい だけど一緒にはしゃぎたい 揺り戻る たとえば病が 治ってもまた襲いくるように 懐かしむ たとえば昔に 味を覚えたアイスを見つけるように ぐしゃぐし…

七日の夕

願いは懸けないようにして そっと笹の葉おろした いいの そういう夢事は 幼子たちに託すから あとはこの指先に もう少し力が入りますように ふと気を失いそうになる時 何かしら言い残せますように 年を経る毎ささやかになってゆく そんな気がするだけで いか…