おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

定期通信

声の大きな女は嫌いですか? あぁそうですか 結構ですが 此方珍しく ピアニッシモが苦手で 苦しまぎれに 猫かぶりで生活しております しかし隠しきれぬさが 態度もでかいですが あぁそうですか 嫌いで結構ですが 此方恙なく 雨降りに慣れて 乞い乞いも仕方忘…

立ち消えの恋

叶う叶わないの 歌だけが流れて 街は嫌いになれとばかり 煌びやか極めた ねえもう降りてもいいでしょう どうせ1人で歩いてゆくから 金はないけれど 時間と無気力は吐くほどあって 生まれながらに老いていたような 気分だから 堕ちるな落ちるな よっこらよっ…

雪待ちになる前に

時世にそぐわず 便りとどくのは いつになるだろうか 夢途絶え 子を残し 愛伝えに事欠いて すっと消えた者の 多いこと知っている どうかどうか どうか 雪待ちになる前に 世の理を曲げてでも とどけることできぬだろうか 散々に傷つけてきた人に対し ただの未…

終わりしなのばたぐらい

もう思うたようには 身体の動かんとです 風聞き宵呼び見舞われて 綺麗に臥せることも叶わんとです ところどころに斑点の 自分で気色の悪かごとなって いよいよ消えてしまいたいと 心臓ぎゅっとされた気分です 不幸中の幸いか 季は冬に向かい四温三寒 皆で堕…

恋と敗北

戦争は 遠い世界の話? そんなことないわ 忘れた振りか 教えの敗北か 遠い波に乗せられた 小舟 小さな命を尽きさせた 恋歌を歌わない者があっても いいじゃないか 誰の日常も本当は 逃れられないはずなのに 知らない振りか 教えもなくなったのか

赤い兆

信号は一度も 思い通りにならないがいい 急な冷えに まみえない肌も 赤みを帯びたら病の兆し 自分が言われていなくても 思い上がりを諭すごと 嫌味も不運もついてくる 誰かが傷つく様を見る 明日には朽ちろ 指示も待たずに 袖を捲くり 愛されたはずの時間を…

月乞い

薄れてゆく意識と 髪も乾かさずの 宵はよいよい 暮れもくれ 色味を帯びてきた月を こいこいね 穴の開いた地に 武者震いの寝覚め いつなら繋がる 彼の人と 待ち侘びていたはずの月を ほいほいね 簡単に離れてゆくを 引力の所為にさせてください 色も霞んでゆ…

ゆられている

www.youtube.com 友なき身は 愛なき身は 誰もそばに居ぬことに耐え だけどそれが 過ちではないことだけ 願う世の中で 帰りの電車ふらついたって 誰の目にも手にも触れないまま 御伽話ではないから 擦れてく 薄れてゆく 自分の足で歩くんだって ぐらついても …

あなたにひとつ残すなら

あなたにひとつ残すなら 汚い歌にしましょうか 身はどうせ朽ちて 魂も忘れてしまうでしょう あなたに確実に残るなら 汚い歌でもいいから 綺麗事をいう余裕もないわ あなたの内に残りたい 悔しいものね 年の順ではないときも あるのにどうして 自分には来ない…

気ごころと秋空

物語でないことは知っているから 日々より人生より 一瞬の気ごころが 一番怖いのよ 秋知らずか 急な乱高下 皆知らぬか 身の浄化など 駅が見えてからが遠い だから都会は嫌い 人が少ないのに多い だから田舎は嫌い どこでも生きていけるから なんて幻想で ど…

真白

濡れたままの髪で 飛びこむなら それは真白の床 誰彼構わずの人もいるけれど 気が知れなかった 許されないいのちで 嫌われているのかもしれない 思いつづけるうち 呪いにまでなったけれど 差しだせるものは この身ひとつ 都合よく 貴方が男で 私が女で あっ…

スコットランドに行きたい

好きな歌の生まれた場所に 行ってみたい 水辺に立って その風を感じてみたい 物語の舞台に 行ってみたい 石に触って 時を超える想像をしていたい タータンチェックの服を着て 初めての楽器に触れて 緑も空も この目で見たい 憧れのスコットランド

穏やかな午後

軽い欠伸の 手を添えて あなたの隣にいる午後は 凭れかかってもいいのだと 安心して眠れる この世界が 美しくないことに 変わりはないけれど あなたの肩に添う部屋は 穏やかに思っても 間違いではない気がする 人の暮しからはずれたところに 随分いた気がす…

家と私と

機能不全を起こしてる それは環境の所為だと思っていたけれど 家を出ても付き纏う違和感に 恐怖を覚えた もしかしたら私自身が おかしいのかもしれない 一言で説明のつくような 家に生まれればよかったけれど 嘆いていいのかの 境界線にいるようで 他を知ら…

皆と同じように 名前で呼んでいいのか 分からなかったから なるたけ関わらないように 話すにしても名を呼ばないように 気にしていた 彼も同じように 私の名は呼ばなかった 似た感覚でいるのだと 予想だけれど思った 潔癖も厭世も 仲間には変わりないからね …

落ちる

すぐに眠り落ちるのを 不便で欠点だと 思っていたけれど たとえば 思い悩む質で 夜は勿論 昼日中も 起き続けたら 苦しむでしょうと 落ちさせてくれているのね かみさまありがとう

いのこりいすわる

5時のかねが鳴ったけど きょうはまだ帰んない なんでそう思ったのかな おぼえてないけどさ 草むらにのこって バッタを取って逃がして まだ日は高くて だからいいと思ったんだもんね 怒られたけどさ あぶないから しんぱいだからじゃなくて いうこときかない …

不運なウサギ

泣き腫らしても 気づいてもらえなかった 餌遣りは 無邪気な子供だった 仕様がないか 生まれ場所も生き場所も 指定はできない寸法だ 草に群れ 明日には雨予報を 肌身に感じても 小屋からは出られない 鳴き声も聞こえやしないか また泣き腫らしても 気づいても…

おそろしの城

波打ち付け 恐ろしの城 剥がれる気のない石造り 愚かにも 囲えば攻められ 開けば安堵する 恐れと畏れを 取り違えないように 行間にこそ生きられるように 無機物でありながら もしくはあるがゆえに 語りかけてくる 波待ちとも思える おそろしの城

秋の夜は長すぎる

幸せになりたいと 望まないこと自体が罪ならば 僕はもう 一生罪人としての生き方が 確定している 逆に 誰も何も言っていないのに 吠えるような恥ずかしい真似は しないように心掛けている 他人を馬鹿だと蔑んでも 自分が賢いと言い聞かせても 勘違いに拍車が…

月見のための月を見る

何のことはない 理由が欲しいだけの 浅い人間 若さの言い訳も もうできない齢 身体だけ順調に 過去も今日も弱い 菓子を用意して 卓を誂えて 何がしたいの 風情のふの字も知らない癖に 今日もなんやかんやで 言い訳つけて 月見のための月を見る

憧れ焦がれた夏

熱をもっていることが そんなに違和感をもたない うだる気に 皆やられているのだから 僕も馴染みこんでしまえ 綺麗な生活がどこにもないことは 物心より先に知った気が それでも求めてしまう少しの喜びの部分 すべて君に預けよう 向かいのバス停にいる 憧れ…

裁かれる恋なら

貴方がこの世界から 姿を消す時に 神に盗られたという 傲慢が働くのです 相手が誰であれ渡せないという 強い衝動は 恋と呼ぶには乱暴な 飲みこまれてゆく 例え夢見が悪くても それが夜ならまだいいわ 皆で怯えていましょうよ 気に入らないのは昼日中 街は当…

秋の夕暮れ

www.youtube.com 散る葉に心摑まれ 真冬より怖いのは何故 まだ生きているのに ひと風ごと 肌に胸に来る予感 秋深まれば揺れ惑う 言の葉に縋りひとり 冷えゆく季節の前 成す術なく 秋の夕暮れは私を覆い 心は何処まで行くのか 何の夢でもない浮世 辿りながら…

ゆられている

友なき身は 愛なき身は 誰もそばに居ぬことに耐え だけどそれが 過ちではないことだけ 願う世の中で 帰りの電車ふらついたって 誰の目にも手にも触れないまま 御伽話ではないから 擦れてく 薄れてゆく 自分の足で歩くんだって ぐらついても 痛んでも 縋らぬ…

新しい溜息

その場しのぎの愛なんて 要らないから 煙草は大嫌いだと それだけ伝えた 船が着いた瞬間に 全身が赤く腫れるような あの気分悪さに 似ていた もう戻ることもないから どちらも あとは薄れてゆくだけね 苦痛のかわりに 不安のかわりに もしも出会うことがある…

影のまつり

唱え足りなかったようね こちらの不手際 宵道に気をつけて そればかり誘った 肝心は地の内 人の見えぬ端 酔いどれと歓楽の 行きかうところ 明りともせ あるだけ あるだけ 祓いの振りで 今はいい 恥もさらせ 恋だなんだ 掴み損ねた 人の群れ 五差路のあたりが…

パズル

不機嫌が 纏わりついて 離れようとしない 午後の街にいて 彼女には添いたい 不器用と 言い馴染みを持てば 誤魔化せるか 店の隅にいて 彼は遠ざけたい 不躾な 感情しか持ち合わせない 我儘勝手見透かすよう 人の影にいて 彼女は彼に従っている

おそろしのねんねんこ

3つ数えて 去れ去れ 怖さも 夜も一緒に 布団かぶって 泣け泣け 怒らせないようにね 9時の鐘 恐ろしの ねんねんころりに 唆されて 明日には 昼の日中さえ 怖くはなっていないかね 当たり前に すやすやと 眠る余所の子を 知るのは もすこし先 今はだた 3つ数え…

焼き場の草花

憎たらしかった 山道の先の バスも着かぬ岬 人焼きのにおい 酔いすぎたのなら 何にやられたか 思いつきもしない 呆けの子で 草盛り 野の声 あっかんべ 花は見向きもされず朽ちる 蔦先 枯れても いっせのせ 天は見向きもせずに迎う 悍ましくなった 山道の先の…