おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

そっと夏待ち

息をつく間もなく 夏はくるだろう お前がうな垂れても 浴衣仕立てて待ち望んでも どっちだっていいさ 無力とも 自由ともいう 抗うことに疲れたら すっと腰を休めてみて うちに風鈴のかすかな音 鳴りだすだろう 消えゆくだろう

つらつら世を忌みうたうもの

また言いようのない虚しさが来た 死ぬなだの生きろだの力強げに歌われて あぁそうかそれが自由な世だ 忌み嫌うなら消えればいい 教室の扉の前に置いてきた 波前の静寂に置いてきた 小匙1杯もない気力で どうにかこうにか繋いでる 望まれるでもないいのち 朽…

行かば 然様であるならば

行かば 然様であるならば 流行り病に入られちゃ 終の寝床も敵わない 決して嘆いて生きようと 決めたわけではないのにな ゆらりゆらりと揺り籠の 歌に擬え励ませど いつか包んだ母の手も 追い瀬に縋る神も無し 薄い毛布に守られて 風の去るのを待つばかり 薄…

春の気、戻り雪

床に臥せて日が暮れるのは 情けないような気がして 正しくあろうとし続けたはずなのに それがまだ何たるかは知らず また溜息なら この部屋に充満しただろう 窓を開けて空を見るのは 当たり前のよな遠い世界 あぁいつか飛べずとも ただただふらりと行けぬだろ…

雨の今日を歩こう

久しぶりだね雨 花柄のワンピース それでも着てゆくよ いいよ裾を濡らして 笑って 思い出さなくてもいいくらい 今日1日だけを歩こう 知ってた? 君とならそれだけで 傘は1人1つずつで 背伸びしたらそのまま つまずいちゃうでしょ いいよ子どもじみてるっ…

春生まれの人

大きな背中を追うときに 少しだけ喉が痛くなったの 言えなかったから早足で 必死で追いかけたもの 右腕つかんで離さなかったら 逆に嫌われちゃうかな となりどうし それは夢のように思えて ぼっとするよね どうしても見失いたくない その一心で声をふりしぼ…

合図

夕方のチャイム 大きく響いた 通りの良い田舎町 けんけんぱ 終わらないから そのまんま帰ってもあいこ じっとしてられないけど 隠れたいよな気もするのは 物を知らない子だからでしょうか 知りすぎて生まれたのでしょうか 子どもだからと見くびっていたら 何…

雑踏と雑念

意地は悪かろうがあったほうがいい ただ笑ってるあのコに嫌気もさして でもこれじゃ幸せにはなれないな 上等だ 拳振り上げたまま 死にに行ってやる 雑踏の所為じゃないでしょ 例えば田舎町にいたって 渦巻く熱は 黒い心は そう簡単には変わらぬものよ 何処に…

昭和のエレジー

優しく触れてくれたなら 愛だと思っていいかしら 投げ捨てられるの怖いから まだ信じなくていいかしら 西日の差せば 暮れの合図と 誰が決めたの 待たなくていい やたら騒がしい街の隅 日曜ももう終わるのに 愛してますか そんなことを聞くのは 憚られて今夜 …

かおるポラロイド

記憶を辿るまでもなく 舞い戻るあの日あの時が 責めてくるような気がするね もう今日は泣いたほうがいいかもね どこにやったかポラロイド 探すか忘れるかしかない模様 聞き覚えのある声に 振り返れば落ちるだけ 街は人波も忘れて じっと暮れてゆくばかり 連…

沈みこむだけ昼日中

綯交ぜの心を持って 街に出るのは気が引ける さして用ごともないのに 気にあてられてくるだけだと 知っていて すがるような 思いがあるのはなぜだろう ついてゆけぬ気がする人並み 生きてゆける気のしない世に 浮き浮き浮くことすらできず 沈みこんで昼日中 …

春の陽だけがある部屋で

古い歌を教えてくれた人を ただのその一事で 愛し続けなければならないのだろうか なんて呪いだ やがて 世は思うより緩やかで 息をついていいと知る 温かな人は幾つあっても 上書けるほどの思い 受けることもなく 記憶は残り 皮肉にも 歌の好きな子はそのま…

春のブランコ

揺れてブランコ 遠慮はナシよ 今日くらい好きに歌ってさ 三寒四温の真ん中で 薄着を後悔 身軽を褒めて ずっと待ったような気がして そのまま言っていいかな 君の背が見え隠れ 私じゃ敵わないとても 好きか嫌いかじゃなくて この時間を過ごしていたい ゆらり…

さびしがり

さびしがりを隠してずっと 慣れたような気がしていた 煩わしい思いするくらいなら 1人でいいよ それはほんと 春の陽が 追いやる季節を 好きだったとは言いづらいな 愛だの恋だの言ってる間もなく この脆い心支えなければ さびしがりによく効くもの その辺に…

参りもせんと

参りもしなければ 砂を被るだけの それでいいのよ 時代でしょ 誰かに言ってほしいもの 名も知らぬ遠縁の戦没者も併せて 頼まれたから その時は 素直に請け負った振りをして 花でも供えれば 顔でも見せれば それが正しいことでしょう できないことではないか…

堕ちてゆくほか

昼に寝ざめて針を追う 後づけの理由はいくつもあって 生きにくいと言えば沢山 生きていられると言えばそこまで 昨日炊いた飯を食み 金勘定ばかりしている 持てる者のそれではなく 持たぬが故の勘定が 世をむなしいと名づけたなら 堕ちてゆくしかないだろう …

冬道に残りますように

雪のない町も 冷え込んだら手を 握りたくなるものよ わがままでいっぱい 埋まったところ あなたは同じ歩幅を見てるの 幸せになるまであと どれくらい 贅沢かな 神様 恋でも祈りでもいいです この時が 過ぎることは知って せめて ほんの少しでも残りますよう…

海の見える町に落としたのね

海をじっと見ているだけで 高鳴った胸を覚えてる? きっと生まれ落ちた時から 感じ取るように教わっていた 教室も窓は今日も陽を どこまでだって受け入れる 思い出を持たなくても 生きてゆけるよ大丈夫 苦しさとか思い過ぎを 備えた体でいる代わり せめても…

禍々しい思いもあるもので

息を殺して目を見張る 全身使って備えなければ 突入できないような屋敷でした いいえ 戦時中の話ではなくて ごくごく最近の ここ十数年の話ですよ 信じられないと目を見開く人 想像もつかないと嘆く人 どうかこのまま去ってあげてくださいな 目の前で呼吸困…

寒の戻りに思うころ

寒の戻りも慣れたでしょう 仕舞おうとした服を引っ張り出して 緩やかに穏やかになってゆくわけではないと 言われたでしょう 言った人が世を去っても 世はあり 私は生きねばならず 幸せは 私の幸せは 世とはいちばん遠いところに 在ることが または無いことが…

宵に敗れるとき

つらい顔見せないからって 抱えてるものもあるかもよ 思わせぶりに何度も あのコは言うけど それでも 見渡せるって言ったら笑う? 神のような錯覚を笑う? 見通せるって感じちゃうって そういう人もいるものよ また分からずやの溢れる星に 落とされたような…

君の一歩

君の一歩 何にだってならないよ 世界にとって 焼けかぶれ引き摺った それでも届かないもんだな 愛想笑って切り抜ける うまくやるもんだから 生きにくいって言いながら 生きてもゆける 損だなぁ 気づいてももらえないまま かたくなった顔 いつか 思いきり怒っ…

愛の調べ

愛の調べはどこに行ったか 思い致す間を惜しんで フイっとされた 泣いてみるかい? この3拍に乗って おもむろ向こう側と繋がることもあろう また熱を持って ムクれたのだろう 誰の所為でもないまで知って それでも 幼心に染みついて 離れない調べを 起こす…

あなたの影

すれ違いざま 瞬きを忘れて まさかあの人の影に会うとは 知らない街の強さに惹かれて 忘れていたわ 私の弱さを 記憶は追いかけてくるどころか 未来にも待って 私を待って 守りたくてたまらないでしょう 脆い心を いつでも眠りにつける体を 落とすまで 落とす…

待ち待ち夜泣き

涙堪えるのに慣れたら 次はどこへゆこう いっそ泣き泣き 夜泣きの赤子 真似て暗闇に逃げようか じわり足音はそこまで この世を後にすることは 行くのではなく帰るのやも そんなことを 思い思い 暮れて明けるのを 待ち待ち 誰称えるか鐘の音 全てまやかしの中…

いつかのメロディー

もう大抵のことにはピクリともしない 言い聞かせて 本当にそうなってきたところだったのに 久しぶりのHello,Againに泣いちゃって かっこ悪いのなんのって いいのよ まだ純度があったのね 神様づてに私を褒めよう ラララ 今なら声高く ラララ 覚え間違ってた…

月を見ているときに

月を見ているときに 月は地を見ている 呼ぶ声も嗄れたときに 向こうも押し黙る かわりばんこ 泣いていいよ なんにもできなくていいよ 月を信じている人に 少しの気を送りましょう 夢を見ているときに 夢はあなたに気づいている 痛みを覚えたときに それを解…

縁側と心丈夫

弱さならそこに置いておいて 繕っておくから 何か食べたの? 碌なものないけど 冷蔵庫の中好きに漁って ないないねだりの世に居ても ぐっと堪えたあなたのことを きっと誰かが見ているわ 私の目にも少し映って そして翳って 心配になるから この縁側がほんの…

合図と意地

スクランブル交差点のど真ん中で 手を振ったら気づくだろうか それとも大海原で? なんだかんだ 意地っ張りな人に恋をしたような だけど、そうね 実体もない 私の気狂いXXX それでいい 間違ってたら教えてほしい 合ってるなら合図をください どうせ虚しい1…

雨傘ひと節

やわらか和傘の中に来なんせ 悪いようにはせんからね 夢路を通いと見受けたが 思い違いも恋のうち 雫ひとつも尊き浮世 何時も手招き 硝子玉の振りをして 棚からひとつの餅が落ちた ひと節いっしょに歌いなせ 宵は遠かろ まだ少し 雨空かくれて恋惑お 何時か…