傷を残すどころか
何も残さなかったことが
貴方達の罪
争いのない国に生まれ
朝夕の飢えを知らずに生き
何を横着なと言われそうだけれど
あたたかな物語は
物語の中だけですか
それなら知らせずにいてくれればよかった
きつい階段を上れば
バス停の先に墓石が並ぶ
急拵えの念を唱えても
伝わらないだろうに
形だけ覚える
輪廻の中にいたとして
思考が頗る働き者で
どうしたものかの迷い子
愛に迎えられる気配もない
傷が治ることも
時が過去を溶かすことも
覚えた
知識として
なぜ身に落ちないのだろうと
考え考えつづけた時に
行きつく場所が無いことが
貴方達の罪