私のほうがつらいって
言い放ってほら
間違ってはいたくないって
強迫観念が
オートロックは平気だったのに
玄関入るころには落ちこんでるの
馬鹿みたいな気風
うまいこと摺り抜ければいいのよ
大抵の歌はそう言って
たーんと処理しなきゃ生きられない
そんなさがを無視するじゃない
温めなおした夕餉
抜けない記憶に噎ぶ時
指の間から荒れていって
冬に逆戻り
道を教えた異国のお人は
大丈夫か気になって
振り返ったらいなくて
辿り着けたならいいのよ
私の満足のためじゃないから
大抵の歌はいつだって
綺麗にあろうと試みる
じとっと染入る生きづらさを
誰も節には乗せないじゃない
えにしは切れず
私を救わず
ただに居座る