おとのは ことのは

詩と曲を書いています。

香にあてられる朝の問答

何者でもないという劣等感だけで

生きながらえているのは

なんたる皮肉か

 

夏の香をもたらす

しとやかなメロディーが

また抉りくる朝

 

大事なのは体裁を整えることじゃないけれど

それ以外に遣り様のない体になり

 

誰にも気づかれぬまま死んでゆくことが

いよいよ現実味を増したころ

朽ちる恐怖だけで

身はしゃんとしていたりするのも

 

生きづらいと簡単に云われる世ですから

ひっそりとしていましょう

本物はそうであるべきよ、なんて

そこで偉ぶっても意味ないけれど

 

夏の香にわずか彩られながら

 

何者でもないという劣等感だけで

生きながらえていくのね