電話のベルが
時代にそぐわず
けたたましい音を立てる
いい加減に見切りをつけたい彼是が
夜昼構わず居付く
海をふたつ越えれば
放たれると聞いた魂が
いまだ埋まって出てこないのは
因果か個の性質か
何れにしても
あぁ思い出されるな
月夜などは、むべなし
此方だけが囚われているのも癪
彼方だけで思い巡らすのも違う
いつまでも定めつかない彼是が
春秋覚えず戻る
街に出れば出るほど
遠ざかれるはずが
何を間違ったか海町を
求めてしまう性があり
似たような景色に居付いて
あぁ思い出させるな
己の意思で選んだくせに
去れど去れど、むべなし