物理的な傷を負ったわけでもないのに
息がうまく吸えなかった
真冬の朝に投げ出された
子どもみたいな小さな身体で
見たことないようなあるような
県道をどうやって歩いていった
もうこの世にいらない命が
いよいよ止めを刺された
病みに病み
時の薬とやら
知らず効いたとして
何も戻らぬ
初めから知らなかった嬉しい楽しいが
いよいよ生涯知りえぬものとなった
街を歩けば
人はどうして
普通に呼吸ができている
幸せを問うたり羨んだり
もうそんな段階ですらなくて
バスに乗り
決まり事のように酔い
頼みはあるかと問われ
無いのが罪か可哀相がりか
10年以上経とうと
例えば死ぬ間際だろうと
治らぬ病に
いよいよ罹った