おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

やまいどこの盆

灯籠に照らされ

盆を知っても

街の盛りに繰り出せるわけなく

しんとした病どこが冷えた夏

 

その女は姿勢が悪く

座っているのに倒れ込みそうな様だった

支えるには憚られる間柄で

何が見舞だと

己呪いながら

 

どうにかこうにか繋ぎ止められんか

昔の人もそう唱えたろう

無き神を

遠きあちらを

呼ぶ気も解る

 

その女は残された側でありながら

あまり動かない人形のようだった

気味の悪さと憂いの境

あぁこれが生き死にかと

 

嫌でも知ってしまう夏夜だった

 

また灯籠は窓から

考えとうもない盆を知らせながら

生きている積りの者さえ

連れゆこうとした