おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

後先、野分の音

野分、

また落ちて春

思い出すだけで凪ぐ

彼の心を射止めたかった

 

形見に近い

団扇ゆらゆら

なんだって昨日今日

腹に落ちないことばかり

 

野分、

掻き分けてゆく

こちらの好く好かぬに及ばず

所詮それだけの生き物

 

吹き返したい

そんな幾つかの魂が

うごめくころ

静か静か、来い来い

 

野分、

まだ覚めやまず辿る

落ちてきた衝動

神鳴りて候

 

行き戻りたい

ふらふらと

風鈴をまた吊るしておけば

知れぬ間に入るだろ