おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2020-02-01から1ヶ月間の記事一覧

今は海

またと無きねんねころりも おさな耳には知れぬもの 今は海 この世は海 たまのたまに 己の息つづく間を すべてだと 思い違っただけのこと 今は海 ひたすらに海 白髪に見慣れぬ宵 おさな子の寝ず耐えるころ 今は海 この世は海 なぜに人ひとりが決められよ すべ…

由緒

王は何処にもおらぬ 街は死んでいる 腐敗の影でなく形そのものが 至る所目について 神は何処にもおらぬ 口が裂けても言えぬ よすがにだけは手出しもできず ぼんやり存在させておく どうしてもと言うならば 旧い書でも読めばいい 帰れない時の中で 還る時を待…

children

わたしたちが生まれたころ 世はすでに翳っていて 気づいていたわずかな人たちが そっと名前をつけてくれた 夢の国に生きて 帰ってこない人もある模様 構わないから好きにして わたしもできるなら好きにして 世に生きるということは 気とも情とも離れられず …

夏祭りを思い描いて

まだ見えぬ夏祭り 浮いた陽気に あと幾月か 指折りたくもなるのだろ 眠る浴衣も干す日和 気の早いことに悪くはないさ 思い描いて 生き長らえて 何だっていいのさ 繋ぎとめるなら 宵灯り 冷たい氷も少しなら 人の混むこと避けて 見上げよう 夏の空が待つこと…

世の音を後にして

唄うに酔ったか 下戸の君 祭囃も過ぎたころ ふらつき歩き戸を開けるまで 気を抜くな 連れゆかれるぞ 這うようにでも帰り着けば 壁掛け暦に目を遣って 今は何どき どの世に居 移る手立ても済んでいるとか いないとか 良きように計らい 幼い子を置いていかぬよ…

呪も時折気折

時折気折の夕凪や 辛さを思い起こすまで 数え数えて宵とする 泣き泣き緑の枯れるまで 腹を壊して泣く子も黙れ 息をするだに名残り惜せ もうじき来る迎え そのようなことを思い致して 数十年 よもや数百年 生きるふりでもするがいい 肩に乗った気を払い払い …

ROCKを後にして

愛に酔った人の言う 騒がしい店の隅 わざとじゃないかってくらい 小声で知ったふりをした 蹴り飛ばしたくなるから 酒ならこっちに寄越してよ ROCKが世を救うなら 知らぬ私は除け者ね 構わないわ 慣れてるのよ どれだけふらついたって ちゃんと歩ける 歌に酔…

月と地に依り

月は時を悟って 去ってゆくほかなかったのだろう 思いの外 営みというものは 我慢と運命の上にある 耳を澄ませることなしには 気づけぬようにできている また思いで括った顛末が 春か現か届くだろうか 思いを悟った天上が 応えてくれることもあろうか じわり…

鏡まきょう

ちょんと湯のみ置いて 去っていった子が 誰かしらに似ているねと言ったのに さぁて何のことでしょと そのあたりから怪しくなって 森も木も見えているだけで この縁側も座っているだけで そういう気になっているだけで 果たしてあなたはいるのでしょ ぺこっと…

うつつのわらび

うつつにいたつもりでいるでしょう それでいいのよ なきなさい はるはくるといったひとが いつのまに いなくなってしまった なげくために うまれたわけじゃない だからって よろこびは そこらにおちていなくて うつつにいるつもりでいるでしょう いまも あざ…

おさなわだち

転ばぬように走りなさいな 転ぶようなら走りなさんな 異人さんの屋敷は珍しかろ ハイカラ窓に屋根に恋い 色も煌びの ピッピ鳴る靴のよう似おうて あんたの親のこまかころ そっくりよ 街並みガラスもなお綺麗かろ それを見る目もキラキラと もう追いつけんか…

めぐりめぐり

人の世のいざこざと 日常の雑多が大嫌いで あぁ煩わしさのない 静かな郷を求めたものです それも少し知って後 思い致す時間が増えれば それはそれで 生きていくとはと 生きているのかと 不安になります めぐりめぐり 堂々巡り 無い物ねだりと言ったのは なん…

春気にこぼれた朝

春気にこぼれた朝でした 思う以上の眩しさが 窓から入って 眠た目も 開けずにおれぬ朝でした 何を思った 夢のつづきか 文が届いていまいかと 鍵のこわれた郵便受けを そっと開けるような目覚めでした どうしても淡い思いに さよならできぬとはこのことか 物…

念じと矛盾の部屋にいて

大嫌いだった 大人の屑 自分は正しいと脅しにかかる ただ俯いてるわけじゃないよ 感受は病より深いのよ 真っすぐさや正しさだけが 幅を取る教室が 見せかけのこの世の縮図に 見えたの 見えたの 傷つけたらそれで終わりで 次の瞬間には忘れるでしょう 何年あ…

風を好く

君の痛みには添えないな 喜びにも乗れないし そんな僕が花なんか持って 何になるってんだ 馬鹿らしい 思えばこの世に 筋の通ったことなど 1つもなかった気がするな 出会ってないだけかな 風見鶏 向かう先はいつも あれやこれやで 人の思いを 汲むよう汲むよ…

little

街の気にあてられるのは癪だけど 何処吹く風と避けるには 少し風が大きすぎて 珍しく恋の気持ちなど 思い出していました 何でも頭で考えないと 気が済まないような質だけど どうして声が聞きたいとか そんなことを思っていたのだろう 七不思議 思春期の所為 …

FM

うまく入らないFMを 探って夜中を待つ たとえば少しの歌でいい 見えないあなたの声を待つ すぐに眠っちゃうくせだけど 今日はもう少しね がんばるから ざらついた音の先 あなたの声を待ってるの baby 明日おぼえて歌おっかな 難しいことば分かんなかったけど…

病床かぶれの娘

心の崩壊にかぶれた 誰より汚いところまで知ってるんだからって まだ革ジャン着てロック聞くほうが 100倍かわいらしいよ 言えば言うほど 聞かなくなるね 意固地も一緒に持ってきたの 綺麗におさまるつもりはないって そんな台詞でも吐かないと 保てないくら…

choco

あまいチョコレートの味を覚えたのね 好きだの好きじゃないだの 言ってる場合じゃないわ 知っているか知らないかの ただそれだけの違いよ どうにだって転ぶのよ 今ある地がそのままとは 誰も誰も保障してくれないでしょ また理屈をこねて日を暮らす 覚えたメ…

季節騙しは後にして

寒さを見送ったって 春見たって 風に吹かれることはわかってるから 髪を切ろうって 思い切ったって 肩上にはできない 意気地なし いつのまに 生きてゆけないよな気が 当たり前に 安物買いの銭失いを 何度繰り返せばわかる 手に入れたって 消えてくことも そ…

文の届け先を 然と聞いていなかったわね どうにでもなる時代に 我儘も済まないけれど 真白の紙に ゆっくりと文字を綴って 思いを馳せていたい どうかしら あなたも時間と心が向くなら 思っていてほしい 何を生娘のような 縁側の老女のような 不思議なつらつ…

その香は春か

名のらずに来たあなたを 知っているから また籠る そんな思いもわかるでしょう すっと飲みこめぬ天の邪鬼も 気が少し 輝きを持った気がするわ もしも見えるなら桃色の そして香も連れてくるでしょう 知っているの 会いたかったわ それを素直に言えぬ者にも …

月のにおい

月のにおいがして やけに渇くわ 今夜 無に帰すのも有りね どうせ知られぬ身だもの たどったぼやけた灯りの先が 捨てられた塵でいっぱいの かなしいほしを後にするなら 月のにおいはもう 慣れた気もする 今夜 有難みは消えてゆくでしょう 朽ちた身だもの 富め…

ひとり問答に暮れても

苛立ちは 数えたら胸を刺すわ 気づかないふりも 結果よくないし 返しそびれた本を パラパラ捲って 無い答えでも探しましょ 暮れに揺れる思い 慣れて もう大丈夫よ 閉じてゆきなさい デジタル化された世の所為に するなんて短絡思考 そこにはまだ堕ちたくない…

島へ

この揺れははじめて? 少し慣れが必要だわ 逃げ場なんてないからね 海を越えるということは 綺麗なだけの旅じゃない 憧れた青を前に じっとしていられるかの 勝負よ 甲板には 青春とも苦行ともつかぬ 人がちらほら 海に行こう 人はすぐに是とするけれど 海の…

際の戯れごと

すっと、波が引くようだ 生きる苦しみは 最後の最後のに止むらしい ずっと、海が曳くような おいでませ、おいでませ 元に帰ると思うだけでいい もっと、弓を引くような 強い感覚で 世に何か残せたらは贅沢かな やっと、神が曳くような 呼び声たとで幻でも 縋…

dark inside

思い違いに 巻き込まれるつもりもないのよ Stockholm syndrome 似た感覚と 冷たいこと言うようだけど あなたと私は違う個体 抱きしめてくれた人を 忘れろというの きっと心を保つというのは そういうことなのね 都会に生きて 距離を取って 次に会う時は 亡き…

宿りの地から

生きていかなければならない辛さを 生きていける喜びだと呼びなさい 聖女はそう言って 私を窘めた 辛うじて見える庭には 何の季節か 葉が茂る 空気冷えこんでも盛るか もう底を過ぎたのだろうか いつの間に 優しい人は部屋を去って 尤もらしい言葉だけが 置…

愛の記憶

それはとても尊くいとおしく 人の心に栄養を なんなら人の生きる理由にもなるほどの 代物らしいのだけど 気づかないくらい 当たり前に持つ人と 持てない人と いるみたいね 今日も 愛の記憶と闘っているのよ 無いそれと闘っているのよ 形も知らぬたからもの …