おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

揺れ沈む女である

窓には名も知れぬ 白いさやさや ブラインドとは違うのかしら あなた手慣れて 景色を閉めた もう哀しくも女でいる 時間がゆくなら この身一つ 預けることが何故に怖いのかしら 優しい人で駄目ならば この世に安らぐことはなし 息を詰めても遠ざかる 波のよう…

嘔吐と熱情

愛があるという前提に 意義を申し上げたいのだけど また捻くれ者の烙印で終わりですか 綺麗にできたドラマと歌に 唾吐き捨てていきたい気分 今日も引き摺った体 なじまぬ精神が 叫ぶよ どうせ死ぬなら何だっていい そう済ますには永い浮世の 彼や是やに気を…

海が見えているのなら

海岸線に沿って そのまま電車が走るのよ 窓の外 夢中で眺めていたものよ その名の通りシーサイド 青い電車が走るのよ こんなに心地のいい揺れが あるものかしら 海だと思っていたものは 湾だと後で知ったもの なんだってね 青く続くそのさまが好き 腫れた目…

朽ちてゆく星

青かった星が染まってしまった 綺麗なところだけ云うでなかった 伝え聞いたら人々は輝かしい ことばかりを汲むもので 堕落、腐敗に 嫌悪、悪意の こびりついて取り払えない様を 一早く目にする者の 気にする者の 囚われ死んでゆくのだろう その骸がまた載っ…

この身が朽ちゆく者にとり

病は気からと云うけれど そもそもの気が脆くてね 知れないでしょう 日暮れを直に浴びる人には 閉じてゆく人生を 虚しく思えるのなら まだ救いがあるというものよ 景色は四角く 斜め上に聳える格子を 決して越えない 風は遠く 荒れ狂っていようが 恨めしいも…

手にしても遠い Love Letter

破り捨てた Love Letter の隅に 本当の気持ちがあったのだけど 気づけない愚かさだった それは今もだけれど 言葉そのままでしか受け取れない 不器用に過ぎて 言葉それ以上に受け取ろうと 自分が傷つくほうへゆく 悪い癖を治せないなら 幸せにはなれないもの …

風性

声を失ってしまったの だからこの歌は聞こえないでしょう 起きあがるのも精一杯の 情けない身になったのよ ちらり時計の針が煩く 微笑んでいる人は遠くて かなぐり捨てていいのなら 今すぐ其方に行くものを 苦しみこそ輝きを放つものだと 綺麗な歌が流れる街…

蜜たどる森

欠けた果実の犯人は誰? 迷いこんだ森でのことなら あまり責められないからね 自分で自分を飢えさせて 我慢ならなくなったなら とことん責めたてられるけど 夕霧を搔きわけて 会いに来たのよ はじめての恋の味 覚えていないその甘さ ちゃんと手を引いてゆく…

眠り落ちてゆく愛

うらやみながら眠りについた 愛しい人は背だけ見せた 追いかけるには力が足りないよ 振り払われて 生きていける気がしない それならこのまま落ちこむほうが 愛には似つかわしいじゃない 分かったようなこと言ってみたくて うらやみながら眠りについた いい夢…

神様が腕の中

雨のち晴れの湿気た部屋 神様が腕の中 沈む寝息は天の其れ 僕などの腕の中 思い起こせば 愛に爛れた 夕べはきっとまやかしか 今がまさに幻か そんな虚ろを 朝明けに 照らされることになろうとは ただの女に成り下がれ なんと乱暴な願いだろ 雫残った熱の部屋…

小さな街の帰り道

中央橋を渡ってすぐ いつまでもレコード漁った店 泣いてたどった どちらが帰り道 船に乗り遅れたら最後 夕陽に酔って もう帰ろう 明日になって 魔法が出来たら ぐっと背も伸びて 大きな声で 歌えるようになるからね 丸いオレンジ 目指して歩こう 大丈夫 ボー…

遠き朝焼け

朝焼けより先に見てしまった町 いつになったら虚ろ治ると 問い続けてきたけれど もしかしたら もしかしたら このままかもしれない 開け放せば窓は 容赦なく入れる冷や風 いつか夜明け どこから朝 見極めようとするけれど もしかしたら もしかしたら 無駄なこ…

おやすみね

おやすみね 小さな体を毛布に埋めた恋人 横背をぽんと撫でて そっと息がつづきますよう 倒れるように眠るのは きっと走っているからね 心いそがしい人だもの 1つ結びの窮屈を そっと解いてあげましょう 眠るに難いものならば 2つ結びにかわいくね それくら…

秋の野に出でて少し上って

色づけて回る風 お陰様で今年も鮮やか赤黄の葉 週末はあの子を誘って 少し山肌お邪魔して 冷えたかと思えば日向 ぽかぽかと思えば北風 当方、女心を持ち合わせてはおりますが まるで敵わぬ秋の空 ゆらゆらとめぐる風 散りゆくときも手を振る形して よかった…

耐えぬ耐えられぬ道程

悲しいニュースが流れるたびに ほんに悪辣な気を起こす あぁこれくらい苦しんだなら 他人にわかってもらえたろうか これこれこういうわけですと 説明のつくことでなし あぁ人生の一節だと 笑って通り過ぎるでなし 狭い箱の中では 物いえぬ苦しみが湧くのです…

縁切り魔のうた

さぁさ、縁を切ってゆきましょう 青い星は清らかなれど 今宵、縁を切ってやりましょう つながることが美しく 褒めそらやれる地で まだ、足音が残るように 草陰、さやさ 優し札に引っ掛からぬよう 抜き足差し足忍び… 憚られる闇の身 怒鳴りつける男 散ってし…

葉音おもい

ずっと悲しみたいと思っていた 色づく赤黄の先にはもう 枯れた葉が見えているのに 人はめいっぱい愛でる 葉音ゆかしの 道行けば あの人とすれ違う交差点 生まれしなから確か幻でした 後悔もないのよ ザク切りにした髪を 見せてあげたいわ 可愛げなんかより …

17.

美しい物語だけではないはずだ 小さな白い病院 その隅で 弱って儚むその時に 誰も泣かなかった あぁ人は簡単に消えてゆく そして必ずしも惜しまれるわけではない あまり綺麗なものを見てきていない その中でも 格段に虚しかった 真昼を覚えている 人生はドラ…

遠きめろでぃに酔いしれる

異国の節が じっと、にじり寄ってきて 気がついたら身に染みていたので 歌わずにはおれなかったのです 遠い気がしませんよ なんと勇ましく それでいてやわらかな もう時計を止めてしまって ずっと酔っていたいものです 歩いていても 寝ているときでさえ ふら…

秘めた痛手

時計の針を見るのは苦手です 此方が狂っているのだと 責めるようにカチコチカチコチ 古時計は親しげに よくも歌われたもので あの人たちは正気かしら そうか私だけオカシイのでした すみませぬ デジタル時計も嫌いです なんだかんだで懐古主義 古き良きだっ…

神様が裏切った

神様が裏切った 美しい旋律にこころ掴まれたうち 乱れる気に気づかなんだ 四季に織り交ぜて まるで風情のごと 吹かせてくるのは狡いよ 此方が下方だからって言いたい放題 其方が尊いからって甘えたいんだい 神様が裏切った 約束だったじゃない 誰が忘れてし…

the second choice

春の香にあてられ 夏の日に蒸し 秋の風乱してゆく 冬の肌の所為にして なんとなくで誤魔化してゆく 情緒だとか人間の彼是 もっと深く刻まれた 否、刻まれなかった大切な… ”生まれたことは愛されること” ”生きゆくことは愛すること” いちばん綺麗な葉を持って…

小歌

愛は 香を残すでもなく愛は すっと過ぎ去り 愛は 消え様もみせず愛は いつの間に行き 手を振っても 呼んでも 応えぬ見えぬように出来て 初めから幻だったかと そもそもが世はあるのかと 甘美なチョコレートで 誤魔化した午後 窓を少し開けて 去るものも追う …

彼の日々に寄せて

読みかけて繰らなかった本に 怖さがあったの 入りこんで抜け出せないのは 予感だけでわかったの ほんの何年前という 其方に行きたい気もしてる 本当に優しい人とは なんだか腑抜けて見えるものね 気づくまでに暫くかかったわ あぁそうかと受け入れるから や…

いいのよ

誰いなくても季節は繰る 言い古された虚しさ酔い たとえば意味を求め過ぎる性も 一瞬で体ごと消え去ればいいのか なんてね 花火の音は季節外れ いよいよ迎えかと嘲うとき 遠く夜空に見えたのよ もう散り際だったけれど 綺麗ね 昨日の絶望は嘘のように 明日の…

葉の残景

澄んだ思いもなくすほど 心は赤く染まってしまった 恨みつらみを晴らそうと 鮮明な記憶と一緒にぶつけても 老いた身に鞭打つなと 死人を悪く言うなと ならば此処から生きてゆかねばならぬ 心は誰が守ってくれる 秋だからまだ許される 紛れることができるもの…

逆さ季節の香

皆が綺麗だと愛でる花を その奥の悲しみまで見る人 なんて柔らかで優しいのだろう 私には花の美しさからして 知れなかった 秋深まれば 逆さにいる季節 遠ざかるように思えるでしょう それでも手に取るように思う 愛でることできなかった 罪のような意識を 飽…

日々是悪日そのわけは

沈みこむ日はないわ 気分至って不良よ もう慣れているから 放っておいてくれていいの 賞味期限が切れてからが勝負よ 茹だる生活でも いいじゃない 誰に迷惑かけるでもないし もう自分で分かるから 倒れる前にどうにかするわ 何生目だと思ってるのよ 昇ってゆ…

雨音のたより

雨音より先に 跳ねっかえりのアスファルトの湿りが 上ってきた そうか 日に酔って干した洗濯物 せっかくだけど捥ぎ取って また止む気配がしている ひとつ向こうの空色 天邪鬼にとって世界は どうしても歪んでゆくから せめてせめて雨よ香よ そのまま受けてい…

暗がりと共にあれ

ドアを開けた時 暗い雲が覆った なんて bad day 人の言うけど そんなに嫌な気はしないわ 人生が閉じる音がする その時 健気でいられるように 重苦しいもの掃うより 共にある覚悟をしましょう 大丈夫よ 何十年か一緒にいれば 慣れるから 帰りどきは 賑やかさ…