おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

桜通りの子

眠りに入るとき泣かぬ子は いつも泣けぬ大人になる 叱られる前に汲める子は いつか褒められるときを待っている 季節がゆくたびに 手に取れぬことを知り 桜葉を手提げにくすねて 形見にしたのでしょう 五差路をすぎたとこ もう目いっぱいの桜通り 泣いたりは…

春の気うらら

片づいた部屋で なぜか不安になって 貰いものの靴で足が痛くなって それはなぜか安心してる くしゃみ2回は 何の証だっけ 春はその気を以て 全力で伝えるでしょ おはよう、来たよ 姿勢を正すって 自分の中の決まりを いつまでも守れないよ 生きていくって 容…

恨みつらみの昼日中

三つ子の魂百までという 恐ろしい言葉がある 物心ついて己の頭で 考え始めたころには手遅れの 彼是が覆いかぶさり または足らずして 支配してくるのだ 恨みつらみで生きるのは 格好も悪いし落ち着かない けれど そうするほかない者が 平気で幾人も生まれ育つ…

【GARNET CROW デビュー記念日】オススメ3曲☆

2000年3月29日 GARNET CROW メジャーデビューの記念日です。 (シングル『Mysterious Eyes』『君の家に着くまでずっと走ってゆく』発売日) GARNET CROW「Mysterious Eyes」 名探偵コナンの主題歌で有名ですが、 カップリングやアルバム曲に隠れた(隠しきれ…

浜むこう

浜に出て あなたを待つわ 少しおぼえた夕餉もできるわ 水導きのころ 素足ひたしてみるわ ゆらり 舟が遠く見えた ゆっくりと近づいて 頑なな風に酔い 手を振るだけよ 恋しがるは 世の境を飛び越えることが できるのね できるのね そっと呼んでみるわ 砂に立ち…

雨音夜半

風雨強まる真夜中 一向に寝つける気がしない 読みかけの本はもう そのまま返そう ゴロゴロと 雷とは違う音が始まった 表さぬ正体が不気味を増す 返事をしないまま 幾つかの便りも 明日纏めて捨ててやる 修復できないまま死ぬこともある 私かも相手かも いい…

雨酔い歌酔い

歌に酔った 外は雨 もはやこれまで 独りでに感じる最期 ここからが長いのにね 勝手に嘆くのはやめて 歌うたいは どこも雨 風前の灯火 遣り過すすべも持たない 思いこみと使命感は 勝手に失わないようにしてる 歌が死んだ そのときが 雨にも負けて 本当に訪れ…

また話したいね

3号線の脇道に入って うろうろと辿り着いた もう一度ひとりで行けと言われても きっと難しいかな 洒落た店は苦手なの 分かっているし金も持たない 若い背にかかる西日を負って カランと入ったもの 窓辺には薄汚れたポスターと 小さなテーブル 今からでも話…

いちごのひ

あまい苺をひとつ ほおばれば だんだん酸っぱくなってくる 頂きものだもの ぞんざいにはできないけれど 得意じゃない その赤にやられたのね あまいミルクがいいかしら シロップに漬ける手業はなくて すぐに恋の歌など始める 人も嫌いよ 生憎ね 果物は果物で…

行き交う羽根

羽根を捨てたものもあれ 野においてきたの 誰求められることもなく 野ざらし雨ざらし 空へ飛んでゆくことが 一番美しいのなら 地は何のためにあるのでしょう そんなことばかり気になって 見下ろした木々はどう? 容易く茂っているかしら こちらからは何もな…

未知の病

誰がかかるか知れぬ病に どうやら前世から侵されている 分かりっこないわ まだ此方では解明されていないのだもの むかし文豪たちの 生き死にやら 話説を見るにつけ やたら自裁の多いこと 気になって教師に尋ねたことがある きっと此の世界では 表現が追いつ…

うらはら雨

雨は仕様がないのだけれど 風まで吹いて強まって 面倒なんて思われたくないけど 蔑ろをそのままは許せない 電話のあと噎ぶくせに 強い言葉は使えない僕 あとで後悔する一番優しい時に 照準を合わせていないと 雨は色香さえ纏う 心と裏腹もいいところ 壊れた…

空の貴方

貴方の背を追って 何時しか消えてしまった 暗いトンネルは夢に 何度だって 沸き立つ 空よ空よ 舞う鳥の 憎らしいと撃ち落すな その前に 殺生するくらいなら 籠って朽ちてゆくがまし 貴方の夢に出て 侵されるような頭をしている トンネルの向こうは 花畑 決し…

さながら週末の

ぐっと飲みこんだ昨日の 汚い台詞 今もやり場がなくて 週末の彼是に 溶けてゆく気配もないから 一生持ち続けるのだろうか 少しずつ薄まってゆくか 両方経験あるから 安心もするし 怖くもなるね 青い日は終わったとして 何者になれたでもない モラトリアム気…

春日の床

床に臥せることに慣れだして 世間ずれにも項垂れるころ 気づいているだけ良いでしょ 自分で励ましてみる 遠い手紙に綺麗な文字 この時代に大したものね 昔なじみの欲目かな 春日もさして あやふやな形でしか 愛せないのよ この先も 今日や明日の天気より 息…

刻の唱歌

子の刻過ぎて 少し前なら ほのか灯りも消えていたわ 歩きなさんな そんな真暗に 人あらざる者も湧き出でる 咽が痛めば これは病か 生き死にに係るものか 探る世で 少し前なら 蜜舐めて 慰めたものでしょう 騒ぎなさんな こんな浮世に 不老不死などあるわけな…

愚痴て候

私のほうがつらいって 言い放ってほら 間違ってはいたくないって 強迫観念が オートロックは平気だったのに 玄関入るころには落ちこんでるの 馬鹿みたいな気風 うまいこと摺り抜ければいいのよ 大抵の歌はそう言って たーんと処理しなきゃ生きられない そん…

駅前のエレジー

改札を出たときに 羽が生えたように軽くなって ダイエット成功するどころか 立ち消えになっているのに 春の陽気がそうさせるのかしら なんだか好きになれない 中途半端な田舎町だと そっぽ向いていたけれど 込みいったビルの中の駅じゃ こうもすぐ気にさらさ…

夏刻

裏の川で冷やしておいた 西瓜そろそろいいんじゃない 擦りむいて泣いた子の帰るころ 日も西へ行く途にあって 静まるまではもう少し 昔ね 住んでた街に比べれば 随分と遅く感じる一刻 夕ごはんも ちゃんと入るように 食べすぎなさんな でもきっと 好きにでき…

国道

泣いた夜の話を あなたが憶えていたとてね いいのよ声に出さなくて どうせ過ぎてくものだもの 国道1号 長く続くだけあって 汚らしくも見えるもの 誰の所為でもないと 綺麗な言葉が飛び交って そんな世の中で 確実に彼の所為ということも あるでしょう 国道…

薄雲のふし

薄雲が来るらしいわ 構えておいてね 人は急には止まれない 降られてみるのも一興 云うは易しで つまるところ虚弱が増すだけでしょ 只でさえ只の24時間も 難しいというのに 彼が置いていった いつだって食べられるという甘い菓子 そんなこと言われたら 未来永…

通りすぎた正しさのあと

通りすぎた熱に合わせ 口を動かして歌う振り 涙流して手を取り合って 美しいものが正しいでしょう いいのよそれで あるべき姿はきっとそれに違いないから だた片隅で目にも触れずに 生きのびただけの命もあるもので やたらと絆を歌う世に 定めて反旗を翻す …

伝う筆持ち

筆を執ってはみたのだけれど 上手くするりと運ばなく そうか本当の恋と云う物 知らずにいたのね ためいきね 紙を繰ってはみたのだけれど 手にはざらりと伝われて そうねこの身は思うようには いかぬものよね 背に腹に 時を眺めてみたのだけれど 振り子振るだ…

歩道橋と並木

かなしがっていた 私を連れていかないと いい加減にしないと 歩道橋の向こう 今すぐにでも見えなくなるよ ルンと弾んだ恋の歌 憎らしくもなる今日の日は 街の幸せにあてられて 何の木かも知れぬのに連なる その下を 仕様もなく働きに出ては 引き摺って帰って…

遠くねむる

外は雨だったか もう少しで上がるころ 貴方が指先に触れたのが 合図だと思ったもの まさかこの身に起こると 知らず知らず 身落とした部屋で ゆっくりと探ってゆく 言葉足らずの貴方の目を 手を 必死で追いかけた 熱があれば大丈夫 それが愛だと信じて 受け入…

この身は秋冬

許せないことが多くてね 年寄りじみたことばかり 窓辺でぼやいているだけさ 煮え切らないままでね 死んでゆくのだと見えた日は どう足搔いてやろうかと思案して 小道をゆく子等はきっと これから出会うか知らぬままか いづれにしても羨ましいだけさ 許せない…

子の刻参り

人が眠りに就いたころ のそのそと起きあがってくる 確かこの身 蝙蝠でも夜行の虫でもなかったような ほっとひと息 真似事でも 蜂蜜入れたホットミルクで 人間の振りを今暫し 追いつめられ裏切られた夢は 夕刻だから見たことにする 気にしない、ができないさ…

自由の道

ブルーアッシュに染めた髪 生まれ変わるなら今だ 澄んでいたい そう澄んでいたいんだと 日常投げ出しても 日常なぞっても 駅の北口は初めての 裏を抜けるような気まずさの そのあとで 踏切を渡って開ける 道があった 来てよかった なるべく軽く済ませたbag …

早春の気

病は気からという言葉に倣って その逆もまた然りと 身体を鍛えれば心もついてくる 身こころ一体であるという 考え方があるそうで もたついた休日の 正午も過ぎて ふと窓開ければ 春の気が見えた 三寒四温のぐらつきの後 すっと来たあたたかな陽気に 連れてい…

西町の春待ち

東の街は暮れが早いのね 春は名のみの 口ずさむ 遠きものを思うのは 案外容易いものなのに 手と手を取った その平が荒れていたこと 感覚が残る 冷たい水に触れるにつけ 思い起こすようにできていて それは三寒四温の営み すぐには溶けない蟠り 今日は葉に街…