夢にまで酔いはじめたころ
愈々この世に生きた心地がしなくなって
あぁそうか
はじめからそういう者があるのだと
広い城回りなど歩けば
たまに海の近くに帰れば
だましだましに生きたつもりを
心に認めてくるだけさ
その時聞いてた歌のこと
そっぽ向いた誰かのこと
姿勢の直らぬ弱い身に
何でも覚える質がつき
ごちゃ混ぜさ
いつだって
思い過ごしと思いこみだけで
できた人生が
誰かのためにもなれぬのに
自分を確立することなど
目ざめても酔いつづけていること
愈々病か
病ならまだましか
たまにそういう者が生まれるんだろ
誰かが笑った声と節
自分から逃げ来た草叢
飯も通らぬ細い喉に
歌えることなどない始末
綯交ぜに
どこだって
生きた心地がしないのは
そういう風に生まれついた
生まれ着いたかも
怪しい星
星の形には見えぬ大地
本当のふるさとなど
あるか無しか
どちらにしても知りえぬ模様
まだこの手に当たる空気さえ
おぼろげなのに
自分を確立することなど