声が嗄れているのに
ある日 気づいたけれど
なんてことないさ
すぐ治るだろって
思ってた
だって夏も秋も
憂鬱に青春に
相反するすべてが
押し寄せた年だった
しばらく経っても
声は戻らなくて
あんなによく喋り歌う子が
黙りこんだ
はじめてのことだった
女のくせに
声がかわいくないって
言ってきた奴がいて
今なら躱せることが
すべて刺さるから
もう声も出せなくなった
明日には治るだろって
願いかけて眠っても
おんなじ痛みが
まして増すような
歌を忘れたように過ごして
歌だけ忘れられずにいて
私の苦しさはいつだって
あの時に起因している