おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

restart

小さく1つともした明りを 囲んでぽつりぽつりと 話した夜を覚えてる? いつ終わるか分かんない歌を 笑いながらつないだ朝のことも 青春がないって 言い張ってみても 今になって呼びかけてくる 早く行きなよ あんなになりたかった自由に今 触れているのだから…

つづりはじめのうた

狭い町では 今日も飽きずに 余所もんが何だ あの子が何だって 本当に飽きもせずに せっかくの海山に目もくれずに そんなこと言ったら みな通りすがりさ ちょっと何十年か 寄っただけのことさ 酒を覚えたら 船から降りたら 忘れちまうのかい? しょんないね

青春返り

今さらに帰り道は 何百円か握って ざわついた店へ 預かってたプロフィール帳ができた 笑いすぎて泣いちゃった 冷たいものは歯にしみるから 1人ホットレモネードで なんか浮いてる 格好つかないのは 長年やりすぎて慣れた タイムスリップくらいじゃ直らない …

きおくづくし

人を泣かすより 泣かされるほうがまし 慣れすぎたのかな もうお手のもの お昼だけでも 電車に乗って どこかの街へ食べにゆく なんてぜいたくね 誰かの言葉が残らぬように 頭ん中で歌を流しても それも一緒くたに覚えてしまって 聞くたび思い出されることにな…

五差路の歌酔い

歌酔いのひどい 祭りの帰り 遠回り 流石に何年も仕掛けられれば 連れゆかれること 避ける術も知る ねぇねぇそこゆくお嬢さん 五差路のあたりが危ないわ 多様集っているからね 其方からでも選び放題の 路をあるけば 不意につながり 疑いすぎて 人並みの歩もゆ…

楽園の罠

果実にはじまり果実におわる 決まったままに動いているだけ 落とされたつもりが自分の意志で 人間に抱かれることもある 都合のいい時だけ天を向く 言を唱え歌など紡いで さぞ滑稽 なお感傷 人間に殺されることもある 楽園は 帰りつく場所だと思っているでし…

こいと草むら

2人並んで 草むら寝ころんで 何もないことを 風のさまを 見ている午後 鐘もぼんやりと 暮れるまで まだ刻はある 何でもないことを 話してもいいね べつに 話さなくってもいいね こんな心地になるまでに ずいぶん長くかかったけれど 弱った手を握ってくれた…

拍子

また連れゆかれる 拍子はさやか 小さな体のよく動く 着物は何枚か母の持つ 練り歩きの昼間を経て 奉納の夕べが来る 鈴に情歌に 賑やかだこと ただ導かれる 拍子あざやか 裾引いた兄の置いてけぼりが 何年ものうらみごと だんだん押し来る波の音 着物は脱ぎ捨…

夜書き

うつろうつろの夜書きは 良くないと昔から言うでしょう それなら大人しく眠ればいいと 汲める歳でもまだないのさ 何から言えばいいだろう 好きや嫌いの話じゃなくて 私が凛としていられるという 勝手語りになりそうだ 初夏に会ったから それをそのまま 覚え…

alice

洒落た店が苦手 それを差し引いても ここがいい 静かでいい あなたはそう言って 奥から二番目 いつも本を読んでいた 私とは縁ない世界 飲みなれない珈琲 落ち着かないよ 今たとえば 目の前にいたとして とても遠い世界の人に 見えた 見えたんだ 古いのに綺麗…

足場悪い浜辺もあったもので 知らぬ人の想像で愛でるのと違う 君は器用に跳ねてきた 僕はそろっと身を低く 潮のにおいが分かるくらいには 住みついてしまったこの町で うわさばなしと余計なお世話 隠せない恋や叫びたい夜 貝殻ひろいは子ども等に任せて こち…

真夜と四季

四季定まらぬ なだらかであれば 詩のひとつでも認めよう 窓辺で そうともいかぬ 移ろいと 追い越しと揺り戻し 心ぐらぐら 季の赴くままに 遣られるよう 太陽に沿い生きる 術の本読み 知ったそばから 真夜の菓子 許して頂戴 髪も乾かぬうちから 典も唱えぬう…

春はじめの鐘

言葉を封じた先に何があると思う? 僕は学者じゃないけれど それくらいは分かるのさ 季節奇しくも春はじめ 花の芽吹きの有耶無耶で 抉られた心の行く先は 唐突な死か苦渋の生 別に社会の話をしてなくて ただただ小さい家だとか 1つの小部屋で起こること 言葉…

Identity dilemma

夢にまで酔いはじめたころ 愈々この世に生きた心地がしなくなって あぁそうか はじめからそういう者があるのだと 広い城回りなど歩けば たまに海の近くに帰れば だましだましに生きたつもりを 心に認めてくるだけさ その時聞いてた歌のこと そっぽ向いた誰か…

病み酔い

物理的な傷を負ったわけでもないのに 息がうまく吸えなかった 真冬の朝に投げ出された 子どもみたいな小さな身体で 見たことないようなあるような 県道をどうやって歩いていった もうこの世にいらない命が いよいよ止めを刺された 病みに病み 時の薬とやら …

君紡ぐ物語

求められることに慣れず 目を伏せた渚 追い立てるような波音、風に 今日ばかりはうらみ言も 誰彼なく話す人じゃないから 心正直にいてくれるの分かるよ 君紡ぐ物語の隅にでも ひっそり居られたらいいと思ってた けど、もう わだかまりか 向き合うしかない時…

ごめんねマーサリ

嫌な奴の娘なんて 嫌な女に決まってる 自分が言われていちばん嫌だった台詞を そのまま無意識にぶつけてしまった あぁなんて私は身憎い 広大な草原に 似つかわしい水辺に 心清められたつもりでも 巣食う先入観 ごめんね マーサリはなんにも悪くないのに そう…

トンネルの夢

逃げ切ったと思った トンネルの手前で避けて あぁ悍ましい一家から 切り離せたと思った 夢見がいいのか悪いのか 忘れたころにやって来る 酒もないのに追って来る 過ちと言わないでくれ 狡くないと生き残れなかったんだ 冷え切った手に 生命の限界を思った そ…

予感と超過

海までの距離を知る人は 早くに陽気の変わりを感じ それが過ぎたならいつの間に 連れてゆかれ易いもの 陽に肌のあれてゆく人は こころからだが繋がり持ち それが過ぎたなら暮らす間に あちらを見てしまうもの 夜に眠り落ち夢を見る人は 感受の幅で旋律に浸り…

戯れごとの戯れごと

また嫌な電話ぶった切って ため息より大きく叫ぶ ふて寝でも決め込みたいのに まだ昼の1時 あの子も悩んでるって 大げさに言ってたけれど 聞いてみればなんてことない お洒落か男の話 買いこんだ不健康なもので 実のないもの作って 貪りながら宙に 愚痴吐く…

04

小さなバス停 こわれかけた壁 1本のがせば 歩き帰りの 空から見たなら ただの海 そこにひっそりある山道 君を待とうか 16歳の冬を見すごせば もう会えぬだけ 似あわぬ冷えきった気と 背筋は凛と伸ばしていたい気持ち 一目でも見られるなら ここにいるよ 嫌い…

歌の子

大声で歌いながら 君は自転車で 真昼の3号線駆けていった 見間違いかと思ったよ 気にも留めてなかった 素朴なニコニコした子でさ 全然タイプじゃないからね ちゃんと話したこともなくて 何が悲しんだろ 夕日にあてられることなんて もう慣れっこで 人の輪を…

星屑を追うひと世

星屑と数えられるあなたが 羨ましくてならなかった前世 その姿 人の住む星に 晒せるだけで高尚 水はどこでも清く 澄めば憎たらしく 踏みつけてやった けれどなお澄んだ 青を好むあなたにつられて 地球に落ちてゆくところ ぐるぐる回る景色がいたい どうやら…

ひとなつ

息も整わないうち バスは来た 君の影あるかな どうせまっすぐは見られないんだ 声がするといいな 山道の上りくだり 酔いそな気分もがまんよ だいじょぶ 必死で書いた手紙は 今日も帰るまで忍ばせるだけだな 夏服のこの季節を 1つしか過ごせない 年の差のこと…

夕の電車

人混みに潰されるばかりだったから 久しぶりね ゆっくり揺られる電車は 全く違う場所を走っても 西の国を思いだしてしまうほどよ 夕焼けに泣くなんて在り来りだから やめておくことにしたの 何年か前から あなたが生きろと言った理由を なんとなし感づいてき…

やぶれかぶれ

投げつけられた果物 早朝に 動物でもないのに暴れる奴は 冗談でもなく 例えでもなく すっと躓いて死ねばいい 身に覚えもないのに 怒鳴られた記憶は 必死で覚えた九九より残る 自分が老いてゆくから 許されると思っている奴は そのまま暢気にサヨナラね 愚痴…

君に添うとき

とても小さな手を握って添う 小さな子でもないのに守りたくなった 雨が近づいているのは肌で分かる 強く抱きしめすぎると 潰れそうなやわらかな からだとこころで 生きてきた そのさまを愛おしく思った 泣きそうになる6畳の窓辺 余計なものなど置かぬさが た…