記憶の中にだけある人が
どうして目の前におる者に勝てましょか
汗水流さずに心の内で
戦う振りの者に世は冷たい
生き延びなければいけないけれど
遣り過さなければいけないからね
宙ぶらりんの虚しさと
のらりくらりの狡さをもって
なんとか生きていけるものよ
恥じ入ることなどないでしょう
昼過ぎの大通りには
飯か生業か
行きかう人々
まるで道化の寸胴が
のそりと歩いていたとてさ
誰の目にも留らぬどころか
邪魔をしちゃいけないね
すっと消えてなくなるほか
見えなくなってしまったのは
何にも無しに生きていけはいけないという
呪文でしょ
気にしなくってもいいものよ
そう言うほどに気になるでしょうけど
それなら敢えて教えておくけど
誰も何にも言わないよ大丈夫