おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

拍子

また連れゆかれる

拍子はさやか

 

小さな体のよく動く

着物は何枚か母の持つ

練り歩きの昼間を経て

奉納の夕べが来る

 

鈴に情歌に

賑やかだこと

 

ただ導かれる

拍子あざやか

裾引いた兄の置いてけぼりが

何年ものうらみごと

 

だんだん押し来る波の音

着物は脱ぎ捨て身軽の衣

踊り供えの夕べを経て

煌々と浜辺光る

 

流し舟追って

躓かんごと

 

ほら連れゆかれる

拍子に乗せて

踊れば歌えばもう仲間入り

気づいた時にはあちらの者

 

まつり

囃したてられるように

できて

大昔から

 

また連れゆかれる

拍子はさやか

波に黄泉につながって

連なって

 

ただ導かれる

拍子あざやか

うちに帰った姉の冷静が

何年もあとに分かること

 

もう連れゆかれる

私は拍子