おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

― 伝えのほんのひと節を

あまり感受の強い子を 原野に近い田舎町で 育てようとするでない 帰っていこうとするのだから それは逞しくなるということでなく より繊細に磨きがかかり 果ては儚く消えてゆく そんなことも往々にして 起こってきた世でしょう 気づく者がないだけで 人の陰…

つらつらこいなど

滅多なことがなければ まるで少女のような思い致しに 浸ること なかったんだけどな 借りっぱなしのマフラーを 部屋の隅に追いやったけど 少しふれた手のひらが 冷たかったなって 思い返したり あぁこんなはずじゃなかった 思い違いも 思い過ごしも 髪でも切…

歌うたいに添う人

もう誰にも見向きもされなくなってから 思うこともあるでしょう? 偉そうに説教垂れる気はないけど そういうものでしょう 道端 斜に構えたギターケース 小銭投げ入れた跡がわずか まんまるお月の嘆かわし そこでじっとり歌ってな 私は隅で聞いてるよ 道端 か…

冬間近

雲に紛れて ちらちら雪の 匂いがしただけね ひなたぼっこの庭 冷やされて 丸い背を預ける縁なし 目も碌に見えんとよ それはどれくらい? 耳もあんまし聞こえんとよ それはどれくらい? はがいか はがいか 繰りかえしてた 幼心に生きるとは 霞んでゆくという…

港街の渦に

色鮮やか旗は並び 出船入り船祝う者 ジョッキも進むよ 昼、夜と 時を気にするでもなくて 歌を得意の旅人が 伝いにひと節奏でた 陽気な街もひと回り 華やぐようにできていて すっと忘れたか 海に朽ちる者あれば 鎮めに花を できれば歌を 撒いて弔う者あれと …

夜半に尽きる

幽霊は姿見せない そっちのほうが怖いと知ってのことでしょか 急に思い至り思い馳せ こっちの都合でしょか 春も秋もあったもんじゃないわね 街灯のない畦道の 見上げる澄んだ星よりも 心丈夫がほしいもの 噂話は尽きない どっちもどっちって気づいてのことで…

花も風も、いつか纏う身

吹いた綿毛 思ったよりも 飛ばずに落ちる そういうものか 何か起きたって 飲むこと覚えて 堪えない大人とは違って あなたは悲しかったのね いいのよ それでいいのよ 小さな手で 摑んだひと欠片はいつか 花にも風にもなるでしょう 野にひとり 小さな身で 立つ…

祈りのはじまり

屈んで見てた空は なんだか狭かったな そのまま地に埋まっても 気づいてくれないくらいには 時の流れは逆らえないのに 救いも見せぬその様が 憎らしかったりも あぁ 大声で歌ってところで 小さき者に変わらず せめて貴方には、貴方には 唱え続けた呪文が そ…

雨が呼ぶ冬

駅舎に降り注ぐ雨 思いのほか強く 屋根を打ち 帰りを待つ人 待つ家を目指す人 その中をゆくのは気がひけた どうなったって季節を持つ街の 息する中にいるだけなのに 冷えてくるのは仕方ない だけど孤独まで浴びせられるなんて 心の準備も何もない 冬は一気に…

誰を悲しませるでもない熱が

また熱が上がってきた 誰を悲しませるでもない熱が 背に溜まって じわを首筋まで迫る 焼べる火も僅か 起き上がるには重く あぁ 正しい生活とは何であったか 戸は閉まったままの 動かぬ部屋 命を仕舞うにつけ 頑固になっていった年寄りたちの いたことを思い…

夜半の思いの丈

夜に爪を切ると親の死に目に会えないらしい …なんだ、そんなことでいいのか 構わないし有難いくらいだ 黒い文字が薄く灰色にみえて もう書も限られたかと思われた矢先 幽霊やら泥棒やらのほうが よっぽど怖いから 口笛は吹かない そこは素直に 冷たい水が脆…

もうお終いね

積みあげても一瞬で崩れるなら いっそ初めから歪に そんなことを 手遊びに覚えて 罪にならないような悪行を 心の中で繰り返し唱えた 夕焼け小焼けのメロディーが ざらついて霞んでゆく 優しいピアノの音が 無邪気なふりを見抜く もうお終いね 咎められないラ…

憂鬱を解くのなら

鳴り止まない電話に嫌気がさす 縋りつかれるのはごめんだ 人として間違ったことはしていない そのラインだけ保てればいい だれかが息を引き取ったあと もしくは自分が朽ちたあと それに気づくというけれど 私が今生きているのは 私の現実 紛れもなくね だか…

時の正常

それは穏やかな日ざしの中ではなかったけれど そっと抱きしめてくれた人があった もしも幻でなければ あぁ確かに伝わってきた 自分の生まれていなかった世界もあったろう 生きていなかったことも それを思えば なんて温かい あの人の思いだったろう だけれど…

a minor singer

そんな暗い歌ばかり歌ってたら あんたも暗くなんよ 人もまばら 夜も更けて 通りすがり言った人 余計なお世話で その通り 何年経ってもメロディーは 優しく依ってはくれぬもの 思い出すだに恋う人は うすぼんやりとするばかり だから今日もminorでいいのよ い…

沈みゆく秋

秋の果を愛でる間なく 風はなお強くなり 届けてくれる者どころか 思い出されることもないだろう 木々茂る庭でも持てば 枯れる様だけでも 嘆けたろうに 下手に都会の病の床 連れてはゆけぬ機器ばかり 望んで移った馬鹿者の 己に叱りつけるには 時は戻せぬ 散…

嘘と放課後

ずっと走っていた 海沿い 放課後の君を 懐かしく見ていたのは もう何年前だっけ 恋しがるつもりはないよ チャイムが鳴ればお別れで 思い1つも空回る 嘘でもついていなければ 保てなかった心のことを 今なら笑ってくれるかな ずっと見続けてた しずかな 放課…

街に溶けなくても

こんなに歪んだままじゃ あなたのそばにいられないな いつもより随分早く 昼日中 帰ったせいで 電車はすいてて 眠いのかつらいのか もしかしたら生きていて 少し楽しいかもしれないなんて 幻を見るほどに 手を振った人は嘘だったか 響いた声はまやかしだった…

ゆらめく孤独

乗り間違った列車の先を 今も探しているようで 不慣れな田舎者です 何年たったとか関わらず 遠のくの このまま 弾きだされて 手を握るように 道辿るように 呼びかけるほど そぐわぬ者と 言われている気がするような もしかして そんな言伝さえ もらえていな…

ベルの持つ色

ベッドの脇に詰まれた本が いつか助けてくれるから 日に煤けて傷まぬように それだけ気をつけていて 5時のベルが鳴れば人は 家路とやらに就くらしい それはそれは 嘆かわしい なんて耽美なことでしょう 街の営みにはぐれて 何でもない飯を炊く 自分を満たす…

待ち待ち宵風

小石を蹴って 早よ帰り 待ち待ち宵はすぐに来る 連れてかれるよ 知らないうちに 連れてかれるから 誰も知らぬのよ 待つ母の手に 早よ帰り 泣き泣きあの子の背を見ても 呼んでいるのよ 知らぬだろけど 呼んでいるから 誰も知らぬのよ 小唄が鳴れば 早よ帰り …

月に閉じる

月を見ていた 宵には それくらいしか思い致しがなかった 田舎の空は真っ暗なぶん 映えるようにできている 泣かないで 優しい幼子 今からでも 迎えに行ってあげたいよ 子守歌はたったの一度も 覚えがなくて 紡げない 繋ぐ思いも持たぬ身に ただ黄色いまんまる…

かなでかなえ

離れればわかると 人の言う 離れてわかったところで 容易には戻れず 伝い伝い 導をなぞり なだめるように 紡ぐだろ かなでかなえ お前のさだめ 大切な人を置いてまで 星をめぐり来たのだろう さびしかろに よく歌い 地の人すくう声 意識はとんでまた戻る た…

届かないうた

昼も夜もないわ 貴方思うことを そんなに綺麗なラブソングに 仕立て上げたのは誰 おかげ様で苦しくもなったのよ 長ったらしく リズムを詰めて 歌わないといけなくなったのは やたら忠実な祈りしか 受けつけられなくなったのは こんな嘆きさえも 受けとけよう…

秋祭りの歌

秋の香は何故に色持って 下りメロディを呼びおこす あなたのために生きたつもりが 何も残らず暮れそうで そっと目を閉じるなど 怖くてできないな あぁ 日を呼べ天乞え 続くよう 異界まやかしに堕ちぬよう ただ歌え 秋祭り ただそれだけのために 古から来たの…

呼びかけて 閉じるまで

人生が閉じる夢を見た あながち間違いじゃない ひどく嗄れた声で 叫んでいた 誰かに愛してほしかった 話を聞いてほしかった 幼子のように単純な それでいて一番むずかしい 願いを叫んでいた あぁ叶うかな 閉じるまでに あれもう 閉じるんだっけ ひどく悲しく…

青春のない僕らは

恨めしくてならなかった 光の下 きっと想像もつかない痛みも あるのだろう それすら眩しいなんて 言ったらダメかな 日暮れの匂いは 昼日中から 感じてしまうよ 青春のない僕らは せめてもの思いを歌にする また必ず会おう 受け取るだけではないように 頑張る…

崩れ待つ墓

墓は爛れて いつ崩れてもおかしくないような風情 まるで今生のようだと 向こうに行っても こんな不確かな箱か 柄杓に少し掬った水を ぽとぽと落とす 気も抜けて 日差し恋しや 秋の夕 誰も目くれぬ石はただ 参る者のため建ちつづけ 風に爛れて 崩れ待つ 申し…

【GARNET CROWの10曲】

1999年12月にインディーズデビューした GARNET CROW、今年20周年です。 ぜひぜひ聴いていただきたい10曲をご紹介します!備忘のようなものです。 ①君連れ去る時の訪れを この世の曲の中で1番好きです。仁和寺ライブの君連れは鳥肌もの! 「いつか実体なくな…

5時の鐘 帰るなら

あのコが泣いたって なんてことないよ 待ち待ちいずれ 5時の鐘 海きらめきは 置いてけぼりね 夏は暮れたの 気づかなかった? リズムに乗って かろく帰る子ら 振り返ろうなんて 思わないでしょ あのコが泣いたって 5時の鐘 あのコどこのコ 手を引いてやんな…