おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

薄雲のふし

薄雲が来るらしいわ

構えておいてね

人は急には止まれない

 

降られてみるのも一興

云うは易しで

つまるところ虚弱が増すだけでしょ

 

只でさえ只の24時間も

難しいというのに

 

彼が置いていった

いつだって食べられるという甘い菓子

そんなこと言われたら

未来永劫食べない

そのまま死んでしまうわ

 

薄雲はいよいよ迫って

覚えておいてね

人も気も変わるもの

 

何も女心に限らなくても

言伝えは時に嘘ついて

男だって十分変わってゆくじゃない

 

目の前で愛を唱えても

判らないくらいだから

 

傘は置いていった

そういう人よ

憎たらしいったらない

平気なことが多すぎて

未来永劫靡かない

そのまま朽ちてゆくわ

 

遣らずの雨と詠む

そんな時代の生まれではないし

 

感傷に浸る気力もなくて

あぁそうか

あれは若く気が満ちていたからできたことだと

今さら思い至っても

戻らない時にいて

 

薄雲は呆気なく去っていった