改まって
声を硬くした人が
身の上を話す
縁側に
食べかけの菓子が
放られているよう
明日には
朽ちてしまう身を
燃やすのはおんなじ
手紙など
届くとも知れず
送り放しになるのね
月の情話
もう抱かないでくれて結構
そう焦らないで死ぬまでは長い
正しさって
見様見真似の
真実なしでしょう
あやふやに
済ますのが礼儀作法とまで
言われたとか
昨日から
疼く傷の所為で
言葉も荒くなるのよ
文字面じゃ
心のうち知れず
行き違いになるのね
次の情話
探しにゆくなら月明り
この地平には決してない頼り