おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

子の刻参り

人が眠りに就いたころ

のそのそと起きあがってくる

確かこの身

蝙蝠でも夜行の虫でもなかったような

 

ほっとひと息

真似事でも

蜂蜜入れたホットミルクで

人間の振りを今暫し

 

追いつめられ裏切られた夢は

夕刻だから見たことにする

気にしない、ができないさがは

思慮が深いと置きかえる

 

頭固くて

それでもボンヤリと

するための目覚めなら

受け付けよう

 

暮らしが整う本を読んでみる

それが真夜中

皮肉にも馬鹿げてても

定まらないことが

其れ則ち

人であることだと意味づけよう

 

せっかく温めたミルクが冷めてゆく

そうなるまえに

そうなるまえに

 

前世の記憶は途絶えても

きっと人であったろうと思いこむのは

苦行の多さ

これがほんの二十数年のものとは

思えなくて

 

食う寝るところに住むところ

満たされておいて何を言う

爆弾落とされる地でも時でもなし

言い始めたら限も無し

 

こんな怠惰な思案の為に

夕刻寝かせておいたのですか

そんな身体に慣れぬ若き日

遣り過してばかりです