付き纏ってくる劣情
そのへんの歌には聞かない
鹿威し からり
庭には一羽も残っていない
あなたの文を
踏み破り
足袋の儘
駆け出すくらいの我が儘
持てたならよかった
決められた集いも
いずれ軌道の愛恋も
重なる前に
確かめたかった
誰も教えてくれなかったぶん
想像は膨らんで
留まらなくなる熱量
あぁ抱く方が冷めていたり
あなたの肩を
しがんで伏して
溶け出すくらいの我が儘
許してほしいの
遠くに置いた積りの劣情
昔語りにも聞かない
雨露はさらり
庭まで蒸さないよう
あなたの分まで
此方が乱れましょう
どうせ弱い身
預けぶつけたい熱情