西町へは
地下鉄に乗っていれば
そのまま着くわよ
いつの間にか地上に出て
木々を抜ければいずれ
海まで見せてくれるのだもの
何の気なしに訪ねてきてね
恋したって忘れたって
どうせ此処にいるんだもの
手ぶらでいいからね
慣れないまま何年も経って
あきれているわよ
こんな潮風にさらされて
まだ馴染まない手足を
広げじっと見つめる午後
いつでもいいわ訪ねてきてね
何もしないで過ごしたって
そのまま思い出になる町よ
気ままでいいからね
苦手を数えるのがうまくなるばかり
あまのじゃくの住まい
息吹はきっと好きで
それでいて遠いものに見える
何の気なしに訪ねてきてね
恋したって忘れたって
変わらず此処にいるんだもの
それでいいからね