おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

駄文貪る時

母が決定的に非道い言葉を口走った時

それ自体に傷つく気持ちよりも

あぁよかった、これで漸く解放されるという

頭のほうが私の中で勝っていた

 

親を蔑ろにするな

長子の男の云うことは聞け

何の根拠もない俗説が法のようにも蔓延る地

私は幼い頃からそういった目に見えぬ決めごとのほうが

余程怖かった

空気として襲ってくるからだ

 

然し今この母の言により

若しも私が私を生きて

親を棄てたとて

非道いことを言われたからだと

言い訳が立つ

あぁなんて清清しい

基、そこまではいかないが

言質を取った

 

もう私は誰からも責められない

世間からも空気からも私自身からも

そんな頭の回転が

心より先んじてあることが

少々虚しいけれど

 

自分で自分を縛る

愛知らぬ子

カトリックでないのに

生れつき言い聞かせられた気になっている

罪の意識は

 

何よりも優先して取り払いたかった

あなたは間違っていないのよ、という声が欲しかった

それなら虚しさぐらい甘んじて受け入れる

どうせ慣れている

 

たった一言で

それも一瞬で

壊れてしまう関係が血と呼べるか

子の心知らず

泣く母あっても

逆に言えば一瞬で壊れてしまうほど

元々土台がなかったのだから

 

盆正月も知ることか

海は好きでも帰るものか

世情もなんだか味方して

関わりを絶って数年

 

こころ快適な生活と

やはり付き纏う足元のぐらつき

それから暮らしの中で少しの不便を

飲みこめば耐え抜けば

生きてゆけると云って神様

愛を知らぬ子も

 

生活に蔓延る圧は嫌って

都合のいい時は神仏に

そんな性根が見え隠れする自分も

もう仕様がないでしょう

 

何年も囚われるのは馬鹿馬鹿しいから

もういい大人が

精神一人で生きてゆきましょう

生きてゆくしか

たとえ夢見が悪くても

そういう星の下に生れたのだから