月並み
貴方は易くなく
触れたと思った手の腹に
ひとつの熱もないんだもの
此方が咎められたかと思ったわ
生き死に自在の浮き世から
追い出されるかと思ったわ
星降り
貴方は見え隠れ
聞こえたはずだに魂は
彷徨う音すら消すんだもの
海鳴り
貴方は遠ざかる
此方の気が触れたかと思ったわ
誰にも云えぬ性分だもの
唯々生きていたいと思ったわ
貴方の在り無しを語る人々
横目に置いて偉そうに
在り確と
決まっているでしょと
仰ぎ仰ぎ風起こしの扇子持ち
凪待ち
貴方は静を以て
存在を教えることのある
移ろう陰すら無いんだもの