おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

瞬間に足るえにし

殊更、えにしを持て囃すのが嫌いです

捻た子の我儘と言われても

波打てば風吹けば

やれ言伝だと絆だと

騒ぎ示すのが堪らんのです

 

例えば本当に美しいものであっても

手にできぬ者を疎外する

その性質が容れぬのです

 

墓前に揺れ花火

夏の風物

感じ取らなくてはいけない いにしえ

進んだ哲学は的外れ

 

繋がりの中にいることも

捨てたものじゃない、ことも

分かってはいるのです

事柄としては承知の上で

 

私には馴染まない

慣れない作業の様です

どうかご勝手にお幸せに

それではいけないのですか

 

えにしが美しいと言われれば

それもそのはず

美しいものに触れ手にした人は

如何せん声が大きい

 

ですから例えば脈々と

不幸や不運を受け継いでも

表沙汰には成らんのです

まっこと悔しいことに

 

波前に夕暮れに

風情を感じている場合ではない

人の世の決まりごとに

逸れる者は出るのです

 

その上に成り立った

えにしとやらに縋るなら

どうぞご勝手に

此方は此方で気忙しく

今日も己が息を繋ぐのみです