おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

夕の電車

人混みに潰されるばかりだったから

久しぶりね ゆっくり揺られる電車は

全く違う場所を走っても

西の国を思いだしてしまうほどよ

 

夕焼けに泣くなんて在り来りだから

やめておくことにしたの

何年か前から

 

あなたが生きろと言った理由を

なんとなし感づいてきたころ

 

隣は2人連れ

それを寂しさに

すぐ変換する癖をやめたいわ

 

気にしてないからね

言い聞かすくだりも

いったい何回やったかな

 

どこでずれたか歯車

ぎしぎしと音が鳴れば

すぐ人生を思う癖

 

そんな大層ないのちでもないのに

すぐ大げさに思う

空よ地よ

 

人より少しばかり多くか濃くか

見えた苦しみ

死ねない理由

 

なすりつけてでもいいから

生きろと言ったあなたを

思い出してしまう夕

 

東京に出てくる時にね

文字通り全部捨ててきたの

思い出とか人間関係とかじゃなくて

物理的に捨ててきたの

 

それでもあなたにもらった1つだけ

捨て置けず連れてきたのよ

笑えるでしょ

 

ガタンと大きく揺れたら

それだけで怯む

生きてはみたものの楽ではなく

 

ただあなたの言いたいことは

少しずつ少しずつ分かってきた

ほら外はもう闇

愈々西か東か覚束なくなる

 

その曖昧が都合よく

生きるも死ぬも大したことないのだから

適当に流してゆける