おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

夏の呼び声

また急な花火の音がする 終わりじゃないよ 終わりじゃないよ 夏の呼び声は終りしな いちばん響く音で来る 海街は 勘違いが起こる いつまでも浸る季に泣く あの人の意地悪や やりきれない手紙も たしかに確かにあっても 溶かすような 薄めるような 違う次元へ…

愚痴2

きれいなのは景色だけ 心地いいのは風だけ いっそ全部腐ってくれていた方が きっぱり捨てられて 楽だったのだけど 大人になって いろんな家庭があるのを知るにつれ 虚しくなってくる 自分のhomeに帰るのに 覚悟を決めて 震えながら足を踏み入れる しんどい感…

逃れにゆけば

不機嫌晒しのあの人は きっと幸せにはなれないよ 放っておくには近すぎて 腹を割るには遠いから どうしたもんかと ちょけてみる 明日はもう来ないといいなぁ 来るって歌が多いから なーんの励ましにもなってないよって 文句のひとつも ひとりごとならいいで…

移り季 落とし子の季

風の冷えに 揺り戻しに ついてゆけぬ 落とし子の季 余白を持つ 世界なのに どこにも入りこめない気 街に降り 酒を啜れ 似合わぬこと 幾らでもして 馬鹿になるしか 生きるすべは 残されていない 移り季 賑わいに酔い 戻る山に 暮れ時は冷え 潔く 煌びやかも …

call

埋まってゆくパズル 飲み干したメイプル 明日はしょうがなく 仕事にも行く 酔うに酔えないのが 悔しいよ 愚かな人さえ羨ましくなる日曜 日付も変わろうとしてるのに 電話したら迷惑かな 起きているだろうけど いつでもいい、のいつでもって 今も含まれてるの…

またたび

駅前は新しくなったみたい 思い出ばかりの市電にまた 乗ってふらりと行きたいね 秋前はうだる暑さにまた やられてむくれていたけれど そろそろ心地もいいんじゃない 奇しくも生まれ月 焼きたてのパンの匂いがする 子どものころからの贅沢と 海前の道が少しず…

愚痴利

酔いさらせ 酔いさらせ 異常が割に増えてきた昨今 身を隠す必要もなくなったか けれど面白くないのは そこらのちょっとした揺らぎが カウントされていることかな 古今東西 どうあっても 生まれてくる特殊者と 現代社会がはらむ疲れや巣食いは はっきりと分け…

隣まちの思い出

感覚がなくなっていゆくのを 身をもって感じていた おかしな話 街はずれの 新しぶった病院に 1人で歩いて行った 苦さの秋 例えば目まいも 荷物の重みも 取られるわけにはいかない 腕と足 自分の力で立って 歩いていかなければ 誰も助けてはくれないから あぁ…

すらりの街

着古したシャツに また見覚えが おんなじ顔で笑ってら 北口通りの人混みに 待ち合わせるんじゃなかったな 懐かしさだけで噎せ返しそな 歩道橋から見る すらりの街 あぁ好きだと思えたから 生きていけると思えたから この街を選んだんだよ あなたに会いに来た…

秋宵

一気に暮れる怖ろしさ つるべ落とす間もないのでは お前を抱く秋宵の 夕餉前のお帰り そっと戸口をさする風 嫌というほど噎せる月 おいでおいでも飽きたか すぐに向かいたい 歯向かいたい落とし子の 暮れは暮れは 熟れた実を そっと頬張れ この地の暮らしに…

雨向こうの苦

www.youtube.com 雨向こうは どんな色? 知らぬように過ぎる日中の街 堪らず身を削ぐ者もある 旧い伝えの その苦には 地を埋め どんな祠建てても 追いつかぬ咎もあるのでしょう そっと手を伸べる者 霧晴れ そして散るように 雨ばかりの僕達は 泣いたりはしな…

苦を受ける者たち

獣が来ても 力では敵わぬ 必死で頭働かせて 予感して予測して 生きてきた その名残だという どれだけ時代が変わろうと 哀しいかな 身の内に沁みている 頭は動き 心は揺らぎ 感覚は抑えることできず どれだけ社会が変わろうと 哀しいかな 身の内から湧き上が…

名残り甘い匂い

裏に冷やし 待つ昼飯の あるに知って 頬張るキャンディ 甘い匂い 引き寄せられて 蜜蜂も人もおんなじもの 川に冷やし 西瓜を切って 団欒に構えたのに 甘い匂い 駄目と言われれば もっと引き寄せられるもの 川の流れ 裏の草叢 隠れどころ 隠れ時も 同じように…

泣く子も黙らん

老いた身には響く 骨皮に沁みるもんで 照る昼も蒸す宵も 酒の肴にはならんでも いつかいつかと せがまんように 泣け泣け 好いたごて 幸い まだ宵長い時分 秤も知らんまま 泣け泣け 宵通し 血を恨むような戦どき 地を齧るような腹減りに 思い致せば今なんざ …

夢水落ち

おもちゃの兵隊 寄り添って頂戴 煩くたって 寝しなは友達 揺れに敏感 擦って頂戴 鬱陶しさと紙一重の 愛情 水辺の夢は幾らでも見て 怖がって息上がって目覚める決まり 水落は何度だって 現実より多く深く起きるもの おもちゃの兵隊 助けて頂戴 女の子だって …

恋をなつやすみ

とどのつまり 指人形の上手い下手 オレンジノートの切れ端 渡せなかった くしゃくしゃになったメモ 恋に酔ったなつやすみ 育ち盛り 多感の時 呪いと祭りの境目 町で踊り 泣きの家 通せなかった針に糸 恋にもすなるなつやすみ から回り 音楽室のピアノ 使われ…

教会のおはなし

ひとつふたつ山を越えて 浜辺まで降りると 私の知らない教会がある 唱えられる歌があるそうな 黙して思する時間があるそうな そんな話をしてくれる あなたを待って 日曜の昼に この町が嫌いなら いっそ西洋の国にでも なんにも知らない 言葉もできない 全く…

戻り雨の予感

靴の中まで入ってきた びしょびしょで帰り着いた 蚊帳の中は大丈夫よ とりあえず体を拭きなさいな 優しい人に会ったのね 仮傘貸してもらったね だけど不思議な あの辺り この時分は だーれもいないはずなのに ひしゃげた壁がみしみしと 限度を超えた合図する…

幸福のない国

幸福のない国ならよかった また降り時を間違ったろか 三度の飯が食えてそれ以上 何を望むかの言も聞き飽きた 偶の偶に手を差し伸べた人が 平気で消えゆくのを見るにつけ 信じるもんか 信じるもんか 愛は一生食えぬ者もある 甘い菓子の歌を覚えて 手探るよう…

鳴き納めの宵

鳴き納めの宵 予報にはなかった 途切れとぎれの夏夜ね ただに涼める季節が来るわ 待ち遠しくも寂しくも 抱き合わせの宵 路頭にも迷った のらりくらりが夏よね 肌に擦れる赤い傷も 搔きむしり我慢に開けるまで 泣き合わせの宵 枕に顔埋め 過ぎてすぎてと夏夜…

甘いお菓子の香の通り

通りすがり 甘いお菓子の 香につられて迷いこみましょう 見知らぬ街だけが知る 楽しい迷路よ ほら雨上がり 古い通りに洒落た服の人 写真撮って回る ほら不思議な日 手に取りひとくち 甘いお菓子の 空気も込みで大好きになる 見知らぬ世界はわりと近くに 知っ…

帰り道は

帰り道は一緒がいいよ 寂しがりじゃないけど ちょうどな暮れ時が怖くなるの あなたなら分かるでしょ 辿る四季と 夜も日も逝き 狭間にいる時がいちばん 扉が開く 感度が上がる それを知っている人間が2人 同じ町に生まれたのは 色恋よりも素敵じゃない? だか…

盆過ぎもなか

何年も帰らんくなった娘子の 名を呼んだ 噂話の田舎町 潮に畑やられ 毎朝船は来ても 来んものは来ん 怒鳴り散らかす馬鹿息子を さらに育てたのは誰 戦の時分はしょんなかった その後も精一杯やったとよ 分かってはおるけど 分かりたくもなかばい 娘子は知恵…

添う真夏

恋の終わった校庭に 真夏の影が落ちた 空は情けをかける癖 暮れ時過ぎまで踏ん張って 君を 君を 幼い君を 片の付かない柔い心を 守りたくて 守りたくて 暮れ躊躇ったのだ ゆるとしゃがんだ校庭に 真夏の汗が落ちた 地は情けない顔写す 水たまりのないよう晴…

幕間

あなたを振り落として 此方は観劇三昧 雲色も風前も 何にも気にすることなくね 貧すれば鈍すると そんな戯言 当初から知らぬ空の上 幕間にちょいと覗いてみるよ 下の世界はどんなだろ あなたを振り落として 気分悪くもならないさ 第二幕が始まれば 躊躇いな…

繕いの星

幸せになるという言がこの世にあることは 知っているけど 教わっていない 例えば戦時の不自由に 比べれば幾らでも思う侭でしょうと 言われてしまえばそれまでだけど 私のこの身の周りだけ 見えないように 確実に 不幸の綿が覆っている 遠い人たちは尚のこと …

去り夏

蒸し蒸す夜は 触れる前から 肌があつくて 逃がし場がなかったのよ 声上げるのも無理ない 夏はゆき さよならも 厭わぬ様を見せている 肌を焼き 噎せかえす 戻るまでにはもう少し 此方に構わず ゆく夏のよう あなたは激しく痕を残し ただただ去るのでしょう 涼…

恋なじまぬいのち

眠り起きにつけ あなたを思えば 力が湧くようにできている そんな恋する子が 羨ましこの頃 たとえ片隅で あなたを思えど 力の抜けるような日常に どんな恋を忍ばせれば うまくゆくかしら じっと待っていれば 優しく触れてくれる人だけれど そっと抱き返すそ…

負の能力者

喉に詰まった彼是が 病とは違う形で表出する 社会に蔓延る急かしが圧が 特殊な人間を埋もれさせる 気づかぬまま死んでゆく者も 訴えてそっぽ向かれる者も 変わり者さ そりゃそうでしょ 能力者のかなしみね 喉に蓄えた苦しみは 幼い身にはきつくても だんだん…