おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

伝う筆持ち

筆を執ってはみたのだけれど

上手くするりと運ばなく

そうか本当の恋と云う物

知らずにいたのね

ためいきね

 

紙を繰ってはみたのだけれど

手にはざらりと伝われて

そうねこの身は思うようには

いかぬものよね

背に腹に

 

時を眺めてみたのだけれど

振り子振るだけ振りぬいて

針は何時指すこともなく

止まりきったの

つかれたの

 

空を仰いでみたいのだけれど

格子窓さえ小ささに

さっき生まれたような気に

なってゆくのね

ゆくほどね

 

天に昇ってみたいのだけれど

物の試しとはいかぬまま

そうよ出戻るわけにもいかず

途方に暮れると

知ってるわ

 

筆を置いてはみたのだけれど

妙にどくんと心の臓

書かねばならぬものは湧き出て

天邪鬼にも

ほどがあり

 

遠い貴方を呼ぶのだけれど

伝う十字も手になくて

歌う讃美は異国の言葉

憶えきれずに

終わるのね