おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

荒れる波船

その船はひどく揺れた でかい図体で激しく打ち 波を真横から見る羽目になる 愈々死の隣にいるのだと 人々は島に異様な憧れを持ち 長閑だと勘違いしている そこまでの行程を無視して 綺麗なものには 簡単にたどり着けない世だ 後戻りもできず 洋上に放たれる…

連れてゆくふし

眠り落ちる前の怖さなど 人の語るほどじゃないわ 肝心なのは日常にふと 消えることよぎる時 そのまま連れてゆかれぬように 開きやすい道に迷わぬように とらわれる心保てるように 念じて念じて はじめてすこし 対抗できるくらいなものよ また聞こえる 異国の…

春君

春風には弱いや どこか痛む どこか痛む どうして僕はこんな為体だ 本当は君の隣 なんにも考えず歩いていたかった 難しくてもせめてそれを 口にしたらよかった あてない あたたかくなってゆく 空気が 好きで苦手なんだ 誤魔化しのきかない心は 言い訳のできな…

こころの熱

ひたむきに走る君の 横顔ずっと追いかけてた ここに座っているだけで 精一杯の僕とは大違いだ 彼是言う人の 無責任にも慣れた 熱のこもった真夏の暮れ なんにも当てにならないや 未完成でいながらどうして そんなに輝いているの 好きではない理由をどうにか …

2人で座った海前

夏に酔うくせ 海を知り風を好くものだけれど 陽に弱い肌と 走れば熱くなるからだ 君のため息は 鎖のように刺さるから 聞かなかったことにしよう またもずるいくせ 熱りこのまま 倒れてゆくのかもと思う真昼 手を取り連れ出してくれた人を うらまぬように 冷…

救いの人

古い写真をちらと見かえせば 噎せるまでみだれることになる 町も人も疎ましく たまに混じる君に救われる 都会に出てからはそう 優しい人が多くてね あまり分からなくなったけれど 幼い時は 暗がりで 石投げられた気分だった毎日 何にも悪いことしてないのに …

まやかしばかし

野辺に出たつもりが 何年経っただろう 鞄に忍び込んだ花びら 腐らないから気を抜いた 化かし合いの世といえど 本当に眩まされるなど 思ってもみなかった 明日には あなたの戸前に立ち 息を吸って吐いて 呼ぶのだ その時が 来れば 来ればいい 生きていられれ…

さくら通り

www.youtube.com 中野通りの桜を見に来てね 泣いちゃうかもしれないよ 季節なんてもう何だっていいと嘯いてた君だけど この風ひとひら感じれば思い変わるかもしれないよ ねぇ まだ胸には重い誓い ねぇ 溶かしてよ 少しずつでもいい 隙間から日の光も差すでし…

海の許し

海はにぎわうより 静かなほうが好きだな そう言って のこのこやって来た 僕だってにぎやかしの一部 春は穏やかに波を見ていたい 走る気力もないから 世間ずれは承知 我が儘もこの質 許してここに居させてね 空や海がつながっていると 綺麗事を語った人が 島…

美しい人のいたことを

枯れる前に散った 牌しか知らぬ人だけれど 古い写真に見た とても美しい人 母の悲しみも 兄の怒りも 娘の寂しさも 伝う理不尽も 貴女自身を知らないのに 残された者たちの 機能不全に感ずるところ 供えはいつも好いたもの 駆ける言葉は意外とやわらか 端から…

問答と昼

掻き消された命のことを思っていた 昼の真中 あれくらいの歳だなと見送っていた 見知らぬ子たち 生きる資格のない私が どうしてまだのうのうと居るのか 考え始めたら壊れるから やめた ずるい生き物になった そうしないと立っていられなかった 日を幾つ重ね…

夜風と隣

星が見たかったわけじゃないのに 夜外に出るのは好きで あざといなんて言われたくないから 1人こっそり部屋を出てさ 騒ぐのは嫌いじゃないけど 似合わず寂しがりだし 馴染めない気に当てられる前に 今日は呼吸乱れる前に ぼーっと風に当たろう 隣に来てくれ…

さんぽのつもり

歩道橋をゆっくりと 渡って初めての道 地図なんて見ない 当てにもしてないから あぁ花街は意外と急に現れる 慣れた道にこんなところで繋がる 試合帰りの人にも飲まれて 何にも収穫のない歩きを 続ければ 外に出たことにはなるから 子どものころに思ってた理…

カーブの先の輝きを

山道をうねるバスが なんにも見せない町が 酔わせてふらつかせて このまま殺してくる気かって 本気で思っちゃうよ ぐるぐると 景色も天気も 思考と身体と直結する癖で 頭ん中がぐしゃぐしゃだ 考えすぎを植えつけて 生きた心地のしないを 天と近い勘違いを …

ひとときの休息

君の寝顔に見慣れて この部屋でため息は 自分で禁止にしてみた 明日はカフェでも行こ 唐突な晴れ 1人じゃ 何にも決めきれないのが嫌で 無理やり君と離れるのも 違う気がしているけど すやすやと子どもみたいだ こっちが見るのなんて珍しいな ちょっとくすぐ…

星慣れ

日曜は 縋るほど早く過ぎるから こちらからお断りしようかしら 人とおんなじ生活は嫌だって ずらしても 不安で合わせても なんだかしっくりこないや この星が水が合わないなんて もう自分で耳タコ 言っている だけどそれで済まされないくらい 平凡な生活は続…

追いつかない月と恋

月を見ていたつもりが ふと あなたのことを考えてしまって あぁ私はそんな人間じゃないはずだ あぁ空に勝てる人もいないはずだ 溺れかけた海で 手を取ってもらった 覚えが あるけれど あれも作り出したのか頭で 分からなくなったころ もやがかかるように恋は…

くれとゆらぎ

約束は人伝て 最後の手紙も書きかけ 間に合ったバスの最後 風邪ひいたくらいで泣く気持ち 君には伝わらなかったけど 隣にいてくれればそれで 心ここにあったの 6時の明るい まだ光持つ これが西町 大事にとっておいた写真 意地悪に笑って隣 向き合っても 離…

田舎娘と海

緩い船に 飛び乗れ どうせ短い命だものと 少女の時に知る町 殴られた両頬が 痛むなやっぱり 慣れたとは言えないさ 笑うことはできるけど 日付をよく覚えて あれは大好きな夏はじめ 重い身体と 詰る喉 よく揺れる船に追い打ちかけられて もう沈む方が 楽だと…

思い出した海

どうしてあの子は あたたかな家に帰ってゆくの いじけてばかりは嫌われるけど 砂浜を引っ掻くくらいだ 夏前の 気は日は弾んでいるのに どうしてあの人は 私を置いて街へゆくの 恋よりも寂しさが勝った 美しくない思い出 海前の 自分だけ捻ている歯痒さ みん…

記憶の歌

電車の色は赤だって 思いこんでた時の 変わり種に来られたら それだけで狼狽える 柿の木坂の先 緑に囲まれた図書館で ふと夢かもと思ったら もう戻れなくなった 10年も前と同じ 四畳半の畳の上で 飛行機が真上うるさかった あれも記憶か分からない 入り混じ…

385号

ごちゃついた街が 苦手なんだ なんにもないとこ生まれなの 気から違う気がしている そんな話を昔 島の人とした 駅の裏は 便利と耳鳴り 少しの緑に心許せ 住めば都の嘘っぱち 何処に行っても余所の心持ち いつの間になくなった店 ほっと一息ついた記憶を それ…

春の有耶無耶

背は熱を帯びて 何時失ってもおかしくない気 1人だろうと街中だろうと 昼日中に倒れるわけには そんな際を 何度経験しても 堪えても堪えても 誰も知らない物語さ 虚し弱しの 1人語りさ 弱き者は散れというなら 生まれ落ちた時からの荷物だろう ぽいと捨てる…

一宵の重ね

変な時間に堕ちたから 宵時に目の覚める そうやって一日は 整わないまま あらかた人生は 格好のつかないまま 進むでもなく進み ほんのわずかな思い出を 酔い撫でてゆくだけさ 夢見の悪さは今生一 誰にも負けない気がするね 海に落ちても 宙に浮いても 生きた…

月夜

息をそろえて 今日は大漁の 鳴らせ鳴らせ 太鼓宵通し 引き上げる網の 食い込んだ指の 早々と急き立てる声の 総じてこの土地んもんは 気性の荒くなる 声をそろえて 今日は大漁の 旗もいくらでん 掲げ掲げ 飲もう宵通し

陽気な闇夜

陽気な節 Celtic dance 片の手をあなたに 捧げよう今宵は もう縋るように共に ずん落ちる律 Celtic history 暗がりも葬りも 一瞬と知った上 手を取るよ今日共に 鳴り響け Celtic sound もう裏切りも闇落ちも 飲みこんでやろうか 願うのはただ今宵共に

雪入り

雪を食んで明日 またおんなじ場所で待ってる 冷え切った手を白世界に晒す 感覚を亡くしてしまっても良いから 振り子待つ部屋に帰る 思い出し思い出しの情話 誰に何言われても 細胞から愛している 季節外れもなにも あったもんじゃないさ どうせ外れもん同志…

零れ日は誰の所為

痛む喉を抑えながら 木々の間を迷い入る 春は大抵 目の覚めるように区切ってはこない いつの間に いつの間に 季節そのものがまやかしのようだ 人々の誉めそやす この日の零れるさま 私には息苦しく 肌を痛め またフイと顔背ける相手 美しければ 温かければ …

星見の人

明日には目覚める 故郷を見ていた 此処はチョコレートが甘くて 水もすっきりとして それでも居つきが悪かった 早く早く 連れていってくれないの 背も足りない 飛ぶ力もない ただにただに 迎えを待つか 夢見のまゝに 浮いてゆくしか そうやってまた 明日には…

言葉に出せない時間

うまく言葉を発せられなかった時間が 長すぎて 忘れてしまったみたい 笑われるやら 怯えてしまうやらの それかそもそも 僕のことなんて知らないか どちらにでも転がれば一瞬と 古くから歌われているけれど 悪いほうしか知らないんだよなぁ 目覚めたら直って…