おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2021-07-01から1ヶ月間の記事一覧

西の海町

西町へは 地下鉄に乗っていれば そのまま着くわよ いつの間にか地上に出て 木々を抜ければいずれ 海まで見せてくれるのだもの 何の気なしに訪ねてきてね 恋したって忘れたって どうせ此処にいるんだもの 手ぶらでいいからね 慣れないまま何年も経って あきれ…

仮初てゆこうか秋祭り

秋祭りはきっとない その気になっているだけで そろそろと通り過ぎる葉 本当は誰も見たことがないでしょう? 見上げては赤黄を愛でる 淡く煙に巻かれてゆく 夏祭りはもしかしたら あるのかもしれないと可能性を残して だけど秋祭りはきっとない 神輿の仕舞わ…

苛立つ日の夢見

冷蔵庫に貼り付けられた 身に覚えないmemo まさか帰ってきたんじゃあるまいし いよいよ眩んだのかな 不安にさせるくらいなら 最初から最後と言ってほしい このデジタル社会に逆行するよに 荒々しい手書きの文字 声より目より覚えのある なんてややこしいの私…

盆にゆくなら晴れ通し

どちらにしてもこれが最後 なにも盆にいかなくても 灯籠回る風通し 宵は幸い晴れ通し 帰ってくるってこの場合 いつからいつを指すのだろ 夏の果、秋はじめも少し添えて どちらにしてもこれが最後 暦や風習にはあまり 詳しくなれずに気で感じただけ 東と西で…

own side

誰の所為にもできないね 暮れの溜息 朝の憂鬱 此方囚われている間に 街は進化し 人は素知らぬふり それぞれの暮らしがあるのだから 嘆き続けるのも 馬鹿みたいに思えるでしょ そんな諦めと自嘲が混じり 偶に許せぬ心が湧き出て 繰り返し繰り返しながらの折り…

連れてゆくのか夕の浜

夕時は浜へ行きましょう 夏を愛でる人々も帰り 潮も引き あとは波風と僕らだけ 連れてゆくなら今がいい 境も薄れて今がいい 浜町に生まれた者は 引くも寄せるも心地いい 例えば子守唄の憶えがなくて 飢えているなら尚のこと 危ないものよ 魅かれるものよ ほ…

暮らしのつづり

暮らしを整えていきましょうという本を 斜め読んでいたら いちばん眠ってはいけないと書かれていた 夕刻に寝落ちてしまった そうやって宵にまた始まる日 今は何時 時そばでもどう? ひとり芝居が上手くなるだけ 今生で使う予定もないのに 物語の中では 温か…

非・田舎暮らしのススメ

真っ暗な空に花火が映える 良いところなんてそれくらいよ それも穏やかな心持で 見られる町ではないし みんな夢の見過ぎなのよ 老後に田舎町でゆったりと なんてあるわけないことは 頑なに言い続けるからね 例えば潤沢な金を持ち 土地と家屋を手に入れたとて…

学びなおし思いなおしたこと

present 今というものは そのまま贈り物だと さして親しくもない教師が 去り際に言っていた 言葉だけ残った 辛い子ども心には 未来を想像することでしか しがない大人の毎日は 過去を懐かしむことでしか 乗り切れないものなのに 今を生きろと歌ううた 大嫌い…

夏を眩ませる

上手く嘘がつけますように 誰にも迷惑かけてないでしょ 飛行機雲 追わなきゃいけない 義理もないし 只背を向けた 喚く気にもならぬ困難が 降れば降るほど捻てゆく 異端であるなら それがどういう様かを きちんと分解して考えなければ 自分のことも手に負えな…

雨降る心持ち

平気で泣きじゃくるいい大人 事後には笑っちゃう不安定 今日は晴れ それも束の間 予報通りにちらつく雨水 どうかどうか 生きていることが 真っ赤な噓ではありませんように 歩けど歩けど見えぬ道 ゴールじゃなくていいの 導の導だけでも 泣けども泣けども遠い…

暗気纏いの海

3号線の向こう側 なんとなしに気味の悪い 曳かれそうな暗い海が居る 貨物線路の下をくぐる 落書きだらけのトンネル すぐに抜けたら 開けるでもなく どんよりと 慣れていないのよ 重い気は 家や学校だけに居ると思っていたから まさか海が 青のつづきが こん…

迷い子の心知らず

傷を残すどころか 何も残さなかったことが 貴方達の罪 争いのない国に生まれ 朝夕の飢えを知らずに生き 何を横着なと言われそうだけれど あたたかな物語は 物語の中だけですか それなら知らせずにいてくれればよかった きつい階段を上れば バス停の先に墓石…

遣りきれぬ夏の候

もう戻れないと 立ち尽くしていた夏の日 鮮明に思い出しています そしてあの日さえも 戻れぬ遠い時だと知るのです 遣りきれぬものですね 届かぬと知りながら 手紙を書くような 朝も早から蝉の声 3年経ても慣れぬ商店街を 余所者足で過るのです 花屋の前では…

草木の路先

自転車こわれた 柳の木の下 馴染まぬものばかりだって嘆いたら 僕がその最たるものか もうこの話は止めにしない? いいよ どうせひとりぽっちの もろい身体さ 好きにしな ベルが鳴る もうすぐベルが鳴る そんな気がしてるだけだとしてもね 夏を待つ間もなく…

落ちる眠りの呼び声は

わざとわざわざ 己の不安を煽って 夜半に寝入るも落ちれない そんな癖 耐性を上げるために 本能でやっているのだろうか 問答は1人では なんともならなし 掴んだ袖は いつ払われるか怖くてね そうか 眠りに落ちてゆくのは 慣らしているのかもしれないな いつ…

現世に宿る

雨宿りは2人がいい 例えば現世の者でなくとも 触れぬ手を取り合って 肩を並べていましょうよ なぁに、待つのは得意なので しとしと この感覚をもう一度 伝えてあげたいくらいだわ 押し寄せる気持ちと 行き来する魂に 存外忙しいもので また此方は此方の営み…

to be unhappy

熱に浮かされて忘れてしまった 不幸のほうから貴女をcalling 苦しく恋をしたつもりが ただ身が弱るばかりの身 思い違いは恥ずかしいから teen で卒業したのにな ぶり返すのね 熱だから なんだって情けない歌うたい 運命なんて安っぽい言葉を 使いたくないん…

his eyes

眼差しなら逃れられない やわらかさに射抜かれるの 甘い言葉 恋のmusicさえも 振り払うことできる頭なのに 滑りこんだ 愛求めは どれだけ捻ても貴方を欲しがる もう終わりのように思えた 世に一筋見えた その瞳の 力にやられてしまったのね 最後には人間なん…

夏に散る

袖掴んで縋ったのが 僅か十二の頃だとは なんと恐ろしいことでしょう 急な階段 墓参りの帰りはもう 煙に巻かれる この土地では 花火をするの 派手な爆竹も風物よ 教えられて 目を輝かせていた 夏は散るのを待つのに 気づかないものね 袖掴んで どうなっても…

醜い彼方の子

電話のベルが 時代にそぐわず けたたましい音を立てる いい加減に見切りをつけたい彼是が 夜昼構わず居付く 海をふたつ越えれば 放たれると聞いた魂が いまだ埋まって出てこないのは 因果か個の性質か 何れにしても あぁ思い出されるな 月夜などは、むべなし…

後先、野分の音

野分、 また落ちて春 思い出すだけで凪ぐ 彼の心を射止めたかった 形見に近い 団扇ゆらゆら なんだって昨日今日 腹に落ちないことばかり 野分、 掻き分けてゆく こちらの好く好かぬに及ばず 所詮それだけの生き物 吹き返したい そんな幾つかの魂が うごめく…

弾き出された夏祭り

夏祭りはいつも 海からの花火 騒めきは遠く 距離よりも遠く 楽しげな子等は そこに住んでいる 僕の体は 例えば隣に立っていても そこには行けない 裕福だとか 気軽な感じの そういう家の子等が行くものね 夏祭りはいつも 聞こえてはいて 鼓膜にしみつく それ…

追憶と其の年月

彼女が表舞台を去った 年の頃になってやっと ステージの隅に上がる鍵を手にした そしてすぐにすり抜けていった 追い縋るほどに離れてゆくような 憧れとは本来そういうものだったか 懸命に生きているつもりだった 何者かにならなければ 決して愛されることは…

願い

願いをかけることなかれ 心あたたかな者だけが 救われる世なら 必死で必死で齷齪働こう しかし時に 何の気まぐれか 見舞う不運がある 身に覚えのないもので 暮らしは一瞬にして途絶える 息をしなければならない強迫観念と もう楽にさせてほしい気力 願いをか…

空見人

潤んでゆく空を黙って見ているだけだ 降りくるならどうぞ 止める権利も力もない 温かい日を見ていた気がするだけだ 覚めてしまえば夢 現実だとて疑い続ける どうしてもどうしても 儘ならぬ世だと 嘆く方へ嘆く方へ 思考は進んでゆくばかり 果たして 辿り着け…

心の隙間にあるものは

心はどこにあるのかと問われた 何の授業だったか それはもう胸の辺りだろうと 当然だと思っていたが 脳があるから 答えは頭ですと 教師ははっきりと言った 知らなかった そもそも答えがあるものなのか 私はどうしても 胸から喉からこみあげるものに 支配され…

片恋が沁み入るまで

いいのよ 片恋は酒のように 身体に沁みてゆく時が いちばん気分良くなるんだから 勝手に憐れむのはやめてね 動悸がしないように わざと目を逸らすから 放っておいて そう言いながらほんの少しだけ 見ていてほしい気分になったり 面倒くささは幼子のようね い…

駄文貪る時

母が決定的に非道い言葉を口走った時 それ自体に傷つく気持ちよりも あぁよかった、これで漸く解放されるという 頭のほうが私の中で勝っていた 親を蔑ろにするな 長子の男の云うことは聞け 何の根拠もない俗説が法のようにも蔓延る地 私は幼い頃からそういっ…

夏の川岸

孤独を願うわ いっそのこと 皆で飛び込め 夏の川 音符を追って迷いこむ 此方と彼方の境目は いつでもキラキラしているもの 奏でつかれた唇に 恋を忘れた指先に そっと沿うの 川岸の草葉の先もいとしもの いつか虫けらになった日は そっと迎えてもらえるよに …