おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

死なないでおくという選択肢

www.youtube.com 絶望に打ち克つことが正義のような世界にあって“死なないでおく”という選択肢があることを知っていてほしいからあなたの生き方や死に方をとやかく言う権利は私にはないけどどうしても伝えたいことが1つだけあるから力の抜けた体 虚ろな感情…

愛と十字

あなたに手を引かれて行った 朝の扉 重く開いた 讃美は残る 旋律だけだ ひとつも覚えきれぬ余所の言葉 祈りの格好だけとったのよ ひとりになってもいいように 愛はそう こんな形でも 残せるのね 時越えて知る 背に手を当てて慰めてくれたことと 大事に仕舞っ…

片ふぶき

愛は片吹雪 誰かのためと言いはっても 夜は欲に泣き また思い返す年の暮れ どうか幸せに なんて言葉もこの世には あった気がしたわ 忘れかけていたけれど 髪を染めた時 愛されること望んだの 冷えた手を取れば あとは一気の駆け落ち

石段を上がれ

戦いの後には 女が入るでない 伝えを聴いて 大人しくしておけばいいものを 景色が待っているのだ 風が呼んでいるのだ なぜそう思う 石段を上れ 草木を割いて 丘の上のたましいを 迎えにゆくまで どこで聞き覚えた歌 ついてゆけぬ身体 弱きを憎めど 精神は強…

彼の国

死の国でもともに生きよう なんて矛盾を なんの違和感なく 吐いてしまう心情が 生き残りの悲哀 知らぬ者の意地 置いてきた意気地 もう会えるかも分からぬ地を 夢にみて 夢にみて 会えなかった時に 然も 其処から抜け出せぬ時に どうするの 死の国でともに生…

伝手無き天界

さみしいものよ なんの宗教がなくても こころ拠りどころがあればまだ 違うでしょうけど なんにも持たずにきたものだから さみしいものよ あぁ煌びやかな生活は 私には必要のないものだと 思っていたけれど ここではこんな間近に見せられるのね しんどいもの…

雪踏み

人の心を壊しても 堂々生きてる奴がいる 雪踏みの儀式が終わったら もう倒れ込んでいいからね その前に 辞めちゃってもいいからね 心あたたかい人は 理解できる者も 理解してくれる者も 少なくて さみしくて つぶれてしまうのさ いいよ いいよもう 疲れたね …

居残りの街に

通りすがりの祈り人 聞き覚えのあるメロディーと 愛を忘れて 恋に溺れて 月も星もないや 見えぬところ鐘を鳴らす人 足早帰りつく息と 鳴りをひそめて 影にかくれて 行き違い交る街 今夜だけ 早く忘れたくて 今夜だけ 忘れたくなくて 振り回されないように言…

恋をみつけて

肩にもたれていた 帰りのバスは いつもより揺れていたけれど 安心したもの 苦しかったもの 恋をみつけて 季節がかわった 走りつづけるには弱い体 うらやましかった後ろ姿 真正面からは言えないからな ただ追っていた君の姿 今となりに熱を感じて 帰りのバス…

迷い子のクリスマス

吊るした靴下 キラキラの赤 飾り光り あたたかい声と 歌をおぼえた 教会かえり 手を引かれるのは 明るい子だけさ クリスマス 憎らしい家の まぶしさが増すだけの クリスマス 甘いケーキと プレゼント見たことないの 転んだそばから 起きあがるから 助けてく…

あるうちに

2本並んだペンを蹴り 旅に出るには若くない しかし薄ら終わりが見えたなら 押し出されるように行くしかない あるうちに あるうちに こんな命でもあるうちに やりたいことが多すぎる 見たい心が多すぎる 1人さすらいの真似事に 排気と猫が通り行き 冬も真中…

月を見ていた君

浪漫の欠片もない町で じっと月を見ていた君 図書室で借りた小説には そんな顔にさせることが書いてあったの? 最後のバスさえ見過ごして ずっと君を見ていた僕 グラウンドに返りの夕日 海から来る風の匂いもしたこと 言えなかった 言えなかった 気持ちはこ…

星へのグラウンド

ここはプラネタリウム なんにも流行りものがない代わりの 夜のご褒美 君は慣れないみたい 少しかわいく思えた グラウンドに寝ころんで 一生闇に その中にいる星に つつまれていたいと思ったもの ここはプラネタリウム 嫌な気に幾らでもさらされる代わりに 僕…

ついぞの恋

君が待つバス停まで 細い息でつなぐつなぐ 辿りついた時にはもう 飾る余裕もなかったの 夕焼け小焼け しゃんと聞こえる 田舎の町の音無しが 君の声だけ 擦れさせる 好きや嫌いがほしいわけじゃない ただね 暮れゆくバス停で ゆるい時をつなぐつなぐ 帰りつく…

春の香

世紀末にはもういない たいていがそうでしょ 一緒におててつないで 待つだけ待って 朽ちましょう いずれ来る日を 早めて何が悪いのか 若いころほど そう思っていた 粗末にしないと誓った命 人が死なないと気づかない命 クッキーを1人で平らげた 可愛げのなさ…

病のとき 冬のおと

どうして若くあった頃に もっと頑張れなかったのだろう 暮れ頃の暮れ時などは いよいよ考えてしまうもの そうすると幸か不幸か 胸の苦しさとは別に 物理的に具合が悪くなるもの あぁ僕はあの時病んでいて 生きているだけでも手一杯だった それを思い出させる…

明け頃の愛は

雪残り 4時に目が覚めて もう1人も 慣れる頃合い 寒々と 外の気はもう 触れられぬほど 冬を極めたろう 愛を口にした人は 去ると相場が決まっている 愛を秘めすぎる人は 不安に駆られて崩れてしまう あぁもうね 相性が悪いのかも 誰彼とというわけではなくて …

星の子

降るよ降るよ もう降るよ やっと迎えにゆけるよ 息をのんで こらえてくれて 息をついて なじみもはじめて わすれてしまったかな 生まれたその星 肌は荒れて冬模様 波も荒れて夕歩道 わすれてしまってもね 君は星の子

暦はるか

日付を辿れば もう暮れ 急に気は 凛と冷え やぶいた先が ただの屑 記した予定が 世の幻 会えるか 会えずか 籤引いた はじめのころの 思い忘るな もう暮れる きれいでなくとも 誰とて暮れる

背に添う

背の凛とした あなたの姿を ずっと見ていた気がするわ 思えばほんの僅かの時間 そばに居られただけなのに 惹かれて惹かれて 頭から 離れなかっただけのこと 背の凛とした その姿を 思い 思いすぎて 焦がれる 明日には 新しい記憶に 埋め尽くされた日常だとし…

月見のころ

月は死んでしまったのね 仕様がないわ 大きなものだけに 特権も住まない 見返り美人の成れの果て うさぎの耳も澄ませ 冬用の着しろが 手に余って 掻き込んだ飯を 噎せてみたり そうこうしているうちに 明日には死んでしまうのね いいわ 覚悟もどうせないんだ…

言えなくなったやまい

病が当たり前に うたわれるようになった時節 もはや ぼろぼろでも言いだせない 生まれついた影を苦を 呪い死んでゆくだけの気が 生きているうちからすることを 言えないよもう 言えないよ 人が病んでゆくことに 優劣つけるなどないけれど 後先はあり程度はあ…

時忘れをおくれ

お気に入りチェックのスカートも いよいよ解れて なくした一張羅 週末はどうすれば 焦りはじめが吉 意外と長丁場 好いた晴れたで決まる 一生じゃないくせに 時忘れの鐘 なんだって自由になる少女 向かう先に迷えば 途端もうあとがなくなる 愛されたかったな …

おやすみなさい葉

帰り路が分からなくなったけれど まだ愛されている気がする葉 いつものしょんぼりに似合わぬ強風 花時計の間におやすみ 辿りすぎがよくないという噂 行き当たりばったりがいい気がするわ 突然姿消したものもあった恐怖 町のチャイムに夜知る トラックの後ろ…

星と茶を煮た日曜日

急須から茶を注ぐこともなくなり せめてものぬくいを啜る夜半 息詰めた生家とは異なり ただに身を横たえることできる部屋 さみしくないわけがない 星を離れたものたちにとり だましだましが生きる術 忘れてくれるな 凡庸にあれば気も紛れよう 手のひらの熱は…

真夜の果

夜中の葡萄は身に堪える 恐怖も覚える 学生の時分に読んだ物語は そのまま思考となるもので 毎週末足繫く 峠越え 祈っていた あの人はあっけなく逝った どうせ不確かな世にあって 祈る阿呆と 祈らぬ阿呆 どちらが寂しいかでとる どちらが無様かでとる どっち…

ねむりのくにの現実

お伽噺を抱いて寝る つらいも昏いも明日を待つ 通りすがりに恋焦がる 未来も期待も砕け去れ そうさそうさ 覚えの歌を ひとつ唱うのに いくらかかった どうせどうせ 消える体を ひとつ保つのに こんな精一杯 お伽噺にだまされる 大人になるなら避けられぬ 通…

吐いても泣いても

雪解けを待たずして 閉じようとするのずるいよ 横たわる者を 蹴るわけにはいかず 先に生まれた者の定めは 教え導くことではなかったか 吐いても泣いても 力弱きは治らぬ 先に暇す者の定めは 心残りを此方に渡さぬこと どれのひとつも果たさぬまま 弱りゆくな…

夏残り

舌にのこる あまじょっぱい夏まつり もう背だけ向けた 消えどきの花火 引いてもらえなかった手が そのまま一生手持ち無沙汰 人の群れに 逆流しての己迷子 かきみだされてゆく そちらにそのつもりのないことが またさみしくなる 夏の行 髪につたう 浴びた水の…

寒室

自分のおくびょうを嚙み砕けるだけの ちからなきまま悪ふざけ この手に あればよかったのかな かなしみ編み上げるだけの さむざむしい冬がふかまってゆく あぁ あしたにはもういない いたら奇跡の いのちのつなぎ