おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

雨つづきの縁

雨の降りこんで真夏、 愛した覚えもない男を 思い出していたのだけれど それもまた情緒と片付ける 悪い癖が出ている 雨つづきの縁側、 人塗れは御免だと帰りついても 自然との対話が待っている 成程、思うようには成らぬと 言っていたのはこのことか 煙草の…

日記

ばれない様に ふわっと浮いた7人は あぁ互いが仲間であると知って 集会を抜け出し 3人は校庭を全力で駆け いつのまにやら皆、走り 息を切らしながら 「こんな様子じゃばれてしまうよ」 色々と隠し事と 恐ろしいこともあるのに それでも、それでも、 こうや…

心の遣り場

虹が綺麗だと人の言っても その遥か下 荒れた地に まだ濡れ残る地に 目が行ってしまうのは 星が綺麗だと人の言っても その遥か向こう 闇の果て コントラストを作る その暗いほうに 心持っていかれるのは そういう属性であろう

気のせいの秋風呼ばい

姿勢よく生きていたいと思ったものよ 秋風に伝えがあると 呼ばれた気がするのは だいたいが気のせいで あとはどれだけ思いこめるか あるいは諦められるかの それだけの話ね 幼い御子を抱いた手が 確かにあったはずなのに 乗り越えられる試練しか与えないって…

fussy!

別にこの世に未練がなくても 生きていてもいいものよ 幸せなんて一度も感じたことはないけれど あれは野蛮なものよ 知らなくていいわ 肩元をうろつく虫が 障ってはたき倒したけれど それでよかったのかの問答は よほど暇なときに取っておいて どうやったって…

初戀

夜祭りのこの日のために 仕立てた浴衣でございます 着崩すことは致しませんが 裾引く思いもあるのです 女子ですから 端ないと思われましょうが 女子ですから 焦がれ夢見もするものです 合図は宵五つ あなたが優しくしてくれたなら それは初戀になるのです 朝…

留まるだけの弱き身で

日が経ったからと それだけの理由で 毒が抜けるわけでなし この身は錘をつけたように 変わらず唸った 日曜の街帰り 幾つもの声が華やかなら 世を疎む理由だけが 増えてゆく 歯痒さを隠して 夏は逝った 帰り道も忘れたか 追うに足らぬ身で この地にこの部屋に…

お前の生きるこれからは

かご一杯に赤い実を集め 走り来る子よ 転ぶなよ 転んでも起きろよ 手を取ってもらいながら お前の生きるこれからは 幸であれと念じつくった 私たちの結晶であり そして些細な過ちでもある 上がった雨に濡らされた 草の野駆ける子よ 無垢をして いつか知る穢…

文も折ります

女に生まれまして やれ何を成しただの成していないだの 殊、年頃には言われるものです そして否応なしに考えてしまうものです そうしているうちに だんだんと 何も成せなかった人生が待っているのではないか このまま死んでいくのではないか 果て、もう既に…

冬待ちの桜通り

急に冷えた気に惑い 君がそっと出した左手を ちゃんと握れなかったな ぎこちない帰り道に まだ葉が散る前に ありふれた言葉を 幾つ言えるかな むずかしい思いばかり 話して歩いたから 桜通りは冬待ちで らしくない日を過ごしています 雨もないのに白い息 君…

止まない雨がないとして

泣いてしまったから もう戻れないね みんな忘れてくれるわけでもないし ただ手を掛けて引けばいいドアが 重い錘のように思えて ぐっと息をのんだ あぁきれいな場所から やり直せないかな 取り敢えず意味は置いておいて 髪を一度解いてきびる 誰の罵声も聞こ…

駄文

季節のせい、気圧のせい、 何々の所為という物言いを見るにつけ あぁそうね、分かるよという感覚と同時に こちとら、その界隈の常連ですから なんならプロを名乗りたいくらいですから いつでもかつでも何々かのせいで 生きていくのが難儀なもので 1周回って…

風病と夏雨

傷んでも それをすぐに言葉には 出せない世ね 夏名残りを 流してゆく雨 具合よくなるわけでもないから 生きたふりでもして 抜け殻になってみたいもの もういいよ 誰か言ってくれれば 途端に事切れるのに もういいよ 誰も言ってくれないから ぼんやりでも繋ぐ…

やさしyellow

yellow 空は好きなように染めて 帰りつくドアを閉めれば 片し途中に散らかった部屋 yellow 見えないけど見えているの 今日言えなかったことと 言いすぎたことを 反芻して反省して yellow 優しい色ね そういう人になりたかったのに 心保てぬ地平ですもの 精一…

正しい世界の言葉が私には

自分を傷つける言葉なら 幾らだって浮かぶわ そもそもが予防線張って守るために 蓄えたはずなのに いつのまに刃になった どうすればフラットに戻れる 幸か、いや不幸か 気は冷え秋の兆しを見せる あふれる詩歌に幾つでも そのまま生きていいという 許しのよ…

波のさそい

こっちへおいで 招く波 息継ぎがうまくできないの 心配ないよ 身を賭して 気楽にまかせてみればいい ほぉらおいで 揺する波 ママの近くにいたいの 心配ないよ みんなはじめは この中にいたんだから もうねおいで 誘う波 体の感覚がわからないの 心配ないよ …

花火は隣町

すれ違ったあの子の 赤黄浴衣に見惚れたの 花火はそうか隣町 私の至り知らぬところ カラコロしずく残してった 跳ねてゆくわ 年の頃15の悲しみと被らせて あぁそうか あの子はきっと持たない傷みを 抱えた帰り道 なんにも悪くないのよごめんね 楽しんできて …

Caramel latte の罪

Caramel latte 注ぎこむ 深夜11時の罪、甘み 言うこと聞かない身体に鞭打って 今日も働いたんだから 正しい本に書いてあった ちゃんとした暮らしはまた遠く なんでもいい 果実を貪る 明日の朝に備えて嘔吐くわ また泣いて 空気でも吸い込んで Caramel latte …

どこかへ帰ろう

Home, sweet home 鈴の音と 無理くり作り出したような暮れ 急かされたら醒めるように できた心臓 うらみつらみ 家へ帰ろうと歌う歌 清き人らの道しるべ 道化、私は捨て子のよう 放ったらかされた御手に酔い 帰ろう そのままどこかへ Merry Christmas 街の色 …

秋風を吹かそうか

秋風を待たずに 具合悪くして だから心配になるのよこの子 泣いてばかりに飽きたのかしら 知らせもしないものだから 遠くて気づけないごめんね たとえ目の前に誰もいなくても 愛されているということを どうか感じて 思いこみじゃないわ 秋風を吹かそうか あ…

かたちなき思い出のみち

急な階段の先 古びた校舎が待つ 幾つもは一緒に過ごせない 知っていたから季節が いとおしくて いとおしくて ねぇただ日が傾くだけで 泣きだしそうよ かえりみちは手を繋いで 離れるまでは側にいよう 当たり前のことを口にして 好きの代わりにした また散る…

虚ろうつろに還りつく

死が近づいたような思い違いをして 帰りの電車 倒れそうな身をぐっと支えていた もたれかかれるものがあるとすれば 見知らぬ人か 冷たいドアの端 死がそこにいるような思い違いをして それこそ思い込みだ いつどーなったって知れない それは居なくなることも…

風が呼ぶなら

夕焼けと暗い雲 小さな部屋にも映り込んだ 夏はもう行ったんだね 感傷なんて遠い昔に置いてきたのに 風、風が 呼ぶなら行こうか 逆さにもなった縁が 狂わせる今日 幻と切り捨て鬱ぐには 少し過ぎるわ 肌に付く 風、風が しっとりと覆う雲 来るなら来なれ い…

まだ渚にいるのか

まだ渚にいるのか 泣いた日を思い出していたのか 時代は移りどうやら 押し戻す波も無き様 これからはもう老いゆく身 添うとも守るとも言えぬもの せめてせめてと念じれば 夢に立つくらいはできようが 怖がり 泣き虫 布団かぶって震えていた姿を思えば ただた…

★オリジナル曲集(その2)

交錯 fuchan-orange.hatenablog.com 運命の上に立つ fuchan-orange.hatenablog.com それでも歌を歌っていた fuchan-orange.hatenablog.com ねがい fuchan-orange.hatenablog.com おもい fuchan-orange.hatenablog.com liar fuchan-orange.hatenablog.com 2…

自死について②

自死について①で、一般的な生死への考え方を綴ったのだが、 私にはどうしても、別件で自死について申し述べたいことがある。 fuchan-orange.hatenablog.com 一生懸命生きるとか、辛いからって死んじゃダメだとか、そういう一般論も勿論承知しているのだが、…

まっくら町の

まっくら町の帰りみちは とてもとっても怖いのよ 降る星を照る月を 愛でる沙汰ではないものよ 息をついて 膝を折って 蹲ったら最後 涙目 誰にも見咎められぬかわりに どこまで孤独なものかしら 魂の単位で切り捨てられた ポイと置かれた気になるね 夜道ここ…

西浜

路面電車を待っていた 慣れないけれど慣れた町 何に追われてきたのだろう 吸い寄せられて飛び乗った それは助けを求めるような 少し広い世界への 旅のような気がしました 西浜の賑わいが 好きで好きで憧れて 揺れも軋みも覚えては 夢に落ちるような時間はな…

しょんなかたいね

好いた男の残した子だに 放るわけにもいかんじゃろ 夕飯拵える細い背を 只々見てた柱には 爪の跡が残ってね 咳の1つもするもんか 気は優しくて力持ち なんて程遠くても 目指す思いは滾るもの 涙なんかは知らぬもの 好いた男の姿1つも 見せてくれはしないの…

暗がりのアリア

暗い雲と 行き交うこと示し合わせたような空 いつまでも気怠く 儘ならない身体を呪う 明けの声を正しく 上げるための仕度が要る 誰も望まぬことでしょう それでも嘲笑に閉じるわけには 月など見上げてなるものか 暗がりの気配だけでいい 何を負ったつもりに…