心はどこにあるのかと問われた
何の授業だったか
それはもう胸の辺りだろうと
当然だと思っていたが
脳があるから
答えは頭ですと
教師ははっきりと言った
知らなかった
そもそも答えがあるものなのか
私はどうしても
胸から喉からこみあげるものに
支配されて生きているものだから
そりゃないだろうと
幼いながらに思ったものだ
この時の主人公の心情はと
1から4の中から選べと言われた
皆で答え合わせをして
私だけ的外れなものを選択していると
笑われるのも心外だったし
何より
どれでも当てはまるような
どれもぴたっとは当てはまらぬような
人の書いた文章に
いくら脈があろうと
奥底まで勝手に量るものなのかと
納得がいかなかった
確かな答えを求めるわりに
何を言われても100では受け入れない
天邪鬼が少女を覆っていた
それは今でも変わらない
世は問いでも答えでもないと
言ってしまえば元も子もないが
形式の中にいるからには
多少の隙間は目を瞑り
そっと堪えてゆくものなのだろう