おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧

神さまがいない

神さまはいない それでもなお願うならもう 己の手を己れで取るしかないだろう 虚しいねなんて言う間に 言葉のひとつも紡げよう 煌びやかな人の隅 悪いことは幾重に重なり 神さまはいない それならもう生きるほか 神さまはいない それでもなお進むならもう 己…

無用の日和

力を封じた片腕はもう力なく 封じたのだから仕方のないこと 仕方もないなら朽ちたくもなる 追いかけっこがまるでつづく 皐月、気配は色濃くなって 何もできるなら生きる価値ないか 問うことしかできぬのに 答えは風にも乗らず来ず また思案のつづく日和 ぴく…

汽笛と窓辺と雨の精

わりと近く汽笛の聞こえる街ね どうして今ごろ気づいたのかしら 読み忘れてた本をパラパラ捲る もうすぐ夏も着くころかしら 胸弾ませて待ちかまえたい 少し大げさくらいがいいけど 雨のにおいのわかる育ちは よけいなことばっかりちらつくのよね そういうこ…

ほたる

ほたる、小さな光をやどす 好きな水辺にゆきなさい ひとの、手を入ることないように 思う水辺を舞いなさい ほたる、光に会いたいのなら そっとそっと見つめなさい ひとの、声に脅かさないように あんまり近づかないでいて ほたる、やわらか光を宿す 好きな水…

算段情

ちらつく影が 恋とか そういう綺麗なものならよかったのにな 強すぎる日差し 忘れ得ぬ 痛さ苦しさが住む景色 誰のせいでもないのなら 歴史は賢帝だけになり 誰のせいにもできぬなら 心は凋んで消えてゆくだけ 涙の跡でも残しましょうか 要らぬ算段にまた暮れ…

夕まつり

蒸し暑くもなった 宵を待たずに祭り囃の ずんとずんと近づく 五叉路の辺りで待っていて 1人でくぐらぬほうがいい 日暮れ、まやかし大通りは 止むに止まれぬ引き手がある 汗にぼやけて歩先狂う 連れてかれても知らないよ? 涼し夕風にも 乗せてお調子祭り囃…

mimic lake

水なだらかに 良い昼辺とかいかないのか あんなに美しいメロディーに歌われたら 多少の鬱屈も飲めるだろうに 追い越すくらいのいくさ場記憶を抱えて 澄んでもいるのだろう 響けよ bagpipes 魂はきっと 浮かばれるより 地をゆくこと望み 呼び声まだ、まだ残る…

まやかし通り

涙ながらの通りゃんせ かなし人の離れるのは 決してそうかとは手の振れぬ 遣る瀬なき袖を 見ずもぶら提げ 部屋で濡らせるのは何時になる 虚ろな人ほど早歩き 占い林で金を吐く 願うことも愚か 誰も彼も奈落の底へ 向かえ向かえ 赴くままに ここは今生、まや…

町にいきて

この坂にはもう慣れた? 見ていたよりもきついものでしょう 大丈夫よ だんだん なんてことなくなってくるし どうしてもムリそうなら またどこか流れればいい 受け入れも送り出しもしてくれる町よ 悲しいことには1度、 忘れ得ぬ記憶に遭っているから ゆらり…

何気ないさだめの中

カタコト電車の音 思いの外ひびいて これだから地上線はたまらない 強烈に寄る朝日 思いの外明るく 灯りもいらない部屋にする もう大丈夫な気がしている 昼夜逆転も持ち直すための 仕掛けと施しが 息吹にも人工の家にもあることは 救いを求める魂に 現実、慰…

地を打つなかにいて

雨はまた期を知る 誰の所為ともなく揺れる 枝の先そればかりが 気に入り やがて滅入る そういうふうに出来ているのさ いつもの当たり障りない言葉で落ちつかせても 雨はまたさらに落ち やがて地まで沈めるのでは 気にしなければいいなんて 何にも気にしない…

星に置いてきた少女

誰も声をかけてくれぬから また星にひとりぽっちか、娘 奇を衒うつもりもないのに 成熟の過ぎた心が保たぬ ここからでは伸ばせぬ手を 伝う術も無き手紙の 握りしめれば口惜しく なぜに落したと今悔やむ 誰か声をかけてくれよ 取り留めのない言葉でいい 星に…

節をたどる

遠い日に聞いた 柔き恋のうたが なんのまやかしか もう霞んで見えなくなった時 あなたに出会ってしまったらどうしよう 取らぬ狸の 可愛くもない 旅の方はこちらです 闇はご自由にどうぞ 晴れ後雨は定石で いざ哀し恋でも飲んでいて 指先に残るのは 愛情だけ…

一夜

夜は来ない お前が眠っている限り 陽気に任せて 目覚めるのを待っていたはずが これが夢なのではないかと思いはじめた お前が眠っている限り 解けないのだ 教えてくれ 夜は来ない お前が眠っている限り 蝶も舞う間を計りかねるだろう

super star

ステージの上には確かに 背の高い彼が立っていた 同じ空間にいるのに 歌が聞こえるはずなのに どうして泣いちゃったんだろう 嬉しかったからじゃないはずだ どうして見上げるだけなんだろう 同じ時間を過ごしても ただ見る側にはとどまれない 誰の目にも触れ…

暮れに目覚めれば

胸糞悪い話が転がる 市井を断てば己がわからなくなるし どこにいたって変わらないけど どこにいるかくらい知っていたい ふらり地図を見まわして 人生ってわからんもんだな まさか東へ向かう旅が 旅に終わらず居つくとは けたたましい街の音が 慣れてくすんで…

夢想

あなたの涙に沿うように 日は差し ダイヤ乱れた電車は揺れる 働かなければならぬ世だ 山籠りも厳し身だ 季節の移ろいに掛けまして 人の仕様と解く そのこころいかばかりか 得し難く もう落ちる日に託せば 人類の謎 猛き者よ 頼んだ 初夏を潤しておいてくれ

駅を出たあとの雨

あなたに嫌われたって 駅を後にするならもう 関係ないわ どうってことないわ 言い聞かすしかない身に雨 やけに早いのね もう少し待ってくれてもいいんじゃない 愛に縋るなら一生つづく 苦と不安を今日置いてきた 引き留められないこと勘づいて 願い下げだと…

heartache 2

優しくできなかった帰り道は 抑えすぎた苛立ちは どうやって息をしてたんだっけ ここはもう嫌だけど じゃあどこへ行けば? 私だって苦しいのにな 言ったもん勝ちみたいな弱さが嫌い 降る雨より愚痴の今日だ 自転車がほしい 駆けたい どうすれば 苦しまずに済…

そよげる世

お前ひとりの涙など 誰がその気に留めようか 風もそよげる凪の世に 言われた気がして 捻ねたものだね 気づけば尚に 声をくれた人のこと 忘れたわけではないのにな たったひとつ うたうたいも苦しくなったら最期 もう行くしかないから繋いでる ひと息、ひと息…

どこまでも遠い空

私から突き放したつもりはもちろんなくて できれば仲よくなりたかった遠い空 あなたの妹にでも それは厚かましいかな なんなら付き従う1人にでも数えてくれて 私から手を伸ばせば 青春の頃、そこにあった気がしたのに いつに遠ざかった どこまで行くつもり…

もひとつ、チョコレート

そっとなぞるチョコレート あたたか季節にそぐわずに 儚むだけが世じゃないわ 誰か殴り倒して教えてほしい 咳をするたび 背震えるたび 気取ってしまう それ以外に うまく飲み込むすべがない 港、汽笛も響ききて かろうじて開けた窓からの 息吹を嫌味ととる性…

暮れに思えば

疾うに暮れたけれど 未練だけ数えたら どこにでもあった いくらでもあった 優しく待ってくれた人を 鍵をなくした帰り道を 思いだすようにできている 夕焼けはどこだってきれい また歩いてゆけるね 月並みな言葉で十分だ もう生きてゆけるね 悔やむことも連れ…

そよぐ窓辺より雪

雪に埋もれた夢を見ました ここは初夏、南西の方の島ですが きっと白いフカフカに走り回る 思い描くだけで胸が高鳴って あなたの苦労も知らずに夢に見ました どうして今求めているのだろう 日は高く開け 寒いのはキライ そんなことばかりだなって 窓辺でため…

なかののおと

忘れかけたころ鳴るベルは 風光るにそぐわぬ憂鬱 いい加減解放されてもいいんじゃない? 誰が縛るでもなき身でしょう 部屋の中で泣きじゃくるには 日の明るすぎる暦のこと ちょっと遠いけど電車ゆられ ゆこう愛する賑やかしの街 どうせ物思いするのなら 心強…

水待ち月

雨に打たれてもいい気がした なんのことはない わかり易くまた床に臥せて 悔やむことだけ一丁前 いつまで繰り返すんだろうな 熱を帯びたまま暮らしてゆくの 慣れたものね もう嘆きもなくて 1杯の水もいらないから ただ広い海の見える部屋に行きたい 雨があ…

五月と詰まり

恨んだり縋ったり忙しいのね 五月、空も澄んで遠くって 繋がってるって綺麗な歌を 覚え信じたころのこと 思い出していたみたい 生きても生きても知れない愛を 投げたらいいと風伝い もうしばらく会っていないから 薄れて消えてくれればいい けれど 私が在っ…

宿りあめのうた

雨待ち月の恋しいくらい 駅の屋根下で宿る人たち そのひとかけらになれたみたいね こんなにじっとするのはいつぶり 向こう空には光もみえて どこから強く雷ひびく 生きてゆくのはたやすくはない そんなことの繰り返しかな 弱まる気配みせない空 ぐっと堪えた…

薫る気と

声高らかに世を嘆く 恥ずかしげもなく私は私を覆う だんだん飽きてきたな 気は皐月、謳歌して 置いてけぼりはごめんだな いつだって入り混じった 感情にもたれかかってさ 薫り、薫る、風に酔い また身のやりどころに迷う日和 続いてく予感もある 解放される…

夕寝覚め

不安定な日和に やはり酔うか 夕寝覚め 慣れないね 地球のありよう 自分の心臓さえ遠く思えて 呼びかける君、なき身は すぐにすぐに神へ はたと、声をかける相手ではないと 本当はわかっているのです それも許してください 夕の惑い時のことと 暦調べて 腹に…