その船はひどく揺れた
でかい図体で激しく打ち
波を真横から見る羽目になる
愈々死の隣にいるのだと
人々は島に異様な憧れを持ち
長閑だと勘違いしている
そこまでの行程を無視して
綺麗なものには
簡単にたどり着けない世だ
後戻りもできず
洋上に放たれるのは
気が気でなかった
しかし脱したければ
海を越えるしかない
吐いても泣いても
思いどおりが1つもない
そんなことを忘れて
若しくは知らずに
島の美しきを愛でる
そんな人を見ると虫唾が走る
しかしそれは私の
一方的な思いであり
吹っ掛けるべきではない
ただ静かに念じていよう
帰らずとも暮らせる術を