おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

月を見ていたのね

恋しいと呼ぶものと

人は思って

菓を拵え

茶を入れて

待つの

 

悲しいと云う暇も

なかった夏の

残酷を忘れましょう

 

月を見ていたのね

其処にいたのなら

早くに

云ってくれたら

側に座れたわ

 

明夜には翳る

きっと翳る

 

だらしなく暮らした日々の付け

鐘に黙し

ひと刹那だけ

己を律してまた暗がる

 

願おうが

誓おうが

繰り返す愚かさを

巣食う暗がりを

知っているから

 

月を見ていたのね

優しい人だものね

早くに

逝ってしまったから

忘れそうになるわ

 

明夜には帰る

すっと帰る

 

だから

月を見ていたのね