おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

海町でみる向こう岸

波の音が聞こえるのよ 嘘みたいでしょ 誰もいないグラウンドに 遠浅の潮香もとどいて 涙目をまた潤ませた 大人になったら こんな町 捨ててどこまでも行ける 駆けだしたところで 向こう岸は今まだ遠い 儘ならぬことだらけだと ただそれだけを知った町 そっと…

記憶は降り積もる

日付から何から丁寧に 憶えてしまう癖がある 誰がどんな表情で 何を言ったか 纏う空気も 感じ取る力だけで 限界が来るほどなのに それを留めおいて また思い返すこともするから 難儀なもんね むかし病という言葉を 嫌う私に言ったのは ただそういう症状があ…

夕刻、夕日を見るために

跳ね返った夕日の色だけ じっと見ていた 欠片でもこんなに騒つかせるから 真正面から全部は受けないほうがいいな きっと下らない人の話みたいに 流すのがいいな だけどね 夕日に対してそれはどうだろ また始まる問答だ 自分で面倒くさい性格だって わかって…

駆け出せ偽乙女

淋しがりだからって 甘く見られてたの癪だなぁ 聖なる夜が何だって 着飾って期待外れ 路地裏ヒソヒソ聞こえてくんだ いいよ大声で笑ってくれれば 報われる身もあるもの 心はどうせ死んでいて せめてもの乙女のフリに 浸らせてくれたって それもダメって? 手…

捨てて春だから

ずっとバスを待ってたのは 幾つ前の春だったか 溜め息も飲みこむ緑 厄介な煌めきだと思ってた 遠ざかるほどに恋しくなるなんて 唄は言うけど 私はそんなこと思わないよ 捨ててよかった故郷もある 強がり、捻くれ、気の迷い 何とでも言ってくれ 春だもの 往々…

待ち人の春

鳥の声がした そんな気がしたけれど 文も届かぬ昼真中 野に起き汗をぬぐう 待ち人は会えた時 目の前の影に変わる だから今は来ずともいいのよ 言い聞かせなければ保てぬ息 暦かぞえることだけに すり減らしてゆきます そっと包んだ腕の熱 忘れないでおきます…

そっと眠る日を

溺れてからその先が大事 ゆっくりと jazz のかかる店を出て いつのまに 日は暮れ街も にぎやかしを忘れて 大きな腕の中にたどりついた 思い描いた恋とはちがう tell me 渚を駆けるような 熱さがここにあるなんて 溺れてしまった1つの身を そっと掬ってね 押…

なお惨忍な手紙

髪は伸びたか 今さらに こんな手紙は嫌がろう おさな娘もいつの間に 立派な大人になったもの 姿も見せずに 心馳せていると言っても 嘘に聞こえるだろ その実 我が身を綺麗に終わらせたい 欲が 先んじている 今さらに 己が間違っていたと口に出したら 人生そ…

眠り草子

澄んだ思いだけが受け入れられるのなら 私は一言も吐くことなく 世を去らなければならない 窓辺に床を構えたが最後 陽は痛いほどに来る模様 幸せな者たちこそ去れ 憎らしくてならない 草子重ねて 中休み のつもりが眠ることもあるから あるから 醜い心に見に…

春のまやかしにご注意を。

誰か隙を見せたら 忍び込んでくると思っているでしょう? 違うわ もうそこにいるのよ 知らないって怖いことでしょう? 気は強く 風通し良くすれば するほど 万物は集う 家探し、 春はそんな季節よ 油断をしてはいけないよ 酸いも甘いも知ったころには 去るも…

陽も昇らぬうちからの問答

目の前がぐらついた 慣れすぎてそれも夢かと そんなこと言ってたら いつの間にか向こう側へ行っちゃうわ 気の抜けない日常に 愛など理想など落とし込むのは 至難の業で 精一杯生きてきたつもりよ 誰恨むでもなく自分のせいでしょ 言い聞かせすぎて馬鹿になっ…

今夜星が見えたら

星が見えることよりも 空気が澄んでいることのほうが大事よ また面倒なこと言い始めた って思ったでしょ? そうよこんな私と一緒にいる あなただって十分変わった人よ 手をとるでもなく ゆっくりと 同じ時間を過ごすことが どんな奇跡かもう知ってる あたた…

日向の夢ーThe dream of a butterflyー

日向の夢ーThe dream of a butterflyー また夢を見てたみたい 陽のあたる丘の上 涙は消えたみたい ただ遠い空に 目覚めたら やわらかな陽をこの背に受けて 手繰るように思い起こすほど 何故にぼやける 注いだ雨が消えたのか はじめから無かったのか また夢を…

雨は凪いでも雨の中

ひとしきり雨は この世のやわらかさを忘れたように 打ちつけて凪いだ うまく話せなかったことばかりが 残る残る 小さな部屋 息もつくまい ひとりおどけて 今夜 風を通すまでは 精悍な姿 時計の針の律義には 何も言えないさ 突っ伏して辿る残り声は 響く響く …

海町育ち

海町育ちの涙など 捨て場所は1つしかないじゃない なんら洒落た音楽かけて車走らせなくても そこにある 絶対に裏切らない 母と呼ばれるだけのことはある 多くを語らない ただ波音に託すだけ 夏休み 1人に酔い 坂道を下れば先 汗もにじんでシャツで拭う 大…

春の日に生きる人

春の日差しに出て じっとしていられない子連れて あの人が生きていたら 好きにさせてやれって 言ったでしょうね 走り回ったら もう追いつけないのよ 体力なしは知ってるでしょ 見守るなんて優しいこと言わずに ここで一緒にいてほしいのだけど 春日にやられ…

女が夜をなぞるとき

街はネオンを忘れたか 何れにしても素知らぬ世界 赤く荒れた手を隠したの あなたに見せるわけいかないでしょ じっと息を殺すとき 愛されているという思い違いが 生まれ、掻き消し、 夜をなぞる 何憂い持たなくていいと 言った言葉を信じよか 酒に溺れること…

夕凪の向かい合わせ

嫌いなトコも含めて好きだって 言える日がやっとこさ来ましたよっ さっさか帰ってお祝いしましょ 茶碗蒸しでもたこうかね ルンルンはねて歩いてくのは 1周半まわって やっぱりハズカシイ それもいいじゃん 機械の電源すべて切って あなたと私を体感してみよ…

あなたの声が聞こえる日には

恥ずかしい手紙を書きます 此方からなんて要らないだろうけど 追いつけないから 届かないだろうけど 同じ時代に生きる誼みで 綴らせてください あなたの声が聞こえる日には 生きていてもいいのだと こんな極端な捻くれ者が 心の底から思えるのです Superstar…

世は行き道帰り道

帰り道は苛立ちの整理 独り言つにはもってこいの道 鱈腹食べて晴らすもいいけど ただ太って終わるだけよ 大人になったらもう少し 賢くなると決め打ったけれど 行き道帰り道むなし 誰の指図でもなく項垂れて それを自ずからする正直 呪いたくなるこんな性格 …

聞こえてますか、いつか

ともに伏すときまで そばにいるのが 運命というものだろうか 異国の歌はひびき また 星にいるかも知れなくなる そっと手をとってくれれば 少しの確かも得られるだろに 贅沢の見すぎでいつから あなたの腕にいるなど思った? もし今ある意識が現実なら 一度も…

雨降る日の手紙

雨が降るなんて聞いてないわ 元々近しい時代まで そんなの当たり前だったでしょう だからいいの 降らば降れ 雪も雹もいいから さすがに槍降れば 泣いてしまうでしょうけど あなた次第の今日 なんにもなくて結構 晴れだ雨だと歌い 少しの熱と 腹を満たす何か…

さみしがり

一度も月を見ないまま 幾つかの日を過ごした 不安定はみんな一緒 取り合う手もないから ひとり思案に暮れるもの 優しかった人の夢を 今さら見るさみしがりでしょ わかっているはずよ もういつ何が起きてもおかしくない 贅沢ひとつだけ言うなら あなたに会っ…

朝日と今日を

強烈な朝日が雲に隠れて シャツ干す気も急になくなった せっかく湧きおこった気持ちが 削がれることもそういえばあるなぁ つらりつらり 午前6時 いつのまにか眠って 半端に起きたから もう世界は動き出す 私はといえばどっちでもいい それでもまた顔出すオ…

針とにらめこ描く夢

手を繋いだ記憶が遠ざかるほど もうそれが確かだったか分からなくなる 埃かぶった愛ほど美味で つらつら理屈も重ねたくなるでしょ 帰り電車に揺られたら そのまま夢に堕ちてもいいよ 目覚めたら遠い星 そんなことを何度も描くうち 本当になるかもね むしろ胡…

傷を持っても来る日には

七転び八起きの途中で もうあきらめてしまっても 誰も責めない 傷がわかりやすく残るだけよ 息を忘れた? いいよそのまま 任せて 神でもない人に 預けた心 返してあげる 遠い世界に行くときは 一緒もいいね 歌だけ持って それぞれ旅するのは もっといいね 七…

天上のリズム

ふわり浮いてた 桜見降ろして こんなこととは 知らぬの仏 やわらか風の きっと吹いてる 揺れ具合で わかるもんね 偉そうなこと言って 息もおろか 好きな服も着られずにいる 春はどうだい こちらのリズム 知ってか知らずか踊る人 あぁ桜の木の下 その心までは…

春の熱拾い

夕声のひびけば 春もやっと匂う 誰のせい誰のためが 遠ざかってゆく 咲いた花はいつも 一瞥もくれずに だって僕の目など 気にしてもないでしょ 地球が刻むさまに従うよ 時計の針と狭間に少し 生まれた熱を闇を拾う 乞食のようになりたいな 駄目になって 寄り…

遠い星より、愛でない何かを

あえて月並みの言葉だけ 並べた手紙を書いてやろう お前が覚えた怒りやら それがそのままこの星を 忘れていない証拠になる 回りくどいと恨むなら それさえ零れた何かだと 喜ぶことになる今日も すったもんだの遠い星 少しは感じてほしいもの 今日が最後にな…

春に生きる少女

泣いていた記憶はないか それは幸せに依っている たとえ泣いていたとしても 憶えていなければ 縛られることなく 追われることもなく 生きられるだろう 少しおどけたふりをして 笑った少女があったかな あれは心からのそれでなく そうしなければ生きてゆけぬ …