おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

良き誘い まやかし

皆でほんの少しずつ 不幸に落ちてゆきましょう 伝えはそう云っている 従わないやつ罰当たるわよ 皆で手を取り足掴み 逃がさぬようにゆきましょう 地獄の沙汰もいつの間に 人の心地の次第となり 皆で行けば怖くないと 歌う歌でもあったでしょう それが幸なら…

声が戻ったら

もう思い出せないけれど いつ失くしたかも朧げな 声が戻ったら もう一度あなたと会って 話がしたい 海を見ていた気もするし グラウンドで叫んでもいた チャイムが空に響いて 走るあなたを見つめていた 恋の真似事だって ねえ思い出したいけれど ついて回る嫌…

頑なな精神

生い立ちの所為かと 悩むくらいには 薄汚い生まれ 閉ざされた環境で 然し幸いにか 兄弟は真っ当に育ち 然れば己のみの性質か発現かと 結論づけることができた 有難がる積りもないが そうか 錯乱せず済んだ 家がどんなに不幸だろうと その所為ではなかった 複…

負に選ばれた者

どうして皆平気なのだろう 一瞬流れるうちに こんなに大量の感覚と感情で 窒息しそうにならないのだろうか そのうえ人の気などに触れてしまえば ひとたまりもないさ どうして皆普通の 生活が送れるのだろう 狂った側の人間として 片されるのを待つか だけれ…

一生二生

世界線は幾つもあって とても一生では償いきれない 貴方に負わせるわけにもいかないでしょう どうか罪なら それが罪ならなおのこと 共に負いましょう 喜びならいざ知らず 平和なら良いものの それが苦しみなら 貴方を襲うならどうしても 共に負いたいの 幾つ…

聞きおぼえた歌は 胸の内から攻めてくるような 錯覚を覚える 節だけ知って 知らぬ言葉が並べられているのに 知った気になる不思議 あぁなんと愛おしいのだろうか 人より生物より自然より 私は貴方が好きだ

貴方が最上位

夢見が悪くなってでも 貴方の物語を知りたいと思ったので 後悔はありません 本来 血が流れるのは好きではありません 女なので ある程度耐えられるとは思いますが それでも 争いの姿は醜く 何より喉の詰り 苦しいのです 毎夜魘されるような 伴って昼も足元ふ…

雨かすみ

葬送の後 止むのなら 先程でもよかったのではないの? 陽気な3時の鐘も 一個人のために止まないから 仕様がないか 別に愛されていたわけでもないのに 世間雑多の柵に 人数だけは集まった 味気なく 同時に陰湿な もやのような空気が流れる 終焉にして 汚さを…

終末の焦燥

途切れるまで息をするのが 礼儀であるという 最後、一葉を数える 美しいとされる物語も 私とはつい 遠い世界のことに思えて もしくは 遠い世界に追い遣って 構わず暮らしたかった 病室で見た 苦しがりを 目を背けたかった 最後の荒さを 知りたくなかった 自…

讃美のうた

彼の意に添うために 歌っていたわけではないのに 気がつけば後の世 メロディーは 讃美と呼ばれていた 私の意などもう どう思われても良いが 彼は傷ついていないだろうか 本当に望んだことだろうか 後の人は時に勝手である 指を組む教えに添い 疑問も持たず祈…

彼と世界の枷となる

魂どうしで傷つけあって 暁にはまだ早い 包帯を彼は巻きなおして 一緒くたにされる未来を拒んだ さあ行こう もう誰も 枷になることを望んでなどいないでしょう? 明日もどうして傷舐めあって 歴史が正しかったなど 喚く力があるくせに 汚せない手が多すぎる …

恋の自覚

あなたの心に触れたいけれど 易いことではなくて 無邪気な人の距離感が 羨ましく思える あなたの気に障らないようにと 心がけるほど引ける 近づかなければ嫌われない 単純な図に 秋はどうしても来る 誤魔化しのきかない 暮れの風 ふと気づいてしまうものだか…

弱りの人

闇待ち 君は可憐に舞い すぐに弱る身体抑えた 織々の形見 彼の人が触れたことが あるというだけで宝 争いを好まぬのは 美しくても 現実にそぐわぬ 本当は 両極に引かれながら 保つことが求められる その点に於いて 得意とするところではないのか ふと思う 弱…

心の振り

誕生日には真白の薔薇を 約束したから揃えるわ 言い伝えには傾かず 貴女のことばだけ聞いて 育ったのだもの そうさせてよ 裏切る境目が知れぬから 意地を張っているうちに 儚くも一生は朽ちるもの 耐えて忍んでいるうちに 己の心が壊るもの どちらが先 いつ…

惨めおなごのうた

息を継ぐ 貴方に見える間に間に 整えること 叶わなかった 無様は 好いた女子とは 遠いものだろうから 見せたくはなかった 地揺れて以来の 熱情 これ以上の 惨めに会う前に 涙堪え 平気でいる 卑下で躱す 愛の無いことは 気づいても 必ずや見ない振り

44.7

不安煽る音を鳴らして 隊列は乱れず 足音も見える 明日の明けには もういない 命を見送る覚悟がなかった 花摘んだ少女に 未来を 老い耄れた今際人に 安らぎを 願い叶うるには 何故に 痛みが残虐が 必要か

毒が回る

毒が回るようよ 知らない毒が 夜鳴き鳥も静まる頃に 触れる肌には 熱をもって 何方の 2人野を駆けた少年がいつの間に 大きな背をしていたの どさくさ紛れに 心臓が剝き出しにされたような 隣にいたら気づかないこと この段になって 身を以て 愛されるとは こ…

恋でもいい

息をのむことが 苦しさ以外で あるのをはじめて知った 帰りみちは 交わした言葉を 何度も反芻した 格好のつかない毎日でも 海の色に沈みそうでも 思い出す声が瞳が たまらなく立ち止まった チャイムのかわりに波音が あなたに救いを求めてはいけない 幼いな…

皮算用になればいい

もう顔も声も思い出せない奴が いなくなったからといって なんだっていうんだ 気にしなければ済む、は 世間の言だけれど こちらはひとつ困りごととして 記憶だけは残っている 顔も声も忘れたとして 目の前にいると慄いたこと 物言えなくて詰まった喉の 感覚…

鈴の声

羨ましくてならなかった hallに響きわたる 鈴鳴るような 透明な色のついた 声が 可憐な人はどこまでも 恵まれているのだと 片や 声の上手く出せない病に 捻くれた心情までついてまわって 子どもながらに 朽ちそうな 大人びていると言われても 褒め言葉ではな…

みっともないにも後悔は

云うことを聞かぬ子に なればよかった 祭りのあとに駄々こねて 仲間はずしはすぐ拗ねて 融通の利かない 人間になればよかった 心が侵されてしまうくらいなら 嫌われたほうが よかった どうせ 勝手してる奴も 上手く回る どうせ 堪え続けても 割り食うだけ 世…

夜汽車

あなたの肩に いつの間にか 眠り落ちてしまった 夜汽車まだ 途上に在りて 後ろ髪は引かれず いいのよ 逃げた先が 幸福ではないことくらい 分かって 添ったのだもの あなたの肩は 居心地がよくて ほんの少し まだ少しばかり 寄りかかっていたいと 思ってしま…

暦なぞり

暦なぞりの悪い癖 古めかしさを表面だけ 取って喰おうなんて馬鹿げたこと 思ってしまう恥晒し 明日には朽ちる 唱えて何年 しぶとく生きたもの 10年日記も柄じゃなく 続けられそうな勢いで 閉じられた露台 分からなくなって初めて 外の気が 気になるもの 暦ば…

master

今度会える時には 少しでも女らしくなれたら そんならしくないことを 思わせたのは 君だけ 季節の下り 鼻歌まじり 気合いを入れたその日に限り 具合悪くしたり 愛想悪くなったり そんなことばかりで 帰りついた部屋が ぽつんとさみしくも ほっと倒れこめるの…

秋朽ち

生きた心地がしなくてね 秋が折り重なってくる 何にも言われてないけれど 責められている気になるよ 恥じらいどころではない 身を隠したくなる星 どうすれば落ち着けるかを 考えてもまた重なる風 心地良いなんて誰が言った 苦しくなるだけの季節 譫言を連ね…

暦に覆われている

暦どおりは 憎らしいくらい 安心もするものね 伊達に何百何千の 日を数えてないわ 此方変わらずの一人歩きは 神様縋りも忘れて順調 まだ惑っていた十九の頃が 可愛く映るでしょう もう諦めはじめた感受の歌は 誰に届くでもないと知ったから せめてこの身でや…

冷えた気のはじまりに

夏にがんじがらめ すべての思い出が最後だと 惜しんでいたら 放課後 すっと次の風が来た 生まれ月はまだ先 感傷に浸るほどの経験もないけれど 少し冷えた気が 本当に最後だと教えるよ 戻らない 季節は どんなに青春を歌っても 木々に挟まれた坂道を下る時 冷…

彼の背

彼は冷たいふりをしながら そうならざるを得なかった過去を持つ 心優しいままでは 生き延びられなかった立場がある だから惹かれるのだろう その背に ついてゆきたくなるのだろう 決して多くはない その身が 掲げる旗となる者 僕は何の力も持たぬまま 当たり…

なかまはずれの秋祭り

眠り起きに難のある窓際 何の所為かも知れぬ生まれ育ち 人は飯食い言葉を交わす 後れを取った気になる秋は もう暮れたも同然だ 大人びた所為の青春が 放棄されたまま 行こう死する迄 のらりくらりの少年が 道端に斃れたとて 食か身体かの云うこと聞かなさ そ…

逆光の女神

貴女に於いては もう居てくれるだけでいい 優しさが服を着ているような 光り輝いて見える 駆けた草原で 見つけた光を 逃さないように 僕の目は 貴女を追うようにできた 二重の感情が 似合わない衝動が 湧いた もう貴女に 触れることさえ叶わなくても 思いつ…