おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

月を見ていた君

浪漫の欠片もない町で

じっと月を見ていた君

図書室で借りた小説には

そんな顔にさせることが書いてあったの?

 

最後のバスさえ見過ごして

ずっと君を見ていた僕

グラウンドに返りの夕日

海から来る風の匂いもしたこと

 

言えなかった

言えなかった

気持ちはこんなに残るのか

 

月に帰る人がいるなら

こちらに来る者もあっていい

 

月を見ていた君

まだ残る

現実と区別が付かなくなるほどに