おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

開かれた音

この瞬間の 世界が開かれていく 感覚が 音分かれが ただ分かれてゆくだけではない 崩れ 保ちながら 世界が開かれていく その様が 好きで好きで あぁまだ此処にいても良いのだろうと 予測できる

川と風の日

www.youtube.com 通りすがりの苦しさだった やさしい陽を受けるとは まさかこの背も思ってなかっただろう 川の流れ思い描いてた 歌に出てきた嵐山 やっと来られた 1人きりだけど 誰にも気づかれぬよう そっと口ずさもう 雲を見た 段になって あぁこんなにも…

異国のむかし

石を積み 守る城 鍛冶に暮れ 支える音 後世の崇めなど 要らないであろう 高潔 長笛の良い心地 暮らし向き 日に雨に 遠くまで鳴らす 守り人 手折れる時は だから 安らかにと 思える

冬風鈴

風鈴が舞っていた 夢じゃなかったよ 真逆の季節の夢を見る 癖があるみたい 遠鳴りの 心持っていく ずるいのよね そばにないくせに 風鈴は好きでいたい あの音をたたえる 静かな性根だけは 最後まで持ち合わせていたい ただの願望が生みだした 夢だったのね

最後の酒

安くて不味い 最後の酒 誰にも言わず飲み納め もういいのよ どうせ街は騒がしい たったの刹那は ただでさえ胸に痛い それをさらに 刹那的に捉えて 喜んだ振りをしている 街ごと嫌いよ そうね 自分に言い聞かせるだけの 最後の酒

光なき空 明日なき身寄り

誰も庇ってくれなかった日に もう行けばよかった まだ小さな身体には この傷がどれほどのものか 知れなくて 今ならもう 幾つもいくつもあるうちの たった1つと思えるけれど 痛くないわけじゃないけれど 光なき空 皆に降れ 意地悪が滲む嫌な朝 明日なき身寄…

許し

生きていかねば ならぬのか 希望を歌う者 義務を説く者 多々あれど 誰一人として 許しを口にはしてくれぬ 望まれた命でもないのに つづけてゆくのは拷問か 果ては世界も宇宙も 憎むことになるくらいなら 誰か許してはくれないか 高らかに歌う者 喜びに浸る者…

フロランタン

匂引かされる者が悪いとは限らない様相 異国の甘い菓子がその象徴 奇しくも頂き物は豊富 手に取る速さが子供の其れ 明日には片される飾りを 必死で写真に収めたら 祭りの儚い気分の部分が増すから 止めておくわ 匂引かされる度に気づく 気づいていながら 齢…

呪い子の街角

真夜中目覚めて また不器用に眠る そんな暮らしを続けては 昼日中迄おかしくなる 異国の祭りに託けて 不自然に飾られた街がまた 浮遊を加速させる所以 いっそ飛べたら楽なのに どうせ重たい身体ごと カミサマはどこへも 連れてってはくれないくせに すみへ行…

招き

奥の屋敷へいらっしゃい そんなに怖いこともない ただただお話ししましょうよ 結果 行くこともあるやもね 白い戸開けていらっしゃい あなたの力で開くように そおっと懸けておいたから 刹那 無力でいいように ほんの手ぶらでいらっしゃい どうせあちらへ行く…

How was your king

ご機嫌伺いも大概に 誰か真を述べてくれ 青い星に生まれた責務を 果たす積りの者はおらぬのか いずれ裸になるからを 今晒すこともないだろう 可哀そうに惨めに落ちる前に 気づいた者が着せてやれ 血を流さぬほうが良い 肉を見せぬほうが良い それを確と分か…

西住みの都行き

東に都があるならば 向かうほかあるまい 籠に徒歩にと依る時でなく すぐに行ける不自由が 我を縛るとして 伝手を持たぬ者だから 己で向かうほかあるまい 急きたてられることも 祀り上げられることもなし 只々都住みに憧れた振りで この身体は西の太陽に慣れ …

駆け落ちる神

あなたとなら ゆけると思ったのに 長い道を進むうち 端の草々に目取られる あなたは簡単に 駆け落ちる 恋ではないつながりが 恋しくてこいしくて もう我慢ならなかった 一生をかけて 苦しむことも恥かくことも なんとも思わなかったもの こちらの決意を摺り…

夏待ちの貴方

便りは時代に反して 待てど暮らせど届かぬもの 風向きに日向きに依って 浮かれ落ち込み繰り返す雨期 夏待ちの彼方 本当に来るか 指折り時折 不安も襲い 雨降らしのくせに 勝手なものね 便りはいつの時代も 風が伝うもの 押し合いへし合いの汽車では 決して思…

天国回転

気が冷えようと 汗ばむ体に酔おうと 回れまわれと歌うひと 天は遠くなりにけり 欲を捨てれば見えるくに 欲がないから見ないのに 結果 だーれも知らないくに そうか だから神秘なのに めぐる昔ばなし信じた 哀れ女は死んでいった 踊る阿呆と添い遂げた 気がし…

反の文

精神不安定を忌み者として 幾らでも病ませた奴が 今になって自分が弱ると 手紙を寄越す こちらの苦しみはなかったことにする 都合のいい話は全部切ってやる もう分かってほしいなんて思いは ひとかけらもなくて 貴女が私にできることがあるとすれば なんにも…

千の現

夢か現か 分からなくなった 四畳半の午後を 確かに覚えているけれど それさえ薄ぼんやりに 書き換えられてゆくのが怖いわ 十代の多感が為せたまぼろしか それにしては何十年経ても いやに鮮やかなこと 貴方が忘れてしまっても 私にしみつく彼是を 1人で処理…

せつな

切なは放てはおけないわ 此処に居座るものだもの 乾かさず髪は 寝床に雪崩れ込み 掻き消そうとする それでも置いてはおけないわ 無駄に居座る癖だもの 寝覚めの悪さに比べれば 調整の利く昼日中 嫌なあの顔見るくらい 刹那放ておいてくれ 其処に行くには身が…

秋雨

やわらかく在りたいと思うのに 空はいつも暗くて 耐えかね湧き出す 雨と呼ぶには清い渦 土潤すには穢れた出自 やさしく在りたいわけではない そう在れば生きる許可を得られる 信じた 信じた道は ひとりぼっちにたどり着く 生まれ月の憂鬱が来る 秋の雨は止め…

齢と人と

気に留まった 自分からは何にも言わないあの子が 久しぶりに話した時 何か言いたげだった 今からなら 今からなら 人の痛みに 寄り添える人間になれるだろうか 人間になりすましてでも 優しくありたいという 自分勝手で 人の振り見ながら 軌道修正してゆく ど…

水辺に着くまで

水辺に着くまで あと何年かかるやら 古い恋うた 争いのあと なぞってなぞって行けるかな 水辺にすわって うたう時の感覚はもう 遠い老婆と まだ見ぬ赤子 たどってたどって行けるから 水辺が好きでね 理由などなくて腹が膨れる様 日の沈むまま 明けてゆく朝 …

あなたのいのち

あなたのいのちがいる間 できるだけ手を握っていようとか 心からこころへの愛ではなく 義務と切迫を感じるくらいなら 呆けてみせよう 人として間違っているかどうかに とらわれ続けたけれど 呆けていよう ずっとずっと まだ年若いうちから 考えすぎたのだか…

ふたしかな身体

ほんの空虚の一言で 済ませられてたまるものですか 喉の痛みは少し残れど 大した傷じゃあない もっと根深く 決してこの世の台詞で言えないけれど たしかに たしかに ふたしかなのよ ほんの空虚の一言で 片づけられたその日には 憎たらしくてたまらなかった …

闇上がり

治ったと思ってもね なかなかね 昏き部屋に戻るこころ その静かが しみついて離れない音 伊達に 闇育ちじゃないのよ 普通の風邪でも なんなら風吹きだけでも 季の変わりに やられる あぁそうか 忘れるところだった 出自を 振り払っても 歌に託けて 知らぬ振…

夜半烏

深夜の烏 居る筈のないところに宝 仮病は漏れず 然し己に 是で良いのかと 問いかける材料には 有耶無耶にはできぬ 飯食うための生業と 与えられた天命の 秤にかけて どちらとつかず 何も成していないように見える 己の目からしても 真昼の凪 望んだ通りの進…

さとい娘

あれ? 私 生きてるんだっけ? キルトスカートが 少し褪せながらも 紺赤黄緑を持ち 辛うじて意識つなぐ ナントカ症と名づく間もなく 浮遊は物心とともについた 寝起きの苦手な娘子は 昼日中もふわふわと しかし重い身体 なんとか生きのびた先も 大して面白く…

弱りゆくなら

決まりごとのように 秋口は臥せ 風の伊呂波に遣られるばかり 弱りゆくなら 草上が良い 詰まらぬ畳の上は侘しい 貴方の便りに 励まされ 閉ざされる 未来というものが憎らしく 暮れるなら暮れてくれ 皆で一緒にとは 云わないけれど せめてせめても 風の様を 同…

生まれ月の残酷

生まれ月の残酷 お気に召さない世間の彼是と 人間の振りをして 振り切って 振り切ってゆく 時に破れるなら 恋のほうがマシさ 生き返れないほどの 自己肯定感とか 取り返しのつかない 生まれたことが残酷 お気に入りの帽子を 買った日に無くした 残念無念の幼…

秋に落ちる

意識はもう既に落ち あとは身がやられるの待ち 急に冷え込め それくらいで やっと心身整うさ 秋のやんちゃくれ 感傷にとどまらず ぐらぐらと ぐらぐらと やってくれるじゃないの 葉が落つを 待つまでもなく 高笑いの仕草 空気 恋など忘れてしまっても 私は必…

離人

離人と名づけた人は誰? 首根っこ掴みたいわけじゃなし ただ少しばかり話を聞いてみたい気が すべて当てはまるけれど どれも当たりまえだから 症状とも異常とも 思わなかったよ たまにそういうもんが 居るのよ 生れつきね 胸が苦しくなるのも ふわふわと浮い…