それが祖国なら
構わなかったのです
石に躓くどころか
岩を砕き散らして
名も知らぬ者に跪く
幼い頃に暗唱した
詩歌が自然と過るのです
兵法はもう飛び消えて
残した子等は
きっと達者で
誰縋るでもなく育つでしょう
散ることが美しいとだけは
教えたくなかった
けれど散ってしまっては
もう戻れない
それが祖国だから
厭わなかったのです
数年の数十年の後
気づくことも見つかる骨も
今は只粉々になるだけ
聞き憶えた歌を
異国語でも構わないから
誰か唱えて弔いに
愛に散ったのだと
思ってほしいのです